donkusa(ドンクサ) dシリーズ2
「ホントだ! デカ長、内側から鍵がかかってます!」
屋敷内の一室の前で、扉のノブを激しく揺らせている刑事。
これにデカ長が
「家政婦さん。このバーナーで扉を焼き切ってもいいですな?」
「これくらいでいいだろう」
扉にできた穴を見ながら、すぐに手を入れたデカ長
「よいしょっと! お、外れた!」
そして転がり込むように中に入った刑事二人。
その視線の先には
「おお? あれは?」
横たわっている男を一目見て、家政婦が叫んでいる。
「ああ、ご、ご主人様あ!」
これを見た若い刑事が
「デカ長、後頭部から出血してますね? それにしても、こりゃまた大量の血で」
「そうだな。まあ、他人の血を鱈腹吸ってきた男だからな」
こううそぶいたデカ長、次に窓の方へと近づいたのだが
「何? ここも施錠されているのか?」
これには若い刑事も目を丸くし
「じゃ、じゃあ犯人はどこから?」
「まだ、この部屋のどこかに隠れてるやもしれん。おい、探すぞ!」
その後、押入れやら戸棚やら箪笥やらを探してみるも
「うーん、どこにもおらんな。一体どこに消えたんだ?」
その時、玄関より聞こえてきたチャイム。
これに家政婦が
「あ、私、見てまいります!」
やがて現れた、初老のメタボな警察医。
二人の刑事に、手を上げて挨拶なんぞをしている。
「よっ! 少しばかり遅くなったようじゃな」
これにデカ長も頭を下げ
「あ、先生、お疲れ様です。いや、構いませんよ。相手は仏さんですから」
「で、その仏さんとやらは、どこじゃ?」
「あそこですよ」
相手の指差す方に目をやった医者
「おお! こらまた、おいたわしいこっちゃ!」
大袈裟に嘆きながらそこへと近づき、屈みこんだのだが。
「どれどれ? ……おっ?」
そこにデカ長も近寄り、相手に向かって
「先生、死因は?」
これに、冷静な表情で床の一ヵ所を指差す医者
「どうやら、こここのところに思いっきり後頭部を打ちつけたようじゃな」
ここで、すかさず家政婦が口を出してきた。
「ご主人様は、日頃より頻繁に立ちくらみをされておりまして」
「はああ?」
デカ長、大いに固まってしまっている。
そこに、またもや発言してきた医者
「でな。ついでに、時刻について言わせてもらうとじゃな……」
だが、今度は悲痛な面持ちで、
ゆっくりと口を開き――
「た っ た の 今 じゃ」




