あの時と同じ色
掲載日:2026/01/20
仕事が終わって、コップの中身を飲み切る。
まだ少し喉が渇いているけれど、同じ飲み物を飲みたい気分ではない。
私はコップを洗おうと、シンクへ持っていき、キッチンの電気をつけた。
コップの底にわずかに残ったコーヒーが、その光を反射する。
何故だろう、私は突然懐かしい感覚に襲われた。
そして、この部屋の中で感じるはずのない匂いまで感じている。
これは……そう。
汗と土が混ざった匂いだ。
子供の頃、学校で催された運動会。
私はクラスの皆と一緒に、汗をかいて、泥だらけになりながら身体を動かした。
あの運動会は、結局、勝ったんだっけ? 負けたんだっけ?
流石にそこまでは覚えてない。
でも、一つだけ分かる事がある。
私は今、空調の整った部屋で、身体を動かさないパソコン作業をしていたから、汗もかいていないし、泥にまみれてもいないけれど……。
あの運動会が終わったあとの私は、結果がどうあれ、今の私と同じような、妙な達成感を得ていたことだろう。
私はそんな事を考えながら、私の代わりに土色の汗で汚れてくれたコップの身体を優しく洗ってあげた。
ふと、記憶の背後から、家族の応援が聞こえた気がした




