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第357話 輝きました

「ちょっ、ソフィアさん!カムバック!お願い代わって!」


「だから!男性を斬るのは少しばかり心苦しく思うけれど!斬らせてもらうわエスカロン!」


「ソフィアさ……って、えええええ?!」


 だ、男性?エスカロンは男だったのか?!


 ……エスカロンに感じてた違和感の正体はそれか!


『はぁん……なるほどなぁ。そらドライデンの男の立場改善に動くわな。女として振る舞ってたんも想像つくし。マスターに御執心なんも納得やわ』


 似たような境遇に居たからか?アインハルト王国とドライデン連合商国って違いだけでかなり違うと思うんだが。


『んなことよりマスター。ソフィアは止めんでええんかいな』


 そーだったぁぁぁ!俺Tueeeeeのチャンスがぁぁ!


「ソフィアさん!カムバック!」


「もう聞こえてないんじゃない?それに今のところは心配いらなさそだよ」


 アイの言う通り、エスカロン……いや魔神は俺にしか眼に入ってない。足下に居るソフィアさんを完全無視だ。


 魔神の足は動いているので踏まれないようにすれば大丈夫だとは思う。


 が、俺の用件はそうじゃなく!いや、まるで心配してないわけじゃないけども!


『まぁ、もう諦めたら?ソフィアになんかあるまで待機しとこーや。考えてみれぱ、此処で活躍したら他所の国の女らにも観られるんやで。益々求婚が激しく……なるんは既定路線やな。そっちも諦め』


 なんで諦めるんじゃ!俺の相棒ならもっと考えんかい!


『そうは言うてもやな。まぁ真面目な話、マスターがこのまま囮になるんが一番楽に倒せそうやん。もう少し待てばファフニールとリヴァも動けるやろし。デウス・エクス・マキナの武装も使えるようになるかもしれんし。被害を最小限に抑えたいなら今は待機や。スクリーンが破られる心配は無さそうやしな。強化されただけあるわ』


 ……わかったよ。いつだって人命が最優先なのは変わらない。


 今回はソフィアさんの勇姿を……あれ、ソフィアさんはどこ行った?


「アイ、ソフィアさんはどこだ?」


「背中に回ったのは見えたけど……あ、アレ!」


 アイが指差した先は魔神の頭。その頭に立つ人影が一つ。


 どうやってかソフィアさんは魔神の頭まで登ったらしい。


 まだ昼間だからか抜き身の剣に太陽光が反射して……いや、剣が発光してる?


「へぇ。アレが噂の、レーンベルク団長のギフトね。なんだっけ『輝く白剣(シャイニング)』の由来の」


 ソフィアさんの異名、二つ名。『輝く白剣(シャイニング)』か。以前、クライネさんから聞いたな。


 白く輝く剣……カッコいいな。本人はあまり好きじゃないらしいが。


「眩しいわね」


『光っとるのう。御同輩より目立っとるのう』


『眩しさじゃあんたの負けね』


 ……別に、そこは競ってないからいいんだが。


 しかし、どういうギフトなんだ?見た目から判断するなら剣を強化するギフトか?


『見た目だけで判断するなら、そやな。でも……あ、跳んだで』


「跳んだね」


『跳んだのぅ』


『跳んだわね』


 呑気に会話してるように見えるだろうが絶賛攻撃に晒されてるのは変わらない。


 魔神はスクリーンに向かって拳を振るい続けている。


 そんな中、魔神の前に出るように魔神の頭上から跳んだソフィアさん。


 剣の輝きは増し、振り上げた時に光は剣身から伸びる刃へと変わった。


 白く輝く光の剣、その長い剣を魔神の頭上から一気に振り下ろす。落下しながら。


「これがやりたくて、わざわざ頭まで登ったのね」


『真っ二つじゃのう』


『真っ二つね』


 ソフィアさんの渾身の斬撃により、魔神の身体は一瞬、縦にズレた。


 が、直ぐ様元通り。何事も無かったように、途切れる事無くスクリーンへの攻撃を続けている。


『ゴォォ!ジュンサマ!イマ、イマ!ゴォォン!』


 ……妄執の成れの果て、か。どうして俺に此処まで拘るのかね。


「……平気っぽいわね。真っ二つになっても死なないのかぁ」


『再生出来なくなるまで殺し続けるか、全身一気に塵に変えるか。どちらかしか無さそうじゃが……どっちも骨じゃのう』


『あーしとお爺ちゃんのブレスでも全身を一気に消すのは無理かも。デカいし』


 ……デウス・エクス・マキナが使えれば、簡単なんだが。


 この巨体だ、ビームキャノンでもトールハンマーでも簡単に当てられる。


 だが、今はまだ無い物ねだりなわけで。


 ならば魔法……勇者になった御蔭で魔法の威力は上がってる。


 だが、それでも……魔法だけで消し去るのは難しい。


 それだけの魔法となると周りの被害も相当だし。


「あ、今度は脚を斬った」


『これは流石に倒れ……ないのう』


『でも結界に触れた部分も消し飛んだよ。もう治ったけど』


 ソフィアさんは魔神の足下で一回転。円を描くように剣を振るった。


 切断される魔神の脚。直ぐに繋がったがバランスを崩し、スクリーンに手を突く形になったがバランスを立て直し、全身消滅にはならなかった。


『全身をスクリーンに突っ込ませる事が出来れば楽に終わりそうやなぁ』


 だな。俺も思った。切断された脚は残ったとしても、脚だけなら魔法で消せるはずだ。


「ソフィアさん!奴をなんとかスクリーンに突っ込ませ——」


『ゴォォ!ジャマヲ、スルナ!』


「くっ!このぉ!」


 魔神は目標をソフィアさんに変えたようだ。鳥型のミサイルをソフィアさんに向けて発射。


 それをソフィアさんは全て剣で斬り落とした。光の刃が長いため、爆発してもソフィアさんにダメージは無い。


『ゴォォ!オマエハ!マタ、ジャマヲスルノカ!』


「……また?何の事かわからないけれど、ようやく私を見たわね。さ、続きを……いえ、戦いを始めましょうか、エスカロン・ガリア・ドライデン」


 ここからがソフィアさんの本当の戦い、か。

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