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脇役VS主人公!  作者: 三宮祐吏
2章 さてはて敵は誰だった?
9/30

9.これが私のカリスマ性☆

 GW(ゴールデンウィーク)の私の思い出を語っててもいい。けれども、そんなことが無意味なのは知っている。

 だから仕方なく、楽しい、それは楽しかったGWを飛ばすとして。

 主人公の孤立ターン・終了! じゃありません。サポー子ちゃんは出てないから、まだ孤立中です。


***


「このクラスで、いじめが発生している」

 朝のHR。五十畑はそういった。

 ちょっと待ちたまえ資産家君よ、今はまだ1年目の5月中旬。に差し掛かる頃。いじめなんて発生するわけ無いだろ。まだいじめるほど互いにクラスになじんでないよ! 考えようよ!

「美深魅が、クラスになじめなくて今日も学校を欠席している」

 はい先生。今日“も”っていうけれども、休みなのは今日が初めてです。そして今日はGW明け初日です。


 なんてもちろんいわない。なんていったって私はモブキャラ。モブ子。

 そして主人公が転校してきて学校に来る総回数は5回ほどです。たった5日でいじめが発生するって、それはもういじめっ子側が悪いんじゃない。いじめられっこ側に非があると思う。

 ちなみに私はいじめられっこの被害者面が大嫌いだから。いじめられてるなら何か反撃しようよ。別にいじめっ子はよほどおおっぴらに裏工作しない限りは気付かないんだよ。普通はさ。


「グループに誰か入れてやってくれ」

 今思ったんだけど、このゲームご都合主義すぎやしないか? グループに入れる前に、まず根本的なイジメをなくすのが先じゃないのかな?

 そもそもイジメじゃないんだから仕方ないか。

「美深魅、入って来い」

「はぃ……」

 くすんくすん。

 そう言う音が聞こえながら、わざとらしく泣きまねをして入ってくるアマさん。しかしクラスはしーんとしたまま。誰も何も反応しない。哀れみの視線を向ける人もいなければ、ばつの悪そうな顔をしているのもいない。

 と言うか待て。今日休みってゆうたやーん。なんで学校きとんのん?

 なんて思わず似非方言が出てきた。私の頭そろそろやばくないか?

「美深魅、お前は誰と仲良くなりたい?」

 五十畑が猫なで声でアマっちに聞いてる。

 思うんだけどさ、こうしてゲーム世界の住人(物凄く廃人ぽい響き)になってわかるんだけどさ。このゲーム、結構小学校かっ!? って思う場面多くない? 普通高校でいじめられたからって、その子がオトモダチが出来るように教師が間に入るものなのか?

 むー。わからん。


 なんて無感情で三流芝居を見ていると、美深魅はやがて嘘泣きをやめて教室をぐるりと見渡した。熱いのは教壇に立っている二人で、クラスメイトは休み時間毎に黄色い悲鳴を上げている人たちとは同じ人だと思えないくらい冷えた無機質な目を向けている。

 やがて何かを選定し終わったのか、アマと私はばっちり目が合った。

「美深魅、高橋さんと仲良くしたいですぅ」

 な、涙目上目づかいだとぅ!? な、なんてことだっ! もう私はその瞳にめろめろだよはにぃ!

 頬をヒクヒクとさせながら思っていた。なんでここにくんだよ。テメェ一度もきたことねぇだろぉっ! ちくしょー。

「高橋、それでいいな? 可愛い美深魅のためにな!」

「可愛いはあんたにとって枕詞か。死ね畜生」

 おっといけない。あんまりのことに、精神年齢50はとうに過ぎた私も悪態をついてしまったよ。

「何かいったか?」

 あいにくとボソッといったおかげか聞こえなかった。

「いいえ。なんでもないですよー? ぁま……美深魅さん。ヨロシクネ」

 ふ。名指しでご指名とはな。おれホストにでもなれんぜよ。アマって呼ぼうとしちゃったなんて全然ない。

「じゃあ席に戻れ美深魅」

 お。怨念が通じたのか枕詞がつかなかった。

 すたすたと歩いて、端っこから戻ればいいのにわざわざ真ん中を通ってきて私の前で一度止まる。

「よろしくね?」

 きもちわるいほどに媚を売った笑顔に、全私が嫌悪しながらも「うん」と返す。

 握手を求められたから後で洗う覚悟で握り返すと、少しだけ、いやかなり力を込められた。

「人の名前勝手に読んでんじゃねぇよ」

 と低い声で残して去って言った。


 ……。

 やだ。あの子ってば。

 そんなに、アマさんって呼んで欲しいなんて……。スラッシュを三回くらい語尾につけたくなっちゃう。はぁと。

「うるせぇよ媚アマ。齢80過ぎが。ロート(以下自主規制)」


 その日、私は転生して初めて口汚い言葉を使いました。もれなく美深魅ちゃん、改ためアマちゃんが睨んできてたけど、あいにくと口げんかでは負ける気がしません。


これから二人の対決が始まる....!


....なんてことは、ありません。



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