4話
F―3はF―2の後継機と言う位置づけですが、F―23と比較して国産と言う事もあって生産コストが低い上に、各種性能も高い事もありF―23が調達出来ない分もこれで補う計画も出ている。
空母翔鶴戦闘指揮所
「マニラ偵察に向かったショー中隊より連絡が入りました!」
通信士官がそう言うと司令がすぐに内容を訊いた。
「ふむ・・・・・・内容は?」
「はっ、マニラを偵察しに向かったショー中隊と中国海軍の山東搭載のJ―10隊と交戦、6機の敵中隊の内、約1機を撃墜、もう1機を不確実に撃墜、ショー中隊は被害無しとの事です・・・・・・」
「それにしても連中は全方向に喧嘩を売っているな・・・・・・」
司令がそう言った瞬間だった、マニラ市が陥落したと言う情報がクアラルンプールの日本大使館より入ったのである。
「司令、クアラルンプールの海軍武官より入電、マニラ市がたった今、陥落した模様です・・・・・・」
「何だと!!」
マニラ市陥落を聞いた司令は新たな作戦を命じた。
そう、翔鶴空母打撃群所属の潜水艦によるマニラ湾偵察作戦である。
潜水艦蒼龍・指揮所
「作戦の概要が届きました・・・・・・」
通信士官がそう言うと作戦概要を書いた紙を艦長に渡した。
「ほう・・・・・・この作戦は面白いな・・・・・・」
作戦概要が印刷された紙を読んだ艦長がそう言う。
蒼龍は紺碧の南シナ海に身を隠しつつ、マニラ湾へ向けて航行していた。
数日後、蒼龍は漆黒の闇の中潜望鏡深度に浮上するとマニラ湾の主となっていた中国海軍の艦隊を発見すると写真を撮影し、急速潜航を行った。
ここで下手に手を出せば敵に見つかってしまい、偵察作戦が失敗に終わる。
そう考えれば先に手を出さないのは正解であろう。
蒼龍はすぐに12ktでマニラ湾を離脱し、山東空母機動艦隊の停泊するマニラ湾の様子を印刷し、洋上で合流した潜水母艦日進に引き渡した。
日本領空、おそらく沖縄上空
6機の最新鋭戦闘機F―3飛燕Ⅱが上空警戒に就いていた。
「レーダーに反応!!敵機複数!各機、かかれ!」
隊長の村島春雄少佐が無線越しに僚機に向けて叫んだ。
(敵の数は俺らの4倍か!!おまけに護衛はこっちの2倍のJ―37かよ!)
「早く蹴りを付けたいものだ!!行くぞ!」
村島春雄少佐は日韓紛争時、空自の3尉として空戦に参加、佐渡島空襲を狙う韓国空軍の攻撃部隊20機にF―15Jで挑み、その内4機を当時の上官と協力して撃墜し、日韓紛争全体で7機の撃墜記録を残している。
J―37鳳凰戦闘機、2023年に就役した5世代戦闘機で、その前に開発されたJ―20と共に次世代の中国空軍の主力を担う機体と言われている。
村島少佐はレーダーを武器管制モードに切り替える。
そして村島はタッチパネルに表示された武器のロックを解除すると、操縦棒の上にあるミサイル発射用のトリガーを握る。
「ゴースト1!!フォックス1!!」
村島が被る照準機一体型ヘルメットが敵機の予想位置を示した十字が赤くなり、ロックオンと表示され、その直後、彼はトリガーを引いたのである。
AAM―6は対ステルス能力を有する最新鋭空対空ミサイルであり、その性能は世界最高とも言われている。
F―22から水平尾翼を取ったような見た目をしているF―3のメインウェポンベイが開くとAAM―6が少しだけ落下し、前に装備する操縦翼と後ろに装備する安定翼が開くとラムジェットエンジンが稼働し、目標へ飛翔する。
2分後、F―3から放たれたAAM―6を感知したJ―37戦闘機はすぐに回避を試みるが、AAM―6の性能はそれを凌駕した。
12機いたJ―37戦闘機の内7機はAAM―6によって一瞬で撃墜され、残った5機はJ-10譲りの機動性を生かして勇敢にもF―3に対して格闘戦を挑むが、F―3の米国のF-22やロシアのSu-50に匹敵する優れた機動性に翻弄され、AAM―5の餌食となった。
無論、護衛を喪失した爆撃機など戦闘機の前には敵ですらない。
「ゴースト1フォックス3!!」
村島がそう叫ぶとF―3に装備された20㎜機関砲が火を噴く。
村島とその僚機は中国軍による沖縄占領計画を阻止すべく、この戦争が終わり、モスクワ停戦条約が締結された2028年の3月までに延べ235回出撃し、計28機の個人撃墜と5機の共同撃墜を記録した。
潜水艦母艦日進から暗号化されて送信された情報は翔鶴機動部隊と瑞鶴機動部隊の両方に伝わり、後に第2次レイテ沖海戦と呼ばれる日米艦隊と中国艦隊の激闘の幕が開くのであった。
どうでも良いですけど作中の日本は6個空母機動艦隊を所有してる気がしますが、2個は予備と言う位置づけにしときます。
瑞鶴級は省力化が進んでおり、乗員は1257名と言う事にしときます。