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第377話 全て来ました

「「「おらぁ!死ねぇ!サッサと死ぬんだよぉ!」」」


 分身したヘラの猛攻。俺は躱すので精一杯……というわけでもない。


「「「おら!おら!おらおらおら!」」」


 三人に増えたヘラ、その内一人がホンモノで残りがニセモノ、と考えるのが正解なのか。それとも全てホンモノなのかは判断出来ない。


 が。


 どちらだとしても頭脳は一つ。それは確かだろう。何せ……


「「「おらおら!器用に躱すじゃねぇかぁ!いつまで躱せるかなぁ!」」」


 言動も同じ。剣の振り下ろしのタイミングも同じ。剣筋も同じ。移動の歩幅も速度も、全て同じ。


 だとするならば、だ。


「「「おらおらお、ら?ああああああ!?」」」


 三人、横並びで襲って来るヘラ。その内、左のヘラの足下に土魔法で穴を空けた。


 それで躓くのは左のヘラのみの筈なのに三人同時に転んだ。


 最初は焦ったが……これじゃ弱体化だ。


「「「ぶぺっ……ぺっぺっ……こ、このやろう!」」」


「……あんた、フレイヤ様が言ってたように武神じゃないのは間違いないな。勇者アイシスの肉体を手に入れて抜群の身体能力と勇者と魔王の力も手に入れたとしても。宝の持ち腐れもいいとこだ。まるで使いこなせていない。そんなんで剣を振り回すな。自分の足を斬るのがオチだぞ」


 ま、本当に斬ったところで簡単に治せるんだろうが。


『なんや、拍子抜けって感じやな。でも、相手は神様や。油断は禁物、念には念を入れて更に弱体化させるんや』


 弱体化……どうやって。


『フレイヤ様がお手本見せてくれたやろ。アレや』


 ああ……アレね。


「「「ああ!?なあに説教かましてやがる!余裕のつもりか、ああ!?」」」


「カラドボルグ。見た目は完璧にコピー出来てるが、性能はどうだ?神が作った神器を魔王の力如きで再現出来てるのかね」


「「「あ?」」」


「それに分身。分身というのは分けた数だけ力が落ちるのがセオリー。今のあんたは三分の一の実力ってこったな」


「「「な、に……」」」


 本当の所、どうなのかは知らない。が、ヘラが主に使ってる傲慢の魔王の力は思い込む事で発揮される。


 そこに言葉によって思考にノイズを混ぜる。ヘラは粗野な言動に反して素直な性格なのか、言葉で簡単に乱れる。それで弱体化出来るわけだが……相手は神だ。いつまでも通じるとは限らない。


 この手が通じてる内に決着をつける!


「「「くそ!通りで思ったより、うごっ!」」」


 敵とはいえ女の、それも奪われたアイシスの身体を攻撃するのは気が引ける、が。


 そんな事は言ってられない!


「「「いってえなぁ!女神を蹴るなんざ罰当たり、うおあ!」」」


「後で治すから許せよ!」


 胴体を蹴り飛ばし、距離をとってからのビームライフルと魔法での攻撃。


 分身前は全て躱すか防ぐかされた攻撃。だが今は――


「「「うっ!がっ!ごはぁ!」」」


 同じ動きしか出来ない分身では全てを避け防ぐのは不可能だ。ましてや三人のどれかが一発でも受ければ全てにダメージが入る。


 常に三倍のダメージが入るようなモノ。なら全てに同時にダメージを入れる事が出来たなら……メーティス!


『了解や!ド派手なんいくでぇ!』


 死んでくれるなよ!


「「「うおおああああああ!!!」」」


 ヘラが作った結界、その内部を埋め尽くす雷の雨。そして動きを封じる暴風。雷と風の二属性の合成魔法サンダーストームだ。


 被弾して動きが鈍ったところに広範囲攻撃、狙い通りに直撃だ。


 これが普通の人間なら全身黒こげの即死だが……


「こ、このヤロォ……」


「……生きてるよな、当然」


 だが分身は消えた。鎧の力で回復し続けているがダメージは残っている。力を詰め込まれ過ぎて常に肉体と魂にダメージがあるからか、回復が追い付いてないようだ。


「ぐっ……この、くそぉ……くそがっ!」


 足に力が入らないのか、フラついている。痛みにも慣れてなさそうだ。涙目で必死に堪えてるように見える。


 ……これじゃまるで俺がいじめてるみたいだ。


 敵には……いや、悪は悪らしくして欲しいね。


「……ハァ。おい、もう諦めたらどうだ。アイシスを解放して――」


「黙れやクソガキィ!女神に怪我を負わせたという罪!死ぬだけで償えると思うなぁ!」


 ……だよな。次は何を――


「全員!出て来いやぁ!」


 此処で更に天使を追加か!


「て、多いな、おい!」


「あたしの眷族全員だからなぁ!戦闘用じゃないヤツも含めた全員!カスみてえなヤツもいるが壁にくらいはならぁ!」


 自分の眷族を壁……盾代わりに使う気か。ヘラに情というものは無いらしい。


「あんた、自分の眷族から嫌われてるだろ」


「じゃかぁしぃわ!生意気なガキがぁ!眷族を呼んだだけで終わると思うなよぉ!」


 今度は何だ……これは?


「天使達が一回りデカくなった……強化したのか」


「ああ、そうだぁ!これで戦闘用じゃなくてもそこそこ戦えるなぁ!テメェら!フレイヤを捕まえに行け!んで全員でコイツを――なんだぁ!?」


 ――これは?


 ヘラの眷族達とは違うようだが……あれ?


「ジュン!無事!?ウチが来たよ!」


「ジュン君!」「ノワール侯!」


 アイ……ソフィアさん?


 イエローレイダー団長まで……目を覚ましたのか。


「ジュン!」「生きてる!?」「無事確認」


 アム達まで……君らどうやって此処に――あ?


「「お兄ちゃん!」」


 ユウ、ベルナデッタ殿下……何で二人まで。

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