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皇太子命令

◆『忠義と嫉妬と、騎士のため息』



「まただ。」


近衛隊長アランは、ため息をついた。華やかな王宮の回廊を進む令嬢たちの視線を背に受けながら、今日もまた任務の合間に聞こえてきた噂の数々が脳裏をよぎる。


――あの人、独身らしいわよ。結婚するならアラン様がいい。 ――見た?昨日の訓練姿!筋肉が騎士団で一番美しいって有名なのよ。


確かに、見目麗しく、剣の腕も知性も兼ね備えた彼は、恋愛市場で無双状態だった。 だが当の本人は、そんなことには無頓着。いや、むしろ最近はそれどころではなかった。


全ての始まりは、皇太子妃アリシア様から挨拶をされたことだった。




「アラン」


重く張り詰めた空気と共に、皇太子フィリップ・フォン・エルツバインが現れた。 その冷ややかなサファイアのような青色の瞳がアランを射抜く。


「余のアリシアと話すときは、まず許可を取れ。三日前の接触、内容も回数もすべて記録に残っている。」


「はっ申し訳ありません、殿下。」


その圧に、アランは直立不動で頭を下げた。


一体なんだこの重すぎる愛は。


フィリップは表面上は品行方正な完璧なる皇太子だ。 だが、アリシア嬢に関することになると、すべての理性が崩壊する。

愛という名の暴走機関車だ。


そして、事件はその翌日に起こった。


「近衛隊長に極秘任務だ」


皇太子直属の命令書。それは、アランの恋愛を強制的に成就させる国家機密級のプロジェクトだった。


「早急に恋人を持て。できれば近日中に婚約を。理想は一年以内に挙式だ。」


「は?」


「アリシアの周囲に独身貴族がいると不安なのだ。君ほど見目麗しく、忠義を尽くす者は特に危険視せざるを得ない。」


なんだその理屈は!?

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