終わり
気がついたのは、ベッドの上。
窓から見える空は、いつものように青い。
場所は、僕の家の、僕の部屋。
夢でも見ていたのか……そう思って、ベッドから降りる。
ただ、夢にしては、記憶がはっきりしている。
ただ、僕が思い描いた幻想だったのか。
分からない、もう考えるのはよそう。学校へ行く時間だ。
気持ち早めに階段を降り、用意を済ませて家を出る。
今日は雲一つない、いい天気だ。
蒼く染まった大空。僕はこの空が大好きだ。
幼い頃、父に貰った手に収まるサイズの鈴は、どこかに無くしてしまった。
そんな物思いにふけっている暇はない。
今から走れば遅刻ギリギリに間に合う。僕はそこそこ本気で走り出した。
***
放課後、空がオレンジに染まっていく。
帰宅部の僕はすぐに家に帰る。
部活で汗を流したこともあったが、もう今となっては昔の話だ。
白い息が、横にたなびく。
そういえばこうして、よく二人で空を見上げたっけな。
帰宅路を歩きながら、空を見上げる。
そよ風が、僕の頬を撫でる。冬の冷たい風は、僕の心に染み込んだ。
続いて頬に感じたのは、冷たい、水。
それが僕の涙と気付くのには、そう時間は掛からなかった。
頬を伝い、落ちていく一筋の涙。
これ以上、涙は出ないようだった。
涙を手の甲で拭い、自分の手を見る。
赤く、ぼやけて見えた。
これで完結、ということになります。中途半端な終わらせ方ですみません。今まで読んでくださった方々、ありがとうございました。