第66話 後日談編 【花の舞姫】では、家臣たちが色々と暗躍しましたけれど?
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【花の舞姫】は、始まりの王の妻であった王妃の別名だったと言われています。
きっと華やかで美しい女性だったのでしょう。
詳しい文献等は残っていませんが、リコネルと同じように愛される王妃だったようですが、彼女の最期は悲惨なものだったとも伝えられています。
愛されるが故に、嫉妬もまた凄まじかったとも……。
リコネルにはそんな目に遭って欲しくはないですが、リコネル否定派と言う存在がいる以上、気をつけねばならない事でしょうね。
今でこそ表立って「女が男と同等に仕事をするなんて」とは言われなくなりましたが、陰ではそれを良く思っていない人間がいるのも、また事実。
――私が妻を守らねば。
そう気持ちを新たに【花の舞姫】の開催に向けて仕事を進めました。
無論、ドグ達もこの祭りには参加します。
彼らにもこの国で楽しい気持ちを味わって欲しいという気持ちも強かったのです。
引率はクリスタルが受け持ってくれたので、私はリコネルとシャルティエと一緒に式典に参加します。
このお祭りの間は、国中に花が飾られ、そして咲き誇り……そしてリコネルの花屋がとても儲かる時期ですね。
リコネルはとてもいい笑顔で「お花が沢山で嬉しい限りですわ」と喜んでいました。
「そうですね、とても美しい光景です……。そしてリコネル商会の花屋がとっても潤う時期ですね」
「うふふ」
口元を抑えて嬉しそうに笑うリコネル。
それはそうでしょうね。とんでもない売り上げを叩きだしていると朝もご報告がありましたものね。妻が嬉しいのなら私も嬉しいので問題はありませんが。
また、リコネルには内緒で頼んでいる赤バラのプリザーブドフラワーの王冠は、早朝城に届けられ、私の部屋に隠してあります。
まぁ、きっとリコネルにはバレているんだろうなとは思っているんですが……。
それでも、私なりのサプライズで愛したいと思うのは、悪い事ではありません。
そんな中、王族用の会場のスペースで、家族で黄色いプリザーブドフラワーの冠を頭に飾り、国民を見守るのもまた務め。
シャルは少し退屈そうでしたが、こういう公務にもシャルを連れて行けるようになったのは、彼の成長を感じる事が出来て嬉しいですね。
「今年もきっと、良い一年になりますね」
「ええ、報われる一年になると良いですわね」
リコネルと手を重ねて見つめ合い、微笑み合う。
今年一年、また国民が幸せで、飢えることなく過ごしていければ……それが一番良い事のように感じられます。
他国との戦争もなく、諍いもなく、争いもなく……ただただ平和に。
そう祈りを捧げて過ごす祭りの間、軽快な音楽と共に国民が躍る姿を見つめ、職務を全うする中、貴族たちが挙って挨拶に来たりと、シャルも若干疲れ気味ではありましたが、責務を全うしたと思います。
ただ――。
「シャルティエ王子も、もう7歳ですし、そろそろ婚約者やご友人をお決めになる頃合いでしょう?」
そう言う話題がとても多く、自分の子供を勧めてくる親の多さには辟易しましたね。
そんな貴族関しては、一貫して「我が子が選んだ子供が友人だと思っておりますよ」と笑顔でお断りしておりました。
「しかし、ある程度は親である王と王妃が選ぶのが習わしでしょう?」
「今までは、そうであったかも知れませんね」
「今までは……と言うと」
「選んだ結果の悲劇を、もうお忘れですか?」
そう笑顔で伝えれば、あの忌まわしきチャーリーやその友人たちの事を思い出さない貴族や領民はいません。
その為、口をつぐんで「失礼致しました」と頭を下げる……。
それが何度も繰り返されました。
親が子供の付き合いの可能性を潰しては本末転倒です。
どのような友人を持つかは分かりませんが、シャルの選んだ友人ならば、ある程度は受け入れる事にしています。
無論、身辺調査はさせますがね。
(「良い人」の仮面を被って、裏で何をしているのか分からない)
そう言う二面性をもっているのも、また人間ですから、
まだ幼いシャルにそこを理解する……と言うのは酷な事でしょう。
ですので、私の方からもシャルが選んだ子に関しては、身辺調査を入れる事は前もって伝えているのです。
無論、貴族たちが行ってくるのはシャルティエの事だけではありません。
リコネルに対しても、厳しい意見が来ることもあります。
「リコネル王妃が忙しく仕事をしているから、次なるお子様がお生まれにならないのではないでしょうか?」
「それにつていてはご心配不要ですわ」
「ですが、シャルティエ様1人ではお可哀そうで」
「ふふふ、面白い事を仰るのね? 陛下と王妃の閨事にまで首を突っ込む家臣がいるとは思いませんでしたわ」
「それは大変失礼を致しました」
悪びれる様子もなく笑顔で刺して来るスタイル。
そう言う方々はリコネル否定派だと直ぐに解り、カティラスはその家にバツ印を押して、今後監視させるという方法を取らせています。
愛する妻を攻撃した家臣の家がどうなろうと関係ないですが、それ相応の罰は覚悟して貰いましょう。
私とて愛する妻を侮辱されたら、許せない事もあります。
「随分と、一国の王と王妃の閨ごとに興味がおありの様ですが、そう言う癖がある方なのでしょうか?」
「い、いえ……滅相も」
「では、どういう意図で?」
「ただ、シャルティエ様お一人では寂しいのではないかと」
「それは答えになっていませんよ」
「……申し訳ございません」
私とて圧を出して笑顔で家臣を咎める事は御座います。
「後で色々御聞きした方が良さそうですね。後日そう言う質問をした家臣たちを集めて、どういうつもりで、王妃を辱める発言をしたのか、追求しましょう」
そう言えば顔面蒼白で去って行く家臣たち。
しっかりと後日追及いたしましょう。
――ええ、しっかりとね?
こうして家臣たちの挨拶も終わる頃、宴もたけなわとなり、国民が踊り、舞い、楽しそうにしている姿をリコネルとシャルティエと共に見守り、執務を全うしたのでした。
そしてその日の夜。
ドキドキとした様子で式典のドレスから城でゆったりと過ごす服に着替えた私は、今リコネルを待っている所です。
明日は一日執務はオフの日。
今からは夫婦水入らずの時間となります。
「嗚呼、リコネルは喜んでくださるでしょうか」
赤いバラで出来たリコネル専用のプリザーブドフラワーの王冠……。
きっと何を着て居ても似合う事でしょう。
愛しの妻が私の部屋を訪れるまで――後少し。
私は緊張の中、リコネルが部屋に入ってくるのを待ったのでした――。
そして……。
「ジュリアス様、お待たせしましたわ」
「ああ、リコネル。今日はお疲れ様でし……」
振り返りそう告げた途端、彼女の手にあったソレに目を見開きました。
何故なら――。




