11話
本作のF-2は能力改修でリンク16能力を付加しています。
次回からダバオ市街戦、日米豪3か国軍が苦戦する内容になります。
2027年7月24日、
F-35とF-15CとJにF-2、F/A-18E/Fが6個飛行中隊を組んで幾度かの空中給油を経て豪州北部の基地からダバオへ向かっていた。
無論、作戦空域までは厳重な無線封鎖が施され、米軍のE-3セントリー早期警戒管制機からのリンク16で入る情報のみで飛行する事になる。
因みに今回の日米豪空軍の主力隊の構成は以下の通りである。
作戦指揮官 C・リチャードソン大佐(使用機 F-16E)
ヘッド中隊(駐三沢米空軍・使用機 F-16E/F)
サターン中隊(日本防空軍・使用機 F-15J改/DJ改)
レインボー中隊(駐沖米空軍・使用機 F-15C+/D+)
クラウド中隊(米海軍航空隊・使用機 F/A-18E/F)
ハンター中隊(日本防空軍・使用機 F-2C/D)
サンダー中隊(豪州空軍・使用機 F/A-18F)
ストーム中隊(豪州空軍・使用機 F-35A)
ブレーク中隊(米海軍航空隊・使用機 F-35C)
ハリケーン中隊(米空軍・使用機 F-35A)
ブリザード中隊(日本防空軍・使用機 F-35J)
であり、操縦士も練度の高い操縦士がそろっていた。
特にサターン中隊を率いる原木元雄中佐は日韓戦争で11機撃墜のエースパイロットであり、一方のハンター中隊を率いるのもF-2の操縦資格を取り直した日韓戦争で7機撃墜のエース、村島春雄少佐である。
日米豪共同作戦であるダバオ奪還作戦において日本側がこの2人を送り出したのは北見、鷲野に匹敵する実力を有していると見込んだからである。
閑話休題、66機の航空隊は作戦空域上空に到達すると日米豪3か国の独立した中隊に分かれて中国軍の奇襲に備える。
「・・・・・・レーダー反応あり、各機散開!」
リチャードソン大佐がそう命じると66機の戦闘機が一斉に散開し、中国軍の攻撃を回避する運動に入った。
これで何とか第1回目の攻撃を回避したが、次の攻撃が来た。
PL-15対空誘導弾は射程120㎞、最大速度マッハ3.2に達するが、我が国のAAM-4Dや米国の先進AMRAAMと比較して性能は劣る。
だが、100㎞先の敵を母機のレーダーが探知し、それに向けてデータリンクと慣性誘導を用いてその目標たる敵機へ向かう事は可能であった。
『サターン1より各隊の武運長久を願う・・・・・・突撃!』
原木中佐がそう言うと握っていたトリガーを引き、彼と彼の僚機からそれぞれ1発のAAM-4Dが飛翔し、中国軍の突出した中隊へ向かう。
同じ頃、中国軍編隊では・・・・・・
「帝国主義者どもから攻撃があった!各位、こっちの力を見せてやれ!」
そう言ったのは中国陸軍大将の息子で、僅か25歳である飛行中隊の中隊長となった江征軍大尉であった。
彼が攻撃命令を下すと彼のJ-11からPL-15空対空誘導弾がサターン中隊へ向けて飛翔するが、サターン中隊は即座に散開し、元の場所へ戻り、味方と協力して敵に強烈な妨害電波を浴びせるジャミングを開始した。
無論、幾ら電子性能が向上しているとは言え、所詮は欧米製や日本製と比較して対電子妨害性能は極めて低く、ジャミングには弱い。
だが、6発のPL-15の内、1発がヘッド中隊の1機に命中し、ヘッド中隊に所属する1機のF-16が海面へ落下していった。
『ヘッド3が撃墜された!各機、注意された・・・・・・うわぁあああ!』
司令が各中隊へ敵の攻撃を警戒するように言った次の瞬間、彼の乗機も中国軍フィリピン派遣航空隊所属機の放ったPL-15に撃墜されてしまった。
「くそっ!ヘッド1がやられたか!敵討ちだ、フォックス1!」
サターン1こと原木中佐がそう叫ぶと再びAAM-4を放つ。
ちょうどこの時点で3か国合同航空隊と中国軍航空隊との距離は70㎞、両陣営が有する空対空ミサイルの射程としては十分、有効射程であった。
原木中佐の放ったAAM-4を江大尉は愛機、J-11の高い性能を持って振り切れると確信しており、彼はプガチョフ・コブラというSu-27系統の戦闘機が得意とされる機動で回避を試みた・・・・・・・だが。
その望みを打ち砕くようにコブラ機動中も警報音が鳴り止む事は無かった。
対ベトナム・フィリピン侵攻作戦で、越軍のSu-27と比軍のF-16含む7機の撃墜記録を残した中国空軍のエース江大尉はダバオ上空に散った。
原木は次席指揮官として、リチャードソン大佐に代わって3か国合同飛行隊に敵が指揮官を喪い混乱しているのを見計らい各隊へ攻撃を命じた。
この攻撃で中国軍は一気に19機の喪失したが、すぐに反撃に転じ、3か国合同航空隊の内、米空軍のF-15Cと日本防空軍のF-15Jを計3機、米海軍と豪空軍のF-18を計5機、3か国のF-35を計3機撃墜した。
中国空軍との交戦を終えた3か国合同飛行隊夕闇に染まるダバオの市街地上空を離れ、空中給油地点へ向かい、豪州を目指した。
途中、原木は海原に向けて敬礼をした。
無論対象は敵味方関係無く、ダバオの沖に散った空の勇士達である。
25日、激戦続くダバオでは・・・・・・
国防陸軍の航空支援隊と歩兵及び戦車科が米海兵隊、米陸軍、豪陸軍の攻撃ヘリ、歩兵、戦車らと協力し中国軍陣地に対して攻撃を加えていた。
だが、要塞と化したダバオ市街地を簡単に陥落させる事は難しい。
今、中国軍最大の反撃といえるダバオの市街戦の幕が切って落とされた。




