第60話 後日談編 何時もの生活に我が子が増えて
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――それからの後日談ですが、私から御話しましょう。
リコネルは可愛い男児を産み、その子は亡きチャーリーの父であり、私の弟から名を貰い【シャルティエ】と名付けました。
前国王の時の様に、我が子ではないのでは……と言う考えは、杞憂に終わりました。
何故なら、大変私によく似た息子だったからです。
「あらまぁ、親子でここまで似るなんて……ふふふ!」
そう笑う生まれたばかりのシャルティエを抱くリコネルは、まるで聖母の様に美しかった……それだけは言えます。
大変安産で生まれた為、リコネルは一週間ベッドで過ごし、シャルティエを育てつつ、早く仕事がしたいという事で乳母を雇いました。それでも「せめて産後1カ月はベッドから出ないように」と医者に釘を刺された為、沢山の乳母に息子を預けている間はぐっすりと休み、沢山ミルクを飲むシャルティエに沢山ミルクを与え、そして1カ月後。
身体を元の体型に戻すべく、鬼の様に運動に励み、5カ月で元の素晴らしい体型に戻したリコネルには感服します。
「さぁ! 溜まりに溜まった仕事を片付けますわよ!」
そう意気込むリコネルでしたが、子育てにも手を抜きませんでした。
母乳は必ず与え、書類を整理し、視察をあんなに行きたがっていたのに、まずはシャルティエが1歳を迎えるまでは行かないと硬く誓って行かなかったのです。
どれほどのストレスがあったかと想像を絶しましたが、リコネルは本当に我が子の為に、仕事をしながらでも時間を大切に使ってくださいました。
私も無論、愛する我が子と妻との時間はタップリ作りました。
ええ、大事な家族ですからね。心より大切にしないと罰が当たります。
そんな幸せな日々が1年ほど続き……そしてシャルティエが1歳になってから、リコネルは精力的に視察や仕事を開始。
母親大好きっこのシャルは寂しくて泣いたりもしましたが、身を引き裂かれる思いで仕事に励んだことも何度もありました。
「はぁ……視察にもシャルを連れてこれるようになるのは何時かしら」
「まだ当分先ですね……。それに3歳からは本格的な王太子としての勉強が始まりますし」
「はぁ……シャル……」
「リコネル……シャルの事も私は気になりますが、少しは……その……」
つい息子に嫉妬してしまった自分を恥じ、言葉を続けずにいたのですが、リコネルは直ぐにそれを察知してしまいました。
何ともお恥ずかしい話です。
馬車も隣に座り私の腕に腕を絡めて「愛しいお方」と微笑んでくれただけでも、この世の天国でした。
小さく細い手にそっと大きく武骨な手を重ね、愛おしく頬を重ね合わせ……幸せに浸ったものです。
流石に視察に行く途中で口紅が剥がれてはいけないのでキスはしませんでしたが、帰宅後息子がお昼寝中にタップリと味わわせて頂きました。
結婚してから色々ありましたが……本当に心から愛し合っているのだと解るだけで幸せです。
「ジュリアス様?」
「何でしょう?」
「今夜は……お風呂ご一緒しませんこと?」
「……宜しいので?」
「今夜は貴方と2人きりで……ね?」
そう言って頬にキスをしてくれるリコネルに、もう、私はもう!
俄然仕事に取り組んだのは――言う迄もありませんね。
とは言え、お風呂で特別な事をする訳ではなく、ゆったりと一緒に入るだけなのですが、何時もより長く入ってしまうのは許していただきたい。
我が子がまだ1歳。次の子を授かるには少々早い為、私達はその辺は考えて愛し合っております。
ですが――。
『ほれ、シャルティエが生まれたじゃろう? 1年も経ったんじゃ、2人目はまだか?』
「クリスタル……」
「あらあら、わたくしも早めに欲しいんですけど、まだまだ2人で愛し合いたい時間もありますのよ? 2人目、3人目はもう少しお待ちになって?」
「リ、リコネル!?」
『よいよい! 十分にイチャイチャイイチャイチャした後でもよいわ!』
「そこまでイチャイチャは……」
「しないんですの?」
「……したいですね」
「うふふっ!」
まだまだ恋し愛しの私たちは、それからも我が子の成長を見守りながら愛し愛され、気づけばシャルティエも歩けるようになり……幸せな時間を過ごしていました。
ですが、進めなくてはならない政策もあり、リコネルは商売も執筆作業もあり、夫婦での視察もありであまり休みが取れません。
忙しい事は、国を更に発展させ、国民を守る事にも繋がるのですけれどね。
そう、私とリコネルは王国の父と母。
国民は大事な子供……。
不幸があってはならないのです。
その為に出来る事を何とか夫婦と周りの協力の元で守っているのですが……。
数年前のチャーリーとアルジェナが犯した罪が重く、まだ心に傷を負ったままの者達も多い。一年に一度、合同献花台が置かれて鎮魂祭はしていますが、国民の心の傷跡が治るのはまだずっと先でしょうね……。
――それからあっという間に時は経ち、シャルティエも7歳になった頃、我が領地でも冒険者の受け入れが始まりました。
新たな政策のスタートでもあり、国を守る為の更なるスタートでもあります。
【ジョブ適正診断】では、私は『聖騎士』でリコネルが『聖剣』でした。
シャルティエは私と同じ『聖騎士』だったのです。
きっと奥さんは素敵な女性を貰う事でしょう。
シャルティエが10歳になれば婚約者の話なども出てくるでしょうが、もしかしたら誰とも婚約せず、私の様に押しかけ女房として誰かがやってくるかもしれない。
そう言う未来もまた、捨てがたいと思ってしまいました。
「シャル、王太子としての勉強はどうですか?」
「はい、楽しいです! 知る事の楽しさはこの上なく幸せなことですね!」
「まぁ! 素晴らしい事ですわ!」
親子三人で過ごす時間は毎日必ず作っていますが、シャルはリコネルに似て聡明な子に育ちました。
判断の速さも母親譲りです。
きっと、この国を更に発展させてくれることでしょう。
「そう言えば、乳母のマリアンヌが言っていたのですが、私が10歳になったら婚約者を選ばねばならないのですか?」
「そこは貴方の自由ですわ。一目惚れした子がいればそれでもいいですし、居なければ本当の相手が見つかるまで待つ……と言うのも手ですもの」
「なるほど」
「わたくしなんて、お父様に押しかけ女房したのは有名でしょう?」
「ふふふっ! それもそうですね! 私もそのくらい勢いのある女性と結婚したいものです!」
そう語り合う妻と息子。
親子二代に渡り、押しかけ女房を貰ったら大変ですよ!?
そうは思いましたが、こればかりはその子の持った運もあるでしょうからね。
笑顔で見守ろうと思います。
「さて、明日からは色々とまた政策を練って行かねば」
「お手伝いしますわ」
「ええ、頼りにしていますよ」
シャルが生まれてからあまりに忙しく2人目がまだ作れていませんが、それでクリスタルが不貞腐れる事もありますが、私達は私達の速度で、人生を歩んでいくのです。
それでも、夜は必ず2人一緒に湯船には浸かっているのですから、文句を言って欲しくはありませんがね。
さて、明日起きたらまずやらねばならない私の仕事の前に、リコネルからの定期的な報告会がありましたね。
今回はどんな問題が飛び出すでしょう。
――今から少し、胃が痛いです……。
此処より先は、後日談編となりますm(__)m




