15話
マニラ決戦の前に日本海上空空戦と行きます。
次回は桐村と梁の空戦とマニラ決戦です。
作中に出てくる新型巡洋艦由良ですが、命名理由はあのゲームで私の艦隊における対潜担当が初霜と由良なので、由良としました。
占領前はマニラ市の市役所だった建物には中国軍フィリピン占領司令部が設置され、同様に占領前は国際空港として機能していたマニラ空港には中国空軍のJ-37鳳凰戦闘機やJ-11などが駐機しており、空港の周囲には地対空誘導弾発射装置や水上艦艇用の30㎜近接対空砲などが設置され、万全の対空防御態勢が整っていた。
占領司令部
「たった今、北京から命令が入りました、午前11時を以ってミンダナオ、レイテを放棄し、パナイ島を最南端防衛ラインとせよとの事です」
通信士官がそう報告すると司令が溜息をついた。
「ミンダナオが陥落したと言う事は、つまりは我々に後は無いと言う意味か・・・・・・」
司令は深い溜息をつくと手元にあったコーヒーを飲んだ。
7月28日、佐渡島に対して駐韓中国海軍所属の駆逐艦烏魯木斉とフリゲート煙台が放った鷹撃35巡航ミサイルが発射され、多数の住民が死亡した。
数時間後、韓国籍の貨物船が佐渡島の港へ入ると、中国兵が港へ降りてきて港湾労働者や佐渡島民を射殺し、佐渡市役所に中国の五星紅旗が翻った。
舞鶴を出港した旗艦である巡洋艦由良を含む8隻で構成された日本海方面防衛艦隊は日本海洋上で中国軍の動向を監視していた。
巡洋艦由良CIC
「たった今、佐渡島に中国軍が上陸した模様です!!」
通信士官がそう報告すると由良の砲術員達が唖然とする。
「横須賀より入電、”これより日本海に展開している各艦隊は中国海軍日本海艦隊を迎撃せよ!”との事です!!」
「そうか・・・・・・対潜、対空、水上警戒を厳となせ!」
艦長がそう言った瞬間だった、由良の装備するFCS-3対空レーダー用のスクリーンに敵機を示す複数の輝点が映った。
「思ったより敵さんははやかったな・・・・・・対空戦闘用意!」
『対空戦闘用意、これは演習に非ず、繰り返すこれは演習に非ず!』
「か、艦長!!目標から高速飛翔物体分離、た、対艦ミサイルです!!」
「くっ!!目標は対艦ミサイルに評定、ってぇえええ!!」
対空戦闘命令が下ると由良の搭載するFCS-3改+2が自動的に目標脅威度判定を行い、自動的にその目標に向けて照準を合わせる。
自動的に目標評定を行う間は火器管制員は操作せずに済むが、流石にミサイルの発射は人間の手によって行われる。
「・・・・・・追跡番号1542~46に対して攻撃開始!!一斉斉射!」
宮倉砲雷長がそう叫ぶと由良とその僚艦であり同型艦である鞍馬の前甲板に装備されたMk-41VLSから多数のESSMが飛翔する。
数分後、由良以下6隻の日本海方面防衛艦隊が放ったミサイルが中国軍爆撃機が放った12発の鷹撃対艦ミサイルの内、7発を撃墜した。
だが、次の瞬間だった・・・・・・
「鞍馬より入電、我、戦闘行動不能との事です!」
「妙高被弾、後部誘導装置損傷、戦闘行動は困難との事です!」
瀬戸村司令に対して通信士官がそう報告する。
「妙高と鞍馬がやられたか・・・・・・」
司令がそう言うと大きくため息をつく。
ESSMとSM-6によって撃墜し損ねた5発の対艦ミサイルの内、3発を12㎝速射砲やESSMで撃墜する事には成功したが、残った2発は鞍馬と妙高に命中し、それぞれ2隻を戦闘不能に追いやった。
そしてその発射母機も鈍重であるが故に戦闘機ですら会費が困難といわれているSM-6とESSMを回避する事は出来ずに撃墜された。
一方、日本海防衛艦隊とH-6戦略爆撃機が交戦する間にも、他のH-6爆撃機が日本海沿岸の各地を爆撃すべく日本海沿岸へ迫っていた。
「これより爆撃進路へ入る!!直援戦闘機隊の先導に従え!」
爆撃隊長の周大佐がそう言った直後、護衛を務めていた1機のJ-11が砕け散ると、多数のAAMが愛機のレーダースコープに表示され、操縦室にはミサイルにロックされた事を示すレーダー警報音が鳴り響く。
「くそ!戦闘機隊は敵戦闘機を排除しろ!」
周はそう言うが、無慈悲にもH-6爆撃機とJ-11戦闘機合わせて8機がさっそく撃墜され、戦闘機隊がミサイルが来た方角へ向かう。
「ここから先を通すと思っていたか!!」
F-3A飛燕Ⅱのコックピット内で305迎撃飛行隊の隊長である桐村宗治大佐がそう言うと中国空軍のJ-11の編隊に対して空戦を挑む。
因みにこのF-3はF-22やSu-50等といった新世代戦闘機同様にプガチョフ・コブラと言う凄まじい機動を行う事が可能な偏向式パドルを有しており、格闘戦における急速な機動や短距離離着陸性能に優れており、あらゆる高度において敵に対して圧倒的に優位に戦う事が可能といわれている。
桐村はF-3の力を極限まで信じてこの空戦で3機の撃墜を記録するが、彼もまた日韓戦争で8機の撃墜記録を残した撃墜王である。
閑話休題、中国軍のエースパイロット、梁陽翻大佐も派手な塗装を施した愛機、J-37の性能を信じてドッグファイトを果敢に挑んだ。
(兄貴・・・・・・お前の敵は俺が討つ!)
梁は3日前に巡洋艦北京艦長として戦死した兄の写真を胸ポケットから取り出し、それをみつつ一人胸中で呟き、爆撃機迎撃中だったF-35Jを2機撃墜したのである。
(仲間たちとこの国の空は俺が護る為に戦闘機乗りと言う仕事を選んだんだ・・・・・・)
レーダースクリーン上で加速する敵機に向けて桐村もそう思いつつもABを炊いて愛機を加速させる。
ここに日中エースパイロットの空戦の幕が切って落とされた。




