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7/7

7盗み、あれ?これって盗賊の仕事じゃないよね?

「さぁて。2人が起きる前に、夕ご飯でも作ろうかな」


「ん。今なら手伝える」

「流石にはモノを使うのは怖いけど、僕も今なら洗い物くらいは出来るかもねぇ」


2人とも手伝ってくれて、3人で仲良くご飯を作った。やっぱり、一緒に仲やるって楽しいねぇ。

作り終わっても2人は起きてこなかったから、ベットに向かって起こしに行く。その時、ウールちゃんが世界地図を書いててちょっと大変だったのはご愛敬だね。


「ぅぅ。まさか、この年でやってしまうとは……」


「ウール様。そういう時もありますよ!オリバー様ので気絶しちゃったんですから、体の力も入らなくなりますし!」


「そうなんですけど……」


ウールちゃんは、3人(主にフラーラ)に凄い慰められた。夕食を食べてるうちに、精神は安定してきたよ。

けど、その次の日の朝にも地図を書いて、更に赤面していましたとさ。


「……ううぅぅぅ」


「ほ、ほら。ウール様。元気出して下さい」

「……お菓子、あげる」

「ぼ、僕のもあげよう」


そんなことが会って数日。僕はいつも通りお仕事に出てたんだけど、


「探せぇ!絶対に救出しろぉ!」


「「「おぉ!!」」」


ヤケに気合いの入った人たちがいた。ウールちゃんの出身地の、ウェスター帝国って言う国の近くだね。全員鎧を着てて、兵士とか騎士とかそんな感じっぽい。

救出とか言う言葉が聞こえたから、ウールちゃんを探してるのかもしれないね。もうちょっと近づいて、話を聞くとしようかな。丁度何人かのグループで捜索に入ってきたし。


「……なあ。本当に見つかると思うか?」


「いや。無理だろ。だって、この森に入ったって事は王国に行くかこの森で死ぬかの2択だろ?」


「だよなぁ。第2皇女は凄い人だったけど、だからってここまでムダな捜索する必要も無いよな」


ビンゴ!

やっぱりウールちゃんの捜索をしてるみたいだね。この人達はどうしようかな。

放っておいてもいい音だけど、武装した人たちが森の付近にいる所為で帝国側から商人が入ってこないかもしれないんだよねぇ。そうなると収入が減っちゃうから困るし。


「……ウールちゃん。ちょっと良い?」


「はい。何でしょうか?」


僕は拠点のウールちゃんを呼んで、軽く事情を説明してみる。騎士に自分の身を渡して欲しいとか言われることもなく、


「分かりました。では、私が会って軽く説得します」


「あっ。そう?それならよろしく」


説得してくれることになった。僕は早速ウールちゃんをお姫様抱っこして、騎士達の元に向かう。会わせるのはウールちゃんの顔を知ってる人が良いから、隊長っぽい人が良いんだけど。


「あっ。あの人、面識があります。私の護衛をしてくれてたこともあったはずです。確か、騎士団でも上の方の地位だったはずです」


「了解。じゃあ、あの人に会わせるね」


捜索隊の隊長っぽい人に見覚えがあったみたい。素速くその人に近づいて、


「おい。そこの騎士」


「っ!何者だ!…………って、姫様!?」


盗賊モードで挨拶。隊長さんは剣を抜いて僕に向けてこようとしたけど、すぐに僕の腕の中のウールちゃんを見て手を止める。凄い驚いてるね。

隊長さんが固まってる間にウールちゃんを降ろして、


「お久しぶりです。ソクス」


「お、お久しぶりです。姫様。ご無事で何よりです。……すぐに準備させますので帰還を」

「そのつもりはありません」


「……は?」


帰還しようという言葉を、ウールちゃんはハッキリと拒否する。隊長さん(ソクスって名前みたい)は呆然としてるね。理解が追いついてないみたい。

そんな隊長さんにウールは追い打ちをかけるように、僕へ抱きついてきて


「私、攫われてるところをこの盗賊のオリバーさんに拾われたんです。この方に許可されない限り、私は王城に帰ることは出来ません」


「……・な、なななな!?」


「な」しか隊長さん言ってないよ。相当脳が理解を拒否してるんだろうね。現実を受け入れられないなんて、可哀想に。

暫くそんな隊長さんを眺めてると落ち着きを取り戻してきて、


「……盗賊、オリバーと言ったな?今すぐに姫様を解放しろ!」


剣を向けてくる。まあ、そう来るよね。分かってたよ。騎士ってそういう職業だからね。

だからちょっと相手してあげようかなって思ったんだけど、


「ソクス!やめなさい!オリバー様はあなたが勝てるほど弱くありません!この森で生活できるほどにはお強いのですよ!」


「なっ!?私より強いですと!?いくら姫様と言えど、その発言は……いえ。しかし、この森で盗賊を出来るわけですから、あながち間違いでも無いのでしょうか」


隊長さんが悩み出したよ。上の方の立場みたいだからプライドは高そうだけど、この森で生活してるって事で納得しそうだね。この森ってそんな凄いところなのかな?

言われてみると、凶悪な野生動物とかが多い気はするけど。


「……分かりました。戦うのはやめておきます。しかし私とて騎士ですから、職務は果たしたいところ。オリバー殿。どうか姫様を陛下の下まで返して貰えないだろうか」


おっと?僕の名前に殿がつけられたよ。数秒のうちに昇格したね。それだけ王様とウールちゃんを会わせたいって事なんだろうけど。


「連れて行くのは嫌だな。何されるか分かったものじゃないし。……でも、親子の再会を阻むのもどうかと思うからな。俺のとこまで皇帝が出向くって言うなら会わせてやるよ」


「むっ。陛下に足を運ばせるか。なんとも不敬な。……だが分かった。陛下にはそう伝えよう。おそらく出向いて下さるはずだ」


「了解。皇帝が誰かさんみたいに誘拐されてここを通らないことを願ってるよ」


その誰かさんは僕の言葉で苦笑してた。可愛い子を拾うのは良いけど、おじさん拾っても使い道無いからなぁ。しかも、ウールちゃんみたいにお世話が必要とかだったりすると邪魔なだけだし。

結局僕たちは王が来るかもしれないっていうのが決まって拠点に戻った。次の日には騎士達もいなくなってたから、皇帝に報告に行ったんだろうね。


「何か交渉することになるかな」


「お父様とですか?」


僕の呟きを聞いて、ウールちゃんは質問してくる。僕は頷いて、


「そうそう。誰かを代わりにあげるからとか、助けたという形にして褒美を取らせるからとか言ってウールちゃんを取り戻そうとするんじゃない?」


「あぁ。無いとも言い切れませんね」


「だから、交渉の仕方とか色々考えておこうと思ってね」


そうして考えているときだった。バタバタと激しい足音が聞こえてきて、


「ご主人様!フラーラから報告だよ!王国から来た馬車が、森に女の人を放り出していったって」


「ふぅん?」


「しかも、ご主人様と同じ黒髪で黒目だってさ!」


「……へぇ」


僕と同じく黒髪と黒目。それって、僕のクラスメイトの可能性が高いよね。


「交渉のカードが増えそうだね」


「そうなのですか?それは良かったです。……私、オリバー様と離れたくないので」


そんな嬉しい言葉と共に、ウールちゃんが僕の唇を塞ぐ。

そんなときにふと考えるのは、

皇帝と交渉して、皇女様とこんな関係になって……あれ?僕って盗賊だよね?



「異世界転移したら無能だと追放されたので盗賊を始めようと思います ~あれ?僕って盗賊だよね?(皇女とキス中)~」   《完》

この作品は一旦ここで終了です!

この作品の他にも同じような短さの作品を投稿しているので、作者のページから「長編化予備群」のシリーズを覗いて頂ければ!!

人気があった作品は長編化します。勿論この作品も……チラチラッ(ブックマークや☆をつけて頂ければ、続きが書かれるかも……



すでに

魔法少女を慰めてたら一線越えちゃった……てへぺろっ

を投稿済み。また1時間後から、

デイリーミッションを諦めたら美女と仲良く(意味深)なった

を投稿する予定です。

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