6盗み、あれ?要求だよね?
「まず、私と子供を作ってくれませんか?」
「……ん~?」
ウールちゃんのお願いに僕は首をかしげる。どんなお願いが来るかと身構えてたけど、まさか子作りを求められるとは。
「子供はともかく、そういう相手はしてもらうつもりだったよ。ウールちゃんも可愛いからね」
「そうなんですか?それはありがとうございます。……ん?私もですか」
ウールちゃんが今度は首をかしげる。この世界は障害者差別が激しいようなところがあるから、3人をそういう風には思ってないのかもね。
「3人にはウールちゃんが来る前から相手してらってたんだよ。僕は欠損とか気にしないから」
「あぁ。そうなんですね。……面白いですね。欠損を気にしない方など始めて見ました」
驚いた様子のウールちゃん。綺麗な笑みを浮かべて、
「でも、私は良いお考えだと思いますよ。確かに3人ともかわいらしいお顔をされていますからね」
うんうん。そうだよねぇ。これだけ可愛くても多少の欠損で捨てられるかもしれなかったんだから、異世界のレベルはどれだけ高いんだか。
「あの、私が子供をほしがる理由はお聞きにならないんですか?」
「ん?聞いた方が良い感じ?」
それなら聞くけど。そういうデリケートなところは、まだで会ったばかりで聞くのもどうかと思ったんだよねぇ。
「一応ご迷惑をかけるかもしれないので、説明しておきます。……実は私婚約者がいるんですけど、それはもうブサイクで。で、あんな人の子供を作るくらいだったら、誰かしらに人とでも子供を作って、婚約が成り立たなくなれば良いかなと思ったんです」
「あぁ~。……それは、良い当て馬な感じの人がいたわけだね」
盗賊に無理矢理やられて子供が出来ましたって言えば、非難されることはないだろうからね。非難されることなく婚約は解消。それがウールちゃんの理想かな。
「ふふっ。そうですね。でも、オリバーさんはちゃんと好みですよ」
「そう?ありがとう」
お礼を言っておく。ここで深く聞く必要も無いからね。
さて、1つ目の要求は分かったから、
「ウールちゃんの2つ目の要望を聞こうか。何が欲しいの?」
「あっ。そうですね。これは簡単ですわ。私を売らずにここに残しておいて欲しいと言うことですね。お相手して頂けるというのなら、これは受け入れられると考えても?」
「ああ。うん。良いよ。というより、それが1個目の要求で良かった気がするけどね。……じゃあ、3つ目は?」
「あぁ。えっと。そのぉ~……」
少し躊躇してる様子のウールちゃん。言いづらそうな雰囲気だね。そんなに僕を馬鹿にするようなことを言うのかな?
「私にお世話係をつけて欲しいんです。私、まだ1人でお風呂へ入ったり着替えたりお出来ないので。頑張って覚えますので、出来るようになるまでどうかお願いできないでしょうか?」
「あぁ~。なるほど」
お姫様だもんねぇ。大抵のことはお付きの人がやって当たり前みたいな生活だったんだろうし、自分で覚えようって思えるだけ凄いかも。
「勿論良いよ。3人とも、手が空いてるときにお世話してあげてくれる?」
「「「はい」」」
3人とも頷いてくれた。怪我を治してくれた恩人みたいなものだし、嫌がることはないよね。あとは、お世話の間に仲良く案ってくれたら万々歳なんだけど。
「……じゃあ、3人ともしばらく僕がいなくても大丈夫?」
「「「はい。大丈夫です」」」
3人に一応許可を取っておく。ウールちゃんはなんで許可を取ったのかよく分からないみたいな顔をしてるけど、当事者だからね?
「ほじゃあウールちゃん。早速子供を作りに行こうか」
「へっ!?」
目を丸くするウールちゃん。僕はその口に軽くキスをして、突然のことで固まったウールちゃんをお姫様抱っこ。あとは、ベットまでお持ち帰りだね。
「ふふっ。いっぱい相手してもらうからね」
「ふぁ、ふぁい」
さっきまで落ち着き払ってたのに、今は顔を真っ赤にして僕の言葉に頷く。あんまり体は強くないみたいで、2回もしないうちに気絶しちゃった。凄い消化不良だったから、再生したフラーラちゃんのエルフ耳を攻めたりして楽しんだよ。ファンタジーにありがちなエルフ耳はとがってて、凄い敏感だった。再生することで弱点を生み出しちゃうなんて、フラーラちゃんは災難だねぇ。もしかしたら、いつもより早く気絶することになるかもね。
「……ん。終わった?」
「2人は気絶中かな?」
僕がリビングに戻ると、相手をしてなかった2人が楽しそうに過ごしていた。僕を見つけると話しかけてくれる。
「うん。寝かせてるよ。2人は体調どう?」
「……ばっちり。歩ける。ウール様に感謝」
「そうだねぇ。僕もぼんやり見えるようになったし、感謝しないとね。この恩は日頃のお世話で返すとしようかな」
2人とも体調は良いみたい。そして、ウールちゃんにかなり感謝してる様子。
僕としても2人の笑顔が見れて何よりだよ。