3/6
M1 「記憶」
「ん……?」
彼女――シャルローネ・フレーベルは、太陽の光に目を覚ました。
周りに広がるのは見慣れた景色――ではなく、
「ここは……?」
彼女の知らない、ヨーロッパ風の家だった。
ベットにも屋根がついており、貴族のような装飾が施されていた。
彼女は状況が分からず、混乱していた。
そこに、高校生ぐらいの少女が慌てたように寄って来た。
「シェリー?起きたの⁉」
少女は目を見開いて、心配そうにシャルローネを見つめていた。
シャルローネは彼女の髪を見た。
燃えるような赤いロングの髪。
シャルローネは彼女の目を見た。
暖かそうな、けど同時に熱そうな、優しい目。
どれもシャルローネの知るものではなかった。
自分の手を見る。
か弱そうな、小さい手。
自分の髪を見る。
赤いロングの髪。
自分がこんなにも幼かったのかどうか。
自分の髪の色がどんなだったか。
それすら覚えていない。
けど、常識としてわかる。
――ここは自分の知ってる世界じゃない。
それが分かった瞬間、頭の中が真っ白になっていった。
「シェリー⁉ちょっとシェ――」
シャルローネはベットの上に倒れた。