第61話 後日談編 では、わたくしから先にご報告いたしますわ!
ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。
朝のリコネルからの報告会では、本の売り上げに関する内容から始まりました。
と言うのも、この近辺に住むモンスターを集めた本を一冊冒険者ギルドに寄付し、更にその本は出来るだけ安く本屋で買えるようにしていた所、売れ行きは好調なのだとか。
挿絵も入れてのその本は、無論新しく国に作った【魔物討伐隊】にも支給しており、冒険者だけではなく彼らが討伐に行く際にもとても役立っております。
「本の方の全体的な売れ行きは好調ですわ。この国や周辺で採れる薬草関連の本も飛ぶように売れておりますもの。特にこの国に新しく入ってきた【錬金術師】と呼ばれる、回復アイテム等を作れる方々にとって、この2つの本は無くてはならないアイテムの1つなのだそうですわ」
「錬金術師が……ですか?」
「彼らは冒険者を雇い、時に素材集めの為に敵と戦ったりもするそうなんですの。基本は採取らしいんですけれど、稀にそう言うのも大事らしいですわ」
「なるほど」
「山にある鉱石類の本も売れてましてよ。そこから別の何かを作り上げる……不思議でミステリアスな方々ですが、冒険者にとっては有難い存在らしいですわ。それに比例して、ガラス製品も飛ぶように売れているそうなんですの。花屋で売る花瓶などの入荷が遅れるくらいですわね……。ここは1つ、ガラス工房でも立ち上げようかと悩む所ですわ」
更に仕事を増やすつもりでしょうか。
思わず「今は様子をみましょう」とストップをかけてしまいましたが、確かに花屋に入荷する筈の花瓶が品薄になる程とは……思ってもいませんでしたね。
「次にプリザーブドフラワーの方ですが、多方面の国から注文がいつも通り来ておりますわ。お隣の国では今度の式典用にとのご依頼で、鋭意制作中ですの」
「それは良かったですね。他国との交易が盛んな事は素晴らしい事ですし、何より他国の情勢をよりよく知る事が出来ます」
「そうですわね」
「そう言えば、そろそろ春を呼ぶ祭りが行われますね。今年も貴女にプリザーブドフラワーで出来た花の王冠を贈りましょう」
「では、わたくしもシャルとジュリアス様に贈りますわ。愛を込めて」
まるで天使のような微笑みで言ってくださったリコネルに、ついつい頬が赤くなりました。
春を呼ぶ祭りは【花の舞姫】と言われていて、そこでは友人には黄色の花で出来た冠を、恋人には赤いバラで出来た冠を、家族にはピンクで出来た花の冠を贈り合うのが習わしです。
何時か赤いバラで出来た冠をリコネルに贈ろうと思っているのですが……花屋を牛耳る彼女の耳に何時入るやもしれませんので中々注文できませんでした。
ですが、今年こそはコッソリと注文しようと思っているのです。
そして夜、リコネルに手渡して……所謂サプライズを考えている所です。
リコネルとは直ぐに夫婦になってしまいましたので、一度も赤いバラの冠を彼女に贈れていないのが、私の中では刺のように残っている心残り。
きっと赤いバラの冠が似合うでしょうね……。
「ジュリアス様?」
「ああ、すみません。花の舞姫については理解りました。花屋が更に潤う素晴らしい時期ですね」
「ええ! とても楽しみですわ! それに花の舞姫の翌日はわたくし達もお休みでしょう? マリアンヌにシャルを見て貰って、その日は一日とは言いませんけど、夫婦で過ごしません事?」
「それは素晴らしい案ですね!」
「たまには……夫婦……も、素敵ですけど……恋人のように接して下さいませ……」
「ンン! その話は是非夜に」
思わず顔を真っ赤にして告げると、リコネルは嬉しそうに微笑みました。
そんな様子を、義兄であり宰相になっているリコネルの兄、カティラスが苦笑いしながら見守って下さっていました。
「何時までも夫婦仲良く、素晴らしいですね」
「そう言うお兄様は、お義姉様とは仲良くしてらっしゃいますの?」
「ふふっ! 君たちに負けないくらいにはラブラブだよ。娘も可愛いしね」
そう、カティラスもようやくリコネルに似た女性とご結婚されました。
見た目が……ではなく中身がよく似ていらっしゃる方で、なんと、この国の女性騎士団長だったのです。
リコネルの護衛に付き添っていた彼女に惚れ込んだカティラスは口説きに口説いて3年。やっとモノに出来たのでした。
数年前長女が生まれ、今は2人目を妊娠中です。
『全く、カティラスの方が後から結婚したというのに、ジュリアスとリコネルにはまだシャルティエ1人……。そろそろ2人目をじゃな?』
「アイスピック、要ります?」
『……ええい! そうやってリコネルは我を虐める!』
「ほほほほほ! わたくしの聖剣はアイスピックですものね!」
「ま、まぁ……。二人目はもう暫くお待ちください。励んではいますから」
『もっともっと励むんじゃ! リコネル搾り取れ! エロ小説のように! エロ小説のように――!』
そう言って暴れるクリスタルには申し訳ないですが、此れでもやる事はやってるんです。ただ、お互いにタイミングが合わずに中々出来ないだけで……。
ダダっ子のようにバタバタと地団駄を踏むクリスタルには、思わず三人揃って溜息を零しましたが……これが母なるクリスタルと思うと、なんとも少し……言葉に出せない気持ちになりますね。
「さて、次は私からのご報告ですが宜しいでしょうか」
「ええ、構いませんわ」
「では最初に――」
こうして朝は各自の持ってきた連絡など、必要な事の確認事項を行います。
それはとても有意義なのですが、大事な事項に関してはリコネルの知識やカティラスの知識がとても役立ってくれます。
本当に頼もしい兄妹だと感服する思いですが、最近の目下の悩みがあるのです。
それは冒険者を迎え入れたことによる――孤児の増加でした。




