未完成な少年~離れていく少女~
僕が音を聞こえるようになってから数年が経った。
梓沙も僕も少しずつ大人へとなっていった。
初めて梓沙と会ってから数年が経ったというのに僕はまだ梓沙に依存し続けていた。
僕なんかを愛してくれる…そんな女の子もいたケド…
僕には梓沙しか居なかった。
僕は梓沙以外の女の子を愛することなんてできない…
しかも僕には人の声が電子音とでしか聞こえない。
きっと未完成な僕は完成されている人間とは
同じ世界なのに違う世界へといるのだろう…
そんな世界が違うのに梓沙を求めてしまっている僕は…
心臓じゃない…
心という部分だろうか?
そこが凄く痛んだ。
思っていることと感情が一致しない。
僕のような人間に好かれても梓沙には迷惑なことだとは分かってる…
それでも…
僕は梓沙を愛している…
僕は梓沙のことを誰よりも愛していた…
でも…
梓沙は…
僕じゃない男に恋をした。
梓沙は恋をしてから変わった。
なんというか…
女の子らしくなった。
はかなげで…
大人しくて…
初めて会った頃の少女は軽いカールを巻いた
短い髪の少女だった…
今の梓沙は…
髪が長く毛先はまだ巻いているがほぼストレートの美しい女性になっていた。
人は変わってしまうんだね・・・
そう思った。
でも・・・
よく考えたらこんな結末があたりまえだったんだ。
僕と梓紗じゃつり合わない。
人間として未完成の僕と梓紗。
僕がどう頑張っても変わらない事実。
僕がどんなに梓紗を愛したとしても変わらない現実。
僕がどんなに嘆いても変わらない梓紗の心。
昔涙を枯らしたせいだろうか?
こんなにも苦しいのに涙はでることはなった。
あの日に戻れるなら・・・
いや・・・戻っても・・・
僕には何もできないか・・・
あの日・・・
「ねぇ?蓮地?」
いつもの可愛らしい顔で僕を見つめる梓紗。
「どうしたの?」
少しずつ喋ることに馴れてきた僕は梓紗とは普通の会話ができるほど成長した。
「今日の夜お祭りでさぁ・・・」
祭り・・・?
そう言えば今日は近くの神社でお祭りだっけ・・・?
「浴衣着ようと思うんだけど~・・・」
梓紗が浴衣を着るなんて珍しかった。
昨年もそのまた前の年もお祭りは一緒に行ったケド浴衣姿なんて見たことがなかった。
「梓紗が浴衣着るなんて珍しいね?」
「そう・・・かもね///」
?
僕は微かな違和感をおぼえた・・・
梓紗が照れくさそうなぁ~・・・
「今年も僕と行くの?」
梓紗も少しずつ女の子らしくなって、
女の子と一緒に居る回数が多くなっていた。
一般的に幼なじみと言われている僕との仲は特に変わることはなかったケド・・・
「ごめんね、今回は・・・その・・・」
僕はこの返事に特に悲しみも感じなかった。
覚悟はしていたし、女の子と話して笑っている梓紗を見ているのも僕は好きだった。
「女の子達だけじゃ危ないよ? 気を付けてね」
危ないと言っても最近は科学が発達したおかげで、護衛ロボットもできたし
危険なことなんてそうそうないんだけど・・・
「大丈夫よ、そのぉ~・・・女の子じゃないから///」
女の子じゃない?
僕は心が少し騒ぎ出したのを感じた。
「そうなんだぁ 誰と行くの?」
僕はできるだけ違和感のないように・・・
あまり深い興味はないように明るくさらりと聞いた。
「えぇ~/// 母さん達には言わないでよぉ?」
えぇ~っと言いながら梓紗は聞いて欲しそうな・・・
照れくさいけど幸せに溢れている顔でこう言った。
「彼氏と行くんだっ」
・・・・。
あぁ~あ・・・・
やっぱりね・・・。
いきなり・・・大好きだった梓紗の笑顔を見ているのが辛くなった。
「彼はこの色が好きなんだけど、やっぱり浴衣で私に似合う色はこれだよねぇ~?」
梓紗・・・
嬉しそうだな・・・・
「僕は梓紗の好きな色でいいと思うよ。」
僕の心の動揺ができるだけ梓紗にバレないように・・・
気づかれないように・・・
僕は・・・自分の心を梓紗から隠した。
梓紗が祭りから帰って来る前・・・
僕はいろいろなことを考えた。
僕の恋は失恋だったんだ・・・
でも・・・失恋だったからって梓紗をいきなり嫌いにはなれない。
僕の心はウソをついてくれない・・・
僕は梓紗が好きなんだ・・・
だから・・・
僕は・・・
梓紗の幸せを第一に願おう。
そう決めた。
僕は・・・
陰ながら梓紗を守る。
そう・・・
失恋したあの日・・・誓った。
さ・・・急展開っていうか何と言うかぁ~・・・
とにかく下手でスイマセンっ(>_<。)