いきなりの別れ!
短編にしようと思いましたが、とりあえず投稿します。
三話完結予定!
短いですが、宜しくお願いします
久方ぶりの新連載!
「ほらっ、早く学校に行かないと遅刻するわよ!」
「ま……待ってくれ……ナオっ! あ、あともう少しで『ロンスガ』のボス戦にイケそうなんだ!」
「駄目よ、今日でもう2徹でしょ!? そんなことしてたら体壊すし、次第に学校にも来なくなるわよ!?」
「…………」
俺は前田知興高校2年生、16歳。自他ともに認めるゲーマーである。
そして俺の腕を強引に引っ張るこいつは幼馴染みで俺の彼女である牧野直緒、高2で17歳。成績優秀、才色兼備の校内有数のデキる美少女なのだが、性格がかなり堅い。正義感が強いというか真っ直ぐ過ぎなのかとにかく融通がきかない。
今日もそうである。彼女が俺の部屋にノコノコやって来ては日を遮るために閉めていたカーテンをおもむろにバッと開ける。
「ぐわっっ、目が目がーーーーー!!??」
「朝はちゃんとお日様に当たらないと、体内時計が狂うわよ!」
「わ、わ、わ、分かったから、ひとまずカーテンを一回閉めてくれ!」
「それだと分かってないことになるから開けとく」
「くっ、この悪魔め……!」
「誰が悪魔よ、私は人間よ!」
「……」
相変わらず冗談の通じない女だ……。
とまあ、これは俺達が通学時にするいつもの行動であった。しかしある日のこと、俺の部屋に来たナオは少々趣が違っていた。この日、俺は流石に体を消耗し、前の日の20時辺りからぐっすりと寝ていた。そして部屋の中からごそごそと音が聞こえる。
「?」
見るとナオが俺の大切なゲーム達を綺麗に片付けていた。
「はっっ? ナオお前何やって……」
「何、って知のゲームを片付けてるだけよ。モノが散らかっていたら、心も乱れてしまうわ」
「……だからって今しなくて良いだろ? 起きてから昨日のセーブの続きからしようと思っておいていたのに」
「駄目よっ。朝からゲームしてたら、また学校に遅刻してしまうわ」
「ん~~、だがー……」
「もー! “だが”も“だって”もな……」
「あ」
気づいた時既に遅し。彼女の足元に『ミー冒(ミーちゃんの冒険)』のディスクがあって、彼女は気づかずにそれを踏み、残酷にもミシッ、という音がした。
「わーーーーー!!!!?」
「きゃっ……!?」
俺は今にも割れそうなミーちゃんを救うべく、急いでゲームディスクを助けた。
「大丈夫か、大丈夫かミーちゃん!? ほ………っ良かった。なんとか傷の痕はない。やい、ナオ!! 危うくミーちゃんを傷ものに……」
ナオはこっちを見て、呆れた顔をしてぽつねんと座っていた。そして彼女は次第にみるみると顔を赤らめて、
「……とばした」
「ん……?」
「私よりゲームを優先して……彼女であるはずの私を飛ばした……」
「あ…………その…………いやいや、お前も悪いんだぞ!? 危うく俺の大切なものを壊そうとしたから……」
「許せない……」
「え……?」
「絶対に許せないわっ!! なに今の突き飛ばしは!? いくらゲームが大切だからって普通そこまでするかしら!?」
「……す………、するねっ! ゲーマーならそれぐらい当たり前だろ!? 命より大切なゲーム達だ。それを破壊されそうになるんだから守るに決まっているだろ!? お前もゲーマーの彼女の端くれならそれぐらい弁えろ!」
「し、信じらんない……。それでも彼女持ちの男子の言動なのかしら!?」
ここから俺達はずっと罵倒の応酬が続く。
「はあはあ…」
「はあはあ……」
「も、もう今日という今日は許さないわ!!」
「何だよ……?」
「もう貴方とは絶縁! 関係解消よ!!」
「…お、おう、そうかよ!! そんなのこっちから願い下げだ!!」
「何ですって!?」
「何を!?」
「フン!!」
「フンだ!!!」
こうして俺達は幼馴染みとして10年、恋人として2年の歳月を経て、別れるほどの大げんかを初めてしたのであった……。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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