12話
作中のHH-47JBスーパーチヌークは創作上の機体ですが、恐らく今後この機体に近いCH-47の改良型が出るでしょう。
(もしかしたらもう出ているかもしれません)
7月25日の空戦でミンダナオ島上空の制空権を握った日米豪3か国合同軍所属の強襲揚陸艦サラトガ、キャンベラ、伊豆、輸送揚陸艦国東、大隅、ジュノーの6隻から多数の兵員と車両、そして各種航空機がダバオへ向かう。
因みに豪州陸軍は日本から日英共同開発の新型戦車24式戦車をMk-24MBTとして導入し、本作戦へ満を持して投入したのである。
だが、中国軍のダバオ防衛部隊は99式戦車を主力に、13式戦車、更にはソ連製の装甲車にZ-10攻撃ヘリを揃え、兵員には携帯型対戦車ロケットや地対空誘導弾が配られており、その戦力を侮れば此方も大きな被害を被るであろう。
「各車、戦闘配置に付け!!」
車列の先頭のM1A3MBTに乗るブラウン米海兵隊中佐がそう言うと彼の指揮下にある海兵隊員および日豪両陸軍および海兵隊員が了解と応じた。
米海兵隊のM1A3エイブラムス、日本国防陸軍の90式、10式戦車に、豪州陸軍のMk-24MBT、M1A3主力戦車などが多数の浜辺からダバオ市街地に向けて車列を一列に組んでいた。
突如、その車列の上空に力強いエンジン音が鳴り響き、多数の黒い影が車列の上空に現れた。
その影の正体は米海兵隊と日本国防陸軍所属のV-22輸送機に、HH-53、日本のHH-47JB大型輸送ヘリ、UH-60、UH-1と言った汎用ヘリが上空を米海兵隊及び豪州海軍のF-35Bとその日本仕様である海軍所属のF-35BJが、露払いを行い、空挺ヘリ部隊の護衛として米海兵隊のAH-1と豪州陸軍のEC-665、日本国防陸軍のAH-64EJとOH-1である。
「良いな?空挺隊に負けるんじゃねーぞ!」
ブラウン中佐がそう言うと彼の部下たちは頷いた。
「隊長!日本の観測ヘリより報告、”敵戦車隊は進行方向の1時の方角にあり、注意されたし”との事です!」
「そうか・・・・・・3時の方角へ主砲を向けろ!」
「・・・・・・了解!目標、3時の方角、砲弾装填用意!」
ブラウン中佐のM1A3がそう言った次の瞬間だった、彼の車両から見て右側に中国軍戦車と思しき戦車が放った砲弾が着弾したのである。
「くそっ!!もう撃ってきやがったのか!こちらフレーム01、援護を海兵隊航空部隊に支援を要請する!」
『了解、こちらソード6、これより貴隊の援護に向かう!』
1機のAH-1がブラウン中佐の戦車隊の援護に向かうが・・・・・・
『ソード6よりフレーム隊、射撃目標の位置を把握した、これより・・・・・・うわぁああ!!』
通信の直後、火達磨になったAH-1Zは地面に叩き付けられた。
「くっ・・・・・・ミヤモト!お前が頼りだ!」
「車長、装填完了しました!」
ブラウンが車長を務める戦車の砲手であるジャック・ミヤモト上等軍曹の報告を聞いた彼はすぐに射撃を命じた。
戦車の砲手としてのミヤモトの腕前は海兵隊でもトップクラスで、パリスアイランド海兵隊訓練学校を卒業し、海兵隊兵器学校へ入学。
そこで戦車における砲術のエキスパートとして名を馳せたのである。
「・・・・・・目標!Type13型!・・・・・・撃て!」
ミヤモトがそう言った次の瞬間、彼らの車両に途轍もない衝撃が走った。
「み、ミヤモトに、ジョン、ジム・・・・・・お前ら大丈夫か?」
衝撃が収まるとブラウンは二人に声を掛けた。
「わ、私は無事です・・・・・・」
ミヤモトがそう言うと続いてジョンが答えた。
「うぐっ・・・・・・何とか、でもジムの野郎が・・・・・・」
車内で最も若い、装填手のジェームズ上等兵が血を流して倒れていた。
「ジェームズ!お前、大丈夫か?」
「は・・・・・・はい、隊長、私の怪我など無視して作戦続行を頼みます」
往年のドイツ戦車兵みたくすぐにキューポラから身を乗り出すとブラウンは上空を見た。
「くっ・・・・・・中国軍攻撃ヘリか・・・・・・」
制空権を確保したとは言え、F-35が多数来ているのは中国軍の戦闘攻撃機を邀撃する為であり、対ヘリ攻撃には回す事が出来ない。
愛車を撃破されたものの、比較的軽傷で済んだミヤモト軍曹はジェームズ上等兵を背負ってメディックの待つUH-1に向けて走る。
一方、上空ではソード隊とシャドー隊及びパンサー隊が協力して中国軍の攻撃ヘリに対して空中戦を果敢に挑んでいた。
次回から終章と行きます。
8話構成となります。




