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断罪された悪役令嬢は押しかけ女房~第二の王都と呼ばれる辺境領地で、彼女の夢を応援してたら第二の国になりました~  作者: 寿明結未(旧・うどん五段)
悪役令嬢は愛妻なんです!

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第15話 諦めの悪い男と、恥ずかしがり屋の旦那様ですわ!

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 ――結婚初夜とは、正に戦場でした。

 互いに裸で、隣で今も眠るリコネルの寝顔にドキドキしながら起き上がり、軽く備え付けのシャワールームで汗を流し、体中に残るリコネルから受けたキスの痕を見ながら両手で顔を隠し頭から湯気が出ました。


 本来なら男性である私がリードせねばならないところを、ほぼリコネルがリードしてしまいました。本で読んだ知識だと言っていましたが、なんと言う……思い出すだけで体中から湯気が出てしまいそうです。

 ですが、何時までもそうしていられません。

 今日は朝から国王夫妻や来賓客がお帰りになるのです。

 リコネルは体が辛いでしょうからお見送りは無しにして貰い、私一人でもお見送りせねばなりません。

 皆、新婚初夜と言うのを解っているのですから、恥ずかしい思いをするのは私だけで充分なのです。着替えを済ませ、リコネルが起きてくるまではそっとして置くようにとメイド達に通達し、一人食事をしてから来賓客をお見送りします。



 ――昨夜はお楽しみでしたね。



 と言わんばかりの笑顔をされますが、実際リコネルがお楽しみでしたので、私も頬を染めつつ対応し帰って行かれました。

 自分がリード出来なかったこと等、子が生まれても教える事が出来ません。

 死ぬまで、墓まで持っていかねばならない秘密が出来ました。


 一人にとりにお礼を言い、挨拶をしながら見送る時間。

 リコネルは今頃顔を赤くしたりするのでしょうか……。

 そんな事を思っていると、最後の来賓客である国王夫妻及び、チャーリー王太子が私の元へとやって参りました。



「結婚式に来て頂き有難う御座いました」

「フン! 貴様とリコネルでは相性が悪いだろう? 私が幸せにしてやるから直ぐに離婚の準備をすることだな」



 お祝いの言葉ではなく、国王の言葉を遮り口に出たのは、妻を寄こせと言う、またチャーリー王太子らしい言葉ですね。



「いえいえ、実に体の相性も良く、互いに充分愛し合えます」

「貴様!」

「そうでしたそうでした、今度城に赴く用事があるのです。その際ご報告したいことが御座いますのでその時にまたゆっくりとでも」



 にこやかに口にすると、チャーリーの口を塞ぐように騎士達が動き、国王は溜息をはいて小さく頭を下げた。



「本当に申し訳ない……」

「頭をお上げ下さい……私は国王陛下にチャーリー王太子が生まれた時に言ったはずです。言った言葉を覚えていらっしゃるのでしたら……貴方には残念だとしか言いようがありません」

「そうだな……城での報告、待っておるよ」

「ええ、また」



 こうして暴れるチャーリー王太子を馬車に詰め込み、国王夫妻も領地を出て行かれました。これで煩わしい人間が帰ったと思うとホッと安堵の息を吐き屋敷に戻ると、既に着替えを済ませて顔を真っ赤に染めているリコネルと遭遇しました。



「ジュリアス様……」

「リコネル……体のほうは大丈夫ですか?」

「えぇ……お恥ずかしい限りですわ。色々と」



 色々と……に、ナニが含まれているとは言えませんが、余程昨夜の荒ぶる姿を想像して恥ずかしいのでしょう。

 私をベッドに押し倒すまでの追いかけっこ。

 アレは見事なものでした……ええ、いろんな意味で。



「これからは覚悟を決めて貴方を大事に出来そうです」

「わたくしの方こそですわ! さぁ、来賓の方々は帰られたのでしょう? 結婚式の後一週間はお休みですわよね?」

「ええ、互いにね」

「では、色々考えていることが御座いますの! 聞いてくださる!?」



 パァッと顔を明るくさせ、私の手を取るリコネルに頷くと、2人一緒に執務室へと向かいました。執務室で話すことなど決まっております。

 今後の領地改革、及び、リコネルの発案がどんなものが飛び出してくるでしょう。

 小さなことから大きいこと、様々だと思うと楽しみで顔が綻んでしまいますね。


 執務室に入ると、お茶を頼みリコネルの考えている政策に付いて聞くことになりました。まずは先立って本屋の方ですが、こちらは毎日報告書が屋敷まで届くようになっております。

 その報告書を見ると、本や絵本の売り上げは順調で、カードゲームもそれなりに動き始めたようです。



「商売のほうは順調に進み始めたようですね」

「ええ、カフェも並列してある本屋は早々無いのも魅力のひとつですわ。カフェメニューはこちらに上がってきておりますの」

「ふむ、軽食が主で本が汚れにくいものが多いですね」

「まかりなりにも本屋ですもの。手が汚れる食べ物はお出しできませんわ」



 そう言って数々のサンドイッチやバーガーと言った食べ物、そして軽くつまめる焼き菓子、各種飲み物も書かれてあり、更に言えば値段は良心的な値段設計。

 これは……飲食業と言うものの幅を広げられるのでは無いでしょうか?

 王都にあるような甘味を主にした飲食店……。養蜂盛んな我が領では、蜂蜜を使ったものなどが主流ですが、他に食べられる、飲むことが出来る料理を開発すればいけるかも知れませんね。



「更にこちらの書類に目を通して下さる?」

「どれどれ」



 そう言って受け取った書類には、国にある祝い事の日が記され、その中のいくつかに丸が記されていました。



「リコネル、これは?」

「新商品のクレヨンを使ったイベントを考えているのはご存知ですわよね?」

「ええ」

「それで、親が喜ぶものも……と言ったのを覚えておりませんこと?」

「覚えておりますよ」

「その丸は、母の日、父の日、敬老の日の印ですわ」

「ですね」

「つまり、子が母の日に母の絵を描く、子が父の日に父の絵を描く、また、敬老の日には」

「孫が祖父母の絵を描く……というイベントですか?」

「当たりですわ!」



 確かに小さな記念日でしょうし、誰もが素通りするような、そんな日でもあります。

 感謝こそはすれど、形に残る物を残す事は今まで考えも付きませんでした。



「小さなイベントかも知れませんけど、親として、祖父母として、形に残る物を貰えるのは嬉しいのではなくて? 更に言えば絵なら文字が書けない子供でも出来ますわ」

「なるほど!」

「それに、わたくしたちの子供も、そうやって形に残る物を残して下さったら嬉しいですもの!」



 その言葉に私の顔はふにゃっと崩れてしまいました。

 将来愛するリコネルに似た娘、息子が一生懸命描く姿を想像すると、それはもう可愛くて食べてしまいたいかもしれません。



「素晴らしい発案です」

「でしょう!? でも、まずはクレヨンの生産を追いつかせなくてはなりませんの。クレヨンを作っていた製作所も閉めてしまいましたから、こちらの領で作る事は可能でして?」

「許可を出しましょう」

「助かりますわ! それで――」



 こうして、幸せな今後の予定を作り上げていくリコネルの発案を聞きながら過ごす時間。一週間は休みだというのに、全く、リコネルは仕事が大好きなのですねと改めて思う瞬間。

 けれどそれは、全て、領民の為の事。

 本当に素晴らしい女性と結婚したものです。

 例え最初が押しかけ女房であったとしても。



「それでね? ジュリアス様!」

「ええ、ええ!」



 ――こうして、幸せな時間が過ぎていったのでした。




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