10話
作中で登場する15式ULCMは射程500㎞の巡航ミサイルで、洋上艦艇用のSSM-3と同時開発されているが、どちらも対地、艦能力を持つ
南フィリピン沖海戦で敗北した中国海軍であったが、中国政府中枢は未だに敗北を認めていなかった。
だが、この日、日米軍はダバオ奪還に先駆けて海南島の軍事施設を殲滅するとある作戦を開始したのであった。
2027年7月24日午前2時57分、漆黒の闇に包まれている海南島の沖合の海中には3隻の鋼鉄の海の殺し屋が息を潜めていた。
潜水艦蒼龍指揮所
「司令部より入電!敵軍港施設に攻撃を実施せよ!との事です!!」
通信士官がそう報告すると艦長が潜望鏡深度まで浮上するように命じた。
「15式巡航弾を装填、潜望鏡をIRモードに変更!」
艦長がそう言うと4発の15式巡航弾が魚雷発射管へ装填された。
「時間だ・・・・・・って!」
艦長がそう叫んだのは2時59分、水面に飛び出すのは3時であった。
中国軍レーダーサイト
「!!敵ミサイル飛来!迎撃戦闘機及びミサイル要員は配置に付け!」
レーダー管制員がそう叫ぶと37㎜機関砲や730型30㎜対空機関砲が一斉に空を睨み、上空のJ-10もミサイルに警戒する。
ULSM-3は超低空をマッハ1.4の速度で突っ切ると海南島要塞最南端にある軍港へと接近、在泊中の駆逐艦深玔以下各艦が主砲や730型対空機関砲で応戦するも、超低空からホップアップで上昇したULCM-3はベトナム・ラオス制圧戦のハイフォン沖海戦で損傷した空母広東へ直撃した。
ULCM-3が命中して舷側に穴が開いた空母広東は次の瞬間、飛行甲板から巨大な火柱が上がり、広東は巨大な爆発を起こした。
その爆風は作業員やクレーン、消火のために来た掃海艇を巻き込んだ。
だが幸運にもドックの水門が広東の爆発によって破壊され、ドック自体の消火は成功したが、1隻の空母が完全に屑鉄へ変わったのである。
同時攻撃であった事もあり、潜水艦雲龍、白龍もそれに追随して海南島要塞殲滅の為に対地攻撃を開始した。
この日の奇襲で海南島にいた軍人の7割が死亡、施設の9割が焼け炭へ変わり、上空のJ-10戦闘機も着陸出来ずに燃料切れで不時着した。
一方、ダバオ上空では連日、日米豪軍に所属するF-35及びF-15C/JにF-16、F/A-18が中国軍のJ-11やJ-10と交戦、どちらも大きな犠牲を払ったが、中国側は数に物を言わすつもりだったが、多くの操縦士が未熟な新米操縦士であり、高性能なJ-11の性能を生かす事が出来なかった。
中国軍は87機中35機、対する日米豪軍も60機以上投入したが、実に23機を喪失し、戦果は互角とも言えた。
どうでも良いが、この戦いでJ-11隊を率いて日本のF-15隊へ挑んだもののAAM-4によって格闘戦へ持ち込む前に乗機を撃墜された中国陸軍司令の息子が戦死、日米側も三沢基地司令であり、空軍長官の弟であるC・リチャードソン大佐と三川恭二外務次官補の兄、三川義男大佐が戦死した。
実は中国陸軍司令の息子を戦死させたのは日韓紛争の英雄の一人である原木中佐であり、彼は日韓戦争で7機、東南アジア戦争で約14機の撃墜数を稼ぎ、生涯撃墜数21機、鷲野及び北見(28機)に次ぐエースとなった。
その空戦は次回で紹介するが、原木はF-15の撃墜王でトップとなった。




