17話
潜水艦飛龍が中国艦隊を攻撃する話です。
7月29日午前5時30分、この日、マニラ湾外に停泊するフィリピン占領艦隊旗艦の空母山東は突如、雷撃を受け、大破航行不能に陥った。
潜水艦飛龍(SS-507)指揮所
「司令部へ打電、”敵空母に対し、雷撃を敢行、効果甚大と認む!”」
艦長の橋口修一郎中佐がそう言うと、電信装置によって暗号化された同文章が呉にある国防海軍潜水艦隊司令部へ転送されたのである。
一方、山東の護衛を担当していた駆逐艦石家庄は・・・・・・
石家庄CIC
「ソナーの解析の結果、先程の攻撃は潜水艦からの攻撃の模様です!!」
水測員がそう報告すると砲雷長が対潜ロケットの発射用意を整えるように命じ、艦上構造物の上に装備された6連装対潜ロケット発射機が旋回し、行革を上げて発射体制を整える。
「水測員、目標の位置を報告しろ!」
「目標喪失、どこか不明です!」
「馬鹿を言うな!魚雷及び対潜ロケット爆雷発射態勢は継続し、いつでも水中の敵を叩ける様にしておけ!いいな?」
砲雷長がそう言った次の瞬間にもソナーに突如、圧潰音が聞こえてきて、恐らくその音源は味方の”キロ級攻撃潜水艦”だろうと砲雷長は推測した。
その推測は確かに正解だった、だがその推測が正解であると言う事は敵は我々に対しても雷撃をする機会を覗っていると言う事だ。
数分後、砲雷長が恐れた事は現実のものとなったのである。
「て、敵魚雷接近中!!雷速35!!対潜ロケット発射!」
両舷に装備された多連装対潜ロケットが発射準備を終えたその直後だった、石家庄の後方を航行していた駆逐艦斉斉哈爾の船腹に巨大な穴が開いて、多量の海水が機関室に流れ込みあっと言う間に海中へ沈んでいった。
「ち、斉斉哈爾轟沈・・・・・・」
輝点が消えたのを見て電測員がそう呟いた。
その報告を聞いた直後、彼らも感じた事の無い様な衝撃を感じた。
そしてその衝撃を二度感じる事無く、石家庄は海底へ葬られたのである。
飛龍指揮所
「各地で暴虐を尽くして来た敵とは言え、所詮は同じ人間だ・・・・・・」
艦長がそう呟くと反論するものは誰も出なかった。
「そして俺らも彼らも軍人だ、上からの命令には逆らえない、それは仕方ない事だ・・・・・・彼らも勇敢な戦士だった・・・・・・」
艦長が続けざまにそう言うと戦死した中国水兵に対し冥福を祈った。
そして飛龍はマニラ湾から離れ、台湾沖で行動し、台湾奪還作戦に脅威となっていた中国海軍の巡洋艦重慶を撃沈した事により、台湾軍による国土全面奪還作戦を間接的に支援した、直後に佐世保へ帰投した。
空母山東は雷撃を受けて数時間後に巨大な爆発を伴って轟沈、中国の超大国としての自負とともにマニラ湾の海底へと消えていったのである。
だが、マニラ市は完全に中国軍の要塞と化しており、上空からの徹底的な爆撃、洋上からのトマホークミサイル攻撃なども与えたが中国軍の防空陣地がトマホークや戦略爆撃機に少なからず被害を与え、空挺作戦を先送りさせることに成功、それ故にマニラ攻撃作戦は8月25日まで続くのであった。




