5話
作中に登場する村島春雄(イメージモデルはエーリヒ・ハルトマン)少佐の部下、丸島政一大尉のイメージモデルは勿論、ドイツ空軍の誇るアフリカの星、ハンス・マルセイユです。
フィリピン、サマール島・日本国防陸軍陣地
「こちら日本陸軍第2戦車連隊!!オーストラリア陸軍第15戦車大隊応答せよ!繰り返す、オーストラリア陸軍第15戦車大隊応答せよ!!」
フィリピン援護の為に米豪両軍と共に派遣されていた日本国防統合軍第1援比部隊長兼第11戦車師団第2戦車大隊長を務める西宮竹男中佐が乗車である10式戦車の車長席で無線に向けて叫ぶ。
下田中佐が焦りを見せたその頃、豪州陸軍第15戦車大隊所属のM1A2戦車は中国陸軍のフィリピン占領部隊所属の13式戦車の前に次々に撃破され、壊滅状態に陥っていたのである。
「くそっ!!応答無しか・・・・・・」
西宮中佐がそう言った次の瞬間だった、この戦争が起きる前は幹線道路だった場所に先程の豪州陸軍戦車大隊に壊滅的打撃を与えた中国軍の広州軍区所属のある戦車隊の13式戦車が通過したのである。
「車長!あそこに13式戦車がいます!」
「よし、16式対戦車砲弾装填、照準完了次第射撃用意!!」
西宮中佐がそう言うと自動装填装置に23式対戦車徹甲弾が装填される。
「・・・・・・撃て!!」
砲手の宮本曹長がそう叫ぶと08式120㎜滑空砲が火を噴く。
20秒後、中国軍の24台13式戦車隊の隊長車が破壊され、中国軍の戦車隊は統率を失い、混乱状況に陥った。
「小日本軍め!!と、とにかく撃つんだ!!」
戦車隊副隊長で、臨時指揮官となった宋軍建少佐が震えながら叫んだ。
だが、次の瞬間だった、彼の乗る戦車に21式対戦車炸裂弾が命中、13式戦車が表面に装備していたEⅹplosion Reacive Armorが爆発し、その直後、西宮車の後ろにいたもう1両の10式戦車が放った23式対戦車徹甲弾が炸裂し、宋少佐とその13式戦車を乗員諸共吹き飛ばしたのである。
いや、それだけでは無かった、13式戦車が搭載していた砲弾に23式対戦車徹甲弾と21式炸裂弾が引火し、その破片が後続の車両にも降り注いだ。
そして中国軍は降り注いだ指揮官車の破片によって視界を奪われ、その隙に日本側の10式戦車が放った23式対戦車徹甲弾が運転席や砲塔などを破壊し、戦車そのものの機能を奪わず、戦闘能力を奪ったのである。
『ピー・・・・・・こちらオーストラリア陸軍第15戦車隊!本地域で活動中の友軍に告ぐ、我が部隊は壊滅的打撃を受けており、戦闘不能、繰り返す我が部隊は戦闘不能なり、負傷者多数、応援すぐに願う!』
「こちら日本陸軍第2戦車大隊、これより貴官らの援護に向かう!」
西宮は安堵した表情を浮かべていたが内心では不安でいっぱいであった。
沖縄上空・7月15日
「レーダーに反応あり!!」
日本防空軍第302飛行隊所属のF―3飛燕Ⅱを駆る”ブービー”こと村島春雄少佐が僚機の”スター”こと丸島政一大尉に伝える。
「隊長、敵はどうやらJ-37フェニックスの様ですよ・・・・・・こないだ領空侵犯してきたヤツと一緒ですね」
丸島がそう言いながらニヤリとする。
「おいスター、油断するんじゃないぞ・・・・・・行くぞ!」
村島少佐が乗るF―3が敵の方向へ向かうべくアフターバーナーを炊くと丸島大尉と小島中尉の乗るF―3もアフターバーナーを炊いて加速する。
〔警報!警報!敵誘導弾接近中!敵誘導弾接近中!〕
「くっ!!スターそれにニック、ミサイルが迫っているぞ!!」
ニックとは小島中尉のコールサインである。
3機のF―3は一斉にチャフをばら撒くと変態機動で回避に成功した。
「んっ!?敵の早期警戒管制機がこんな所にいたとは!」
村島は急激な軌道の中、ESMの解析結果を見て焦った。
次の瞬間だった、中国軍のJ―37戦闘機が放ったPL―15レーダー式空対空誘導弾によってE-2が撃墜されたと言う報告が入ったのである。
「やってくれたじゃねーか!!セプター1!フォックス1!」
村島がそう言うと彼は中国軍のJ―37に対してAAM―6を放った。
AAM―6を早期警戒管制機が感知し、J―37に伝え、更にその早期警戒管制機はジャミングを開始し、J―37に迫るAAM―6を明後日の方角へ向けさせようとした。
「引っかかったな!!セプター2!フォックス1!」
村島の乗機が放ったAAM―6は囮と見せかけた本命であり、最初からAWACS機を狙っており、丸島が最初から護衛のJ―37を狙っていた。
30秒もしない内に中国軍の空警2000早期警戒機が空中で砕け散り、その護衛を務めていた5機のJ―37の内2機が海面へ落下していった。
残った3機は勇敢にも同数だとわかっており格闘戦に挑むが、丸島が放ったAAM-7の餌食になり、2機が撃墜されたのである。
だが、この空戦の後も中国軍は沖縄爆撃作戦を続け、多大な犠牲を払うが沖縄を占領する事自体は諦めていなかったのである。




