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第94話 閃きました

「野菜も肉も手に入ったし、上々だな!」


「今夜は鹿肉」


 王都近くの農村で害獣駆除の依頼を受け、完遂した俺達は仕留めた鹿と土産に貰った野菜を手に帰宅。


 王都に入り、屋敷に帰る途中だ。


「あれ?フランだ」


「あ?アイツ、まだ帰ってなかったのかよ」


 夕日をバックにトボトボと肩を落として歩くフランがいた。


 なんだか哀愁が漂っているが…どうかしたのか。


「フラン!」


「え…あっ、ジュン様ですか」


「屋敷に帰るんだろ?乗りなよ」


「…ありがとうございます」


 やはりなんだか元気がない。いつもなら「馬車に連れ込んで手籠にするつもりですね」くらいは言うのに。


 …改めて冷静に考えたら凄い事言う女の子だよな。


「フランは今日は何してたんだ?街に出てたんだろ?」


「……」


「言いたくないならいいけど。何か問題を抱えてるなら、相談くらいには乗るぞ」


 どうもこう…孤児院で過ごしたせいか、落ち込んでる女の子を見ると放っておけないな。


 クリスチーナとアム達は院長先生に頼まれて、だが。それ以降も孤児院に来る子を励ますのは俺の役目みたいになってたしな。


『そういう事するからマスター依存症になるんや。悪い事してるわけやないから、しゃあないけども。フランもそうならんように注意するんやで』


 お、おう…了解。


「俺に言いづらいならアム達も居るし。権力が必要ならカタリナがどうにかしてくれるぞ」


「わ、私か?な、内容次第だな、うん」


「あたいらはまぁ…聞くだけ聞いてやんよ」


「言ってみ」


「……」


 少しの間、沈黙していたフランだが話す事にしたらしい。


 ゆっくりと口を開いた。


「…お父さんを…探してたんです」


「お父さんを?」


 フランのお父さん…御多分に漏れず複数の女性と関係を持ち、子供が沢山居る筈だ。


 フランの戦死したお母さんは平民出の白薔薇騎士団員。


 となれば相手の男も平民…とは限らないか。


「何で父親を探してんだよ?あたいなんて一度も会った事ねぇぞ」


「ん。生きてるのかも知らない」


 シングルマザーが多いこの世界。最初から父親はいないものとしてる母娘は多い。


 平民は特に多く、アム達のように父親に会った事がないというのは珍しくない。


「ワタシもそうです。お父さんに会った事はありません。でも…お祖母ちゃんも居ないワタシにはもう…お父さんしか家族が居ないんです…家族が、欲しいんです…」


 うっ…な、なかなか泣かせに来るじゃないの。


 そんな事言われたら協力するしかないじゃんか。


「だからジュン様には早くワタシを妊娠させて欲しいんですが。全く手を出してくれませんよね」


「ほんと凄い事言うよな、君。宿舎でも屋敷でも最年少なのに」


「大丈夫です。初潮は済ませてます。身体の準備も心の準備も完了しています」


「ほんの少し前まで感じてた切なさを返してくんない?」


 なんでいきなりそんな話に…って、家族が欲しいから子供が欲しいってか?なんちゅう事考えるんや…恐ろしい子やで。


「やはりお母さんが言ってたように夜這いするしかないでしょうか。それともノーパンで誘惑…」


「取り敢えず、お母さんが言ってた事は一旦忘れなさい」


 フランのお母さんが何年前に亡くなったのか知らんが、子供になんちゅう事教えとるんじゃ。


「の、ノーパンで誘惑したら男は落ちんのか?」


「お母さんはそう言ってましたよ」


「そこ詳しく」


「詳しく聞くんじゃない」


 フランから相談を受ける側だったのに逆転しとるがな。


 カタリナも身を乗り出すんじゃない。


「それよりフランのお父さんの話だ。探してる理由はわかった。それで、何か手掛かりはあるのか?」


「…王都で出会った、とだけ」


「…それだけ?名前とか年齢とか…貴族か平民かとかは?」


「聞いてません。神子では無い筈ですけど…」


 それだけか…それだけじゃかなり厳しいな。


 殆ど情報が無い…フランは今までどうやって探してたんだ?


「王都に居る男性に片っ端からお母さんの写真を見せて見覚えが無いか尋ねたんです。直接会えない場合は世話役の人に聞いて貰ったりして…」


 なるほど、お母さんの写真…そして今のところは成果無し、か。


 王都は広い。いくら男性が少ないと言ってもそれだけで見つかるとは思えないが…フランにはそうするしか無かったんだな。


 …一応聞くけど、メーティス。デウス・エクス・マキナでフランのお父さんを探せたり?


『無理やな。情報が無さ過ぎや』


 ですよねー…さて、どうしたもんか…


「冒険者ギルドに依頼を出してみるとかどうよ」


「人手は増える」


 ああ…それは有りかもしれんけど…費用だけ消費して終わりそうだな。


 もっと他の…画期的な解決策が必要だな。


 戸籍…なんて無いしなぁ。


 ええい!剣と魔法の世界なんだから願い事を叶えるアイテムとか伝説とかないのかね……お?


「魔法道具店『エリザベス』…」


「ん?あぁ、そういや最近行ってねぇな」


 なんか、引っかかるな。何か非常に都合の良い物があそこにあったような…あ。


「思い出した。カウラ!魔法道具店『エリザベス』に寄って!」


「え?あ、うん」


 御者をしてるカウラに『エリザベス』に寄るように伝える。


 俺の記憶が確かなら…アレでフランのお父さんは見つかるかもしれない。


 試してみる価値はある…はず。

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