二章
【二章 侵入者】
あれ以来おかしな人影はでてこない
やはり単なる不審者だったに違いないと恭輔は思いながらも
―お前人間の癖にやるな
の一言が気になっていた。
傍から聞けば気の狂った発言にしかとれないが
確かにあの人物は半透明の歪んだもので斬り付けてきた。
「はぁ。。。」
などと恭輔がため息をついていると
家のチャイムがなった。
「んだよ」
悪態をつきながら玄関を出るとそこには奴の――例の不審者――姿があった
「上がるぞ」
「あ、ちょ、えっ」
恭輔が戸惑っている――というより状況に体が反応しなかっただけだが――と奴は勝手に部屋に上がりこんだ。
まことに理解しがたい現象である。
何故此処が分かったのか、なぜ今更になってきたのか。
そしてなによりなぜ今回はいきなり危害を加えるようなことをしないのか。
そのようなことを恭輔が思っていると
「お前も早く来ないか」
そう言われ恭輔がドアを閉めて中に入ろうとすると
「ぁのぉ…」
恭輔は驚きのあまり声が出なかった。
どうやらさっきの言葉は恭輔ではなくこの女にかけられたようだ。
続いて女も俺の部屋に入っていった。
部屋の中三人、妙な空気に包まれていた。
恭輔が我慢ならなくなってきたころ
奴らは何もいわず立ち去っていった。
恭輔は戸惑っていた。
この状況はなんなのか。
彼らは部屋に入っていって何を調べるでもなく黙り座り込んで
そして長くない時間で消えうせてしまった。
そして一つ気になることといえば恭輔が例のサイクリングロードを通って帰ろうとしたときに電話をかけてきた友人は実は大学に存在しないというのだ。
他の友人に聞いてもそんな人物はしらない。
さらには
そんな事件もしらない。
そういうのだ。
しかもその友人の家は入居者募集中になっていた。
「意味わっかんねぇよなぁ…」
恭輔はため息をついた。
普通の人間ならこんな状況になったら精神が病んでしまいそうなものだが
恭輔は違った。
「まぁ暇だし調べにでもいくか。」
そういうと恭輔はあのサイクリングロードへと足を運ぶ。
今まで幾度か足を運んだがあの時の様な感覚に浚われる事の無くなったあの道へ。