第81話 後日談編 全ては過ぎ去り、新しい風が吹きますわ!
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シャルダン王国が滅亡した事は、クリスタル経由で知ることが出来ました。
ドグ達弟妹達は言葉を失くし、今後自分たちの在り方はどうするべきなのか困惑していた様子でした。
ですが、もうない国の事を考えても仕方ないのです。
「ドグ、あなた方はシャルダン王国民ではなくなりました。どうしたいですか?」
「どう……とは」
「私としては、ドグ、あなたには将来……我が息子シャルティエの為の宰相となり、隣で支えてくれる男性になって欲しいと思っています」
「俺が……シャルティエ様を支える宰相に……ですか?」
「わたくしからもお願いしたいわ。ドグになら安心してシャルティエを任せられるもの。幼い弟妹を守りたいという強い気持ち、国を良くしたいという気持ち。それはとても伝わったわ」
「お二人とも……。宜しいのですか? 本当に? 俺……いえ、私の様な者がシャルティエ様を支えて宜しいのですか? 生き甲斐を与えてくださって、本当に宜しいのですか?」
「勿論です。でもその場合、シャルダン王国民であったことを捨て、このアルファルト王国民になる必要が出てきますが」
「なります。私はジュリアス国王陛下及び、リコネル王妃の守るアルファルト王国民となります! そして勉学を更に進め、知識を蓄え、経験を積み、そしてこの国とお2人とシャルティエ様に忠誠を誓います!」
堂々たる宣言に、弟妹達は深々と最大限の礼を以て返事をして下さいました。
そして彼らを私達はアルファルト国民と認め、その身柄は王族である私とリコネルが後見人になる事で、貴族籍を持たせる事にしたのです。
無論、領地のない貴族とはなりますが、それでも弟妹達は園に通い勉学に励むこともできますし、その上の学園にも通えるようになるでしょう。
それらのお金は、後見人である私たちが出す事で問題なく進むでしょうし、彼らの住む家は追々探すことになりました。
その手続きにカティラスは席を外し、部屋に残ったのは子供達と私とリコネル、そして数名の騎士たちのみ。
「それから、ドグには婚約者かご令嬢との出会いも必要となりますが……どうなさいますか?」
「私は出来る事ならば……恋愛結婚がしたいのです」
「おやまぁ、私達のようにですか?」
「はい! 私もリコネル王妃のように、聡明な女性と恋愛して妻とし、大事にしていきたいと考えております!」
そうハッキリと告げた言葉に、クリスタルは嬉しそうに目を細め『よいよい、それが一番良い……』としみじみと口にし、クリスタルが満足に言うので、私達も応援する事にしたのです。
「しかし、私とリコネルのようにですか……ふふふ!」
「ええ! 見ているこちらが照れる程、お二人の仲の良さは知っておりますから!」
「まぁ! ええ、とってもわたくし達仲良しなんですのよ? ね? ジュリアス様」
「ええ、私達はとっても仲良しなんですよ。こんなに愛しい女性を他には知りません」
「ああん、わたくしもジュリアス様ほど素晴らしい男性を知らなくてよ!」
お互い照れながらそう告げると、生暖かい空気が流れましたが、子供たちは「イチャイチャ」「なかよし♡」と口にしていてお恥ずかしい限りです。
我が国に来てからと言うもの、ドグの弟妹達の男尊女卑の心はとうに消え失せ、男女が互いに支え合って生きていくのが当たり前だと理解しています。
それも、度重なる意識改革のお陰でしょう。
「リコネル王妃様は、本当にジュリアス国王陛下の所に、押しかけてきたの?」
「それ俺も知りたかった!」
「こら、お前達!」
「あらあら? 聞きたい? 聞きたいなら色々と長くなりますわよ? それはもう壮大な物語だったんですもの!」
「「「わあああ!」」」
「こらこらリコネル。子供達にはまだ少し早いですよ」
「あら、刺激が強いかしら?」
「「「刺激的!」」」
「「ふふふ」」
そう言えば子供たちの目は輝き、ドグは頬を染めつつ「あらかたは聞いていますが、凄かったです」と口にすると、ドグを囲って弟妹達が「お兄様ズルいわ!」と言われている姿が、またなんとも家族仲の良さを感じさせました。
きっと、ここにいる元シャルダン王家の子供たちは無事でしょう。
例え、ドグが王家の血を引いて居なくとも――。
その事は、クリスタルとリコネルが墓に持って行くだけの内容でした。
でも、例え王家の血を引いておらずとも次代の王とまでクリスタルに認められていたのがドグです。
彼の将来に期待したい。
「あなた方がもう少し大人になったら、教えて差し上げますわ」
「本当ですか!?」
「絶対ですよ!」
「ええ! わたくし達が後見人となるのですから、アルファルト王国の両親と思って接して下さいませ!」
「「「「おおおおおおおお!」」」」
「こら! 度々すみません!」
「元気があっていいですわ~!」
『うむ! 子は笑顔で元気でいるのが一番じゃのう!』
「はっはっは! 全く以てその通りですね!」
こうして子供たちはいつも通り、屋敷が決まるまでは棟で生活し、私達はあの子たちが生活しやすい屋敷を整える事を急ぐのでした。
子供達ばかりの家ですから、何かあっては大変です。
防犯面はしっかりしておかねばなりませんね。
後は優しくも厳しい人材を用意して置きましょう。
「やる事はまだまだありますが、一先ずは……」
「ええ」
『冥福は祈らんぞ。奴らはそれだけの事をしたのじゃからな』
「冥福を祈れなんて言いませんわ? わたくしを連れ出そうとする輩ですわよ?」
「まぁそうですね。許せることではありません」
でも、王族2名の所為で国と共に死ぬ事になった国民の冥福くらいは祈りましょう。
それくらいはしても罰は当たらないでしょうからね……。
「さてリコネル。後はゆっくり休みましょう。お仕事の時間を過ぎてますよ」
「まぁ大変。部屋で執筆しながらゆったりと過ごしますわ」
「執筆も抑えてくださいね?」
「うふふ、わたくしから趣味まで取らないで下さいませ?」
「もう、身体を労わってくださいね?」
こうして、私は王と王妃用の部屋にリコネルを送り届けてから残りの仕事を片します。
出来るだけ早めに片づけて、リコネルとお腹の子と過ごしたのです。
嗚呼、名前は何にしましょうか。
名付けも考えねばなりませんね。
男女で……楽しみが増えてやる気も倍増です!
「愛しいリコネルの為に仕事を早めに終わらせましょう!」




