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マリア様の恋心

はじめに、前回の3話の中で、重複していた部分があり、大変失礼しました。その後正しく修正しました。読者の皆さんを混乱させてしまい、申し訳ありませんでした。今後この様な事のないように気をつけます。 快丈凪

ドキドキしながらボタンを押す。短く本文を打って、送信する。静かに携帯を閉じた。

私は茉莉乃亜美(まりの あみ)。あだ名はマリア。

今、メールを送った。

今日聞いたばかりのシンこと三木慎弥(みき しんや)君の携帯に…。

私は、どうやらシンに恋してしまったらしい。

もっとも、今までそんな感情を抱いたことがないので、よく分からないけど…。

さっき…シンとわかれたあと、駅から家まで…どの道を通ったかすら分からない。それくらい、ドキドキしていた。

そして、さっき…メールを送った。返事、くれるかな…。

すると、急に携帯が鳴る。シンからのメールだ。

受信ボックスを見る。そこには、

『マリア、メールありがとう。初メールだね。今、何してたの?』

とあった。

私は急いで返信した。

『私は今部屋でくつろいでるよ。シンは?』

送信。

パタンっと携帯を閉める。

なんだか、少し感動する。

今、こうしてシンも携帯のメールをみているんだ…。しかも、私の送ったメールを。

そう考えると、なんかメールって凄いと思う。

そんな時、窓を叩く音がした。…多分…いや、確実にアイツだ。

本当はムシしたかったけど、後からガミガミ言われたくないので、仕方なく窓を開けた。

案の定、キリこと霧島煉(きりしま れん)だった。

「なによ、なんか用?」

私は冷たく言い放つ。

「なにそれ…俺が来たらマズイ?どうせ暇だったんだろ。」

すこしたじろぎながらもサラッと言うキリ。それに少しカチンときた。

「用が無いなら閉めるわよ。」

と、窓を閉めようとした。

「あっ、タンマ!あるある、ありますっ!だから入れて…。」

そう言って、サッと部屋に入ってきた。…なかば、本気で閉めるところだった…。

「んで?何の用?」

「あのさ、明日、花火大会あるの知ってる?」

「花火大会?」

「そっ。明日、あるんだけど…行かない?」

「行くって…2人で?」

「そぉだよ。文句ある?」

「なにそれ…デートみたいじゃん。」

私はキリから目をそらす。…なんで?なんでちょっとドキドキしてるの?

「…デートのつもりだけど?」

…ウソ…。…つまり…?それは…。

「あのさ、冗談は顔だけにしときなさいよ。」

私は目をあわせないようにしつつ、何も知らない様な声で答えた。

キリに背をむけて座る。

…びっくりした…。でも…これって…告白?

ちょっと沈黙。

その時、携帯が鳴った。シンから。

「携帯…誰から?」

キリが尋ねる。

「シンから。…何?気になる?」

「お前さ、シンが好きなのか?」

…ストレートに来るねぇ。そうだよ。悪いか。

「…だったら何よ?」

「あのさ、お前騙されてる。アイツはお前が思ってるようなヤツじゃない。」

「…なんで?良い人じゃない。優しくしてくれるし、少なくてもあんたよりは気が利くわよ。」

好きな人を否定された…。

それが悲しくてムキになる。携帯を手に取ってメールを読む。…キリは何も言わない。

シンのメールには、

『俺も部屋だよ。そうだ、マリアは明日花火大会あるの知ってる?もし良かったら行こうよ!』

…とあった。

…どうしよう…。シンと行こうか…。でも…先に誘ってくれたのはキリだし…。

迷っているといきなり後ろからがっしりとした腕が私に抱きついてきた。

「…キリ…?」

キリは何も言わない。ただ、キリの胸の鼓動が聞こえる。私までドキドキしている…。

「好きだよ。マリア。ずっと前から…。」

耳元で囁かれる。

…だめだ…力が抜けてふりほどけない。

でも…私はなんとなく分かった。ふりほどけない理由がもう一つある。

「キリ…ごめん。」

私は泣き出してしまった。涙が溢れだした。

それに気付いたのか、慌ててキリは私から手をはなす。

「マリア!ごめん…。泣くなよ。分かったから…。」

慌てるキリ。

「ごめん…。俺、帰る。…本当にごめん。」

そう言って、キリは肩を落とし、窓から出ていった。

…分かったんだ。

私は、多分シンと同じくらいキリも好きだったんだ…。

小さい頃から側にいて…気付かなかっただけなんだ…。

でも…さっき抱きしめられて分かった。

そしてその事が…あまりにも残酷すぎて…泣いてしまった。

私はシンが好き。

でも…キリも好き。

どっちの感情にも違いがない。

…その事が…真剣に告白してくれたキリに悪くて…ごめんって言ったんだ。

携帯を見る。メールをうつ。

『ごめんね。私は、明日用事があるから花火大会行けない。ごめん。』

と打って送信した。

ダメだ…これじゃあ、どっちに対しても失礼だ。

私は携帯を閉じ、ベッドに横になった。

…どうすれば良いんだろう。この気持ち。

そんな事を考えてうとうとしていたら寝てしまった。

うっすらと、とおのく意識の中で、携帯が鳴った気がした。

…チュンチュンとスズメの鳴き声がする。

目を覚ますと、もう辺りは明るくなっていた。

…寝ちゃったんだな…。ボーッとしつつも携帯を見ると、メールがある。シンから。

そこには、

『そうか、残念だな。また会おうね。それでは、夜も遅くなって来たのでおやすみ。』

とあった。どうやら、返事を送る必要は無いらしい本文。

良かった…ムシしてたと思われなくて。

ホッとしつつも、なぜか心の奥には罪悪感のようなものが残っていた。

キリにシン…どうして両方好きになったんだろう。

どうして両方が好きだと気づいたんだろう。

やりばのない思いを抱えて、私は本に手をのばした。…本を読もう。

私は起き上がり、本を読むことにした。

そして物語に没頭しながら、昨日の思いと出来事を忘れることにした。

茉莉乃亜美。高校2年生。あまりにも切なすぎる思いを知った夏休みだった。


いかがでしたか?マリアが恋心を感じはじめました☆最終的にはどちらと結ばれるのかはまだ不明です(苦笑)でも、登場人物たちがみんな幸せになれる終りにできるようにこれからもがんばります!それではまた5話でお会いしましょう!

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