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第20話 炸裂! エリアルコンボ!

 飛行船で港湾都市マーリタスに向かうあたし達は、空の脅威と名高いモンスター、スパモンの襲撃をうけてしまう。


「おれが吹っ飛ばしてやる」


 さっそく、バーンズがバズーカを構えるが、


「おいおい、船に当たったらどうすんだ?!」


 ジェラルドが慌てて、制止する。


「重火器は勘弁してもらおう」


「じゃあ、あたしの出番ね!」


 格闘少女ナタリーが名乗りを上げる。

 確かにここは格闘戦の出番。

 身軽なナタリーなら、飛行船の上の戦いも得意そう。


「じゃあ、ワンチャンあたしもいきます!」


 あたしも名乗りを上げる。

 スパモンの足はどうしても手に入れたいからね。


「ついて来れる? エリアル」


 窓枠に足をかけながら、あたしを見るナタリー。


「モチのロン」


 長衣を脱ぐと、その下には例によって道着を着こんでいる。


「さあ、行こう。ナタリー!」


 そして、あたし達は船上へ。


 タコの頭からコウモリの羽が生えたような姿。

 しかし、触手細く、無数に何百本も生えている。

 小麦色で、おいしそうと言えばおいしそう。


 船体に絡みついている触手をまずは攻撃。

 目当ての「スパモンの足」はこれの事だし。

 むしり取ろうとするあたし。

 ところが、ぬるっとしていて、つかめない。


「スパモンはオリーブが主食で、触手はオリーブオイルまみれなんだ!」


 船の中から、ジェラルドが叫ぶ。

 さすがパスタモンスター。

 ヘルシーでおいしそうだが、触手をむしり取るのは難しそう。


「触手より頭を狙え!」


「分かった!

 いくよ、ナタリー!」


「オッケー!」


 タコのような頭部は柔らかで弾力性がある。

 しかし、足を全体に絡ませているせいで、攻撃を当てるのは簡単だった。

 あたしとナタリーの飛び蹴りが炸裂する。 


 ところが何発か攻撃を受けるとスパモンは空中に逃れてしまう。

 あたし達の猛攻に恐れをなしたみたい。


 攻撃の届かない位置まで逃れたスパモン。

 こうなるとにらみ合いになってしまう。


 あたし達がいればスパモンが飛行船に危害を加える事はないだろう。

 しかしこの場合、ここでスパモンを討伐する物語をくつがえす訳にはいかない。

 飛行船の改造資金のためにも、ヘニャニャンの乱数調整のためにも。


「ナタリー、手を貸して!」


 空中を飛び回る敵にはこれしかない。


「エリアル、何かいい方法があるの?」


「モチのロン!

 あのね……」


 あたしはナタリーと打ち合わせをした。


「一回だけ攻撃のチャンスを作ってもどうにもならないんじゃ?

 それに落っこちたら危ないよ」


 作戦をもちかけたけど、ナタリーはあんまり気乗りしないみたい。

 足場の悪い高所での戦い、もっともな意見ではある。


「船体から離せたなら、逃げた方がいいんじゃない?」


「それはダメ!」


 その提案には断固反対だ。


「ど、どうしたの、エリアル?」


「あいつをここで逃がしちゃダメだよ!」


「そうなの?」


「空の旅の安全を脅かすモンスターだよ」


 あと、乱数調整に必要だし。


「任せておいて。

 一回のチャンスを無駄にしない。

 絶対、一回の攻撃でやっつける!」


「うーん」


 やっぱり眉間に皺を寄せているナタリー。


「あたしを、ううん。

 闘神流武術を信じて」


「そこまで言うなら……。

 無茶しないでよ」


「サンキュー、ナタリー」


 ナタリーにウィンクしてから、上空のスパモンを見詰めるあたし。


 ナタリーはスパモンに背を向け、しゃがんで両手を組んだ。

 まるでバレーのレシーブのように。

 違うのは手の平を上に向けて広げている事。


「行くよー!」


 あたしはそのナタリーに向かって駆けて行く。


「ごめんね!」


 ナタリーの手に片足を掛ける。

 そして、


「それー----っ!」


 ナタリーはそのままあたしを上空へ放り投げた。

 空高く、打ち上げられたあたし。

 と、言ってもただ打ち上げられただけじゃない。

 まっすぐスパモンに向かって行くあたし。


 一回の攻撃でやっつける。

 あたしはそう言った。

 闘神流にはそれを可能にする技がある。


(行くよ! エリアル)


(分かったわ!)


「あちょー!」


 闘気を纏った手足が光輝く。


「空中連撃! エリアルコンボ!」


 闘気を纏ったあたしは、スパモンに、パンチとキックを連続で繰り出した。


 上昇の勢いの乗った連続攻撃は、確実にスパモンにダメージを与えていく。

 最後はかかと落としでスパモンを飛行船の上に落下させて、フィニッシュ。


 そして、あたしはさっそうと着地、したんだけど……


「っとっとっと……!」


 よろけた拍子に突風が吹いて、バランスを崩してしまう。

 この勢いで転倒したら、飛行船の曲面にそって、転がり落ちてしまいそう。


「エリアル!」


 ナタリーが足にしがみついてくれて、なんとか踏みとどまる。


「ふーっ、危ない!

 ありがとう、ナタリー」


「もう!

 無茶しないでって言ったでしょ!」


 真っ赤になって怒るナタリー。


「でもすごい!

 スパモンやっつけちゃったね!」


 目の前には確かにスパモンが倒れていた。

 空の脅威、スパモンは物語通り撃破。

 エリアルの格闘の必殺技での撃破は物語とは違うけど。


「ワンチャンうまくいったー」


 安心感でうずくまるあたし。


「疲れたでしょ。

 スパモンの回収は仲間に任せて、わたし達は戻ろ」


 よく見ると船体がかしいでいる。

 かなりの重量のはず。

 確かに回収は任せた方がよさそう。

 そのまま、ナタリーの手を離さないように気を付けつつ、船内へ。


「一旦、着陸してから回収するぜ」


 ジェラルドはすでに着陸の準備に入っていた。

 せっかく空の脅威をやっつけても、飛行船が壊れちゃあ、元も子もないからね。


「スパモンの足は食材として売れるんだぜ」


 このジェラルドの発言もゲームの通り。

 でも、リアルで見ちゃうとまあまあグロいなあ。

 ゲテモノ料理の類だ。


「一本だけ下さいです。

 記念と言うかお守りと言うか」


 触手の一本をもらった。

 折りたためば携帯できそう。


 ともあれ、これでゲイルを倒すメドは付いた。

 上からの奇襲は分かっているのだから、回避する。

 その後でヘニャニャンと一緒にに、ゲイルをやっつける。

 完璧!


 これで、悲劇の運命を回避できる!

 これで全ての準備は滞りなく整った。

 あたしは勝利を確信した。

 お読みいただき、ありがとうございました!

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