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第284話 爆発しました

~~アイ~~



「ちょっとアッチまで付き合えやぁぁぁぁ!」


 ああ…行っちゃった。ジュン、無茶しないで…ウチが行く迄死なないでね。


「お嬢ちゃんがあたいの相手かい。やりにくいったらないねぇ」


「…うるさいよ。ウチはあんたをサッサと片付けてジュンの加勢に行くの。早くかかって来なよ」


「かわいくないねぇ。ま、王女様と話す事なんて別に無いし、いいさ。始めようや…ところでお嬢ちゃん、武器は?」


「無いよ。ウチの武器は(これ)


 団長達は自分と同じ武器を持った相手を選んだけどウチは余りもの。相手には槍持ちが二人だったからウチの相手は余った奴、目の前の女。


 こいつが、ウチの敵。


「ふうん。ま、それでいいなら、あたいから言う事はないよ。じゃあ…行くよ!フウン!」


 目の前の女…盗賊だったくせにしっかりとした技術を持ってるわね。


 人間からサキュバスに変わったからって槍術が身に着くわけもないし。元が騎士…ううん、冒険者だったのかな。


 足運びが独特…癖なのか流派の技なのか知らないけれど、少なくともイエローレイダー団長らが使う…なんだっけ。烈神流だっけ。それとは全然違う…烈神流は一気に踏み込むような一歩が大きい足運び。この女のはすり足で徐々に距離を詰めたり離れたり…大きな隙を作らず、守りを固めて手堅く攻めるのがこいつの戦い方なのかしらね。


 ウチが無手なのもあってリーチの差は歴然。それがこうも堅実な攻め方だと…少し時間がかかりそう。


 チッ…面倒臭いわね。サキュバスになって身体能力が上がった御蔭だろうけど、そこそこの技術でも厄介な相手じゃない。


 でもぉ~……手が無いわけじゃない!


「フン!フンフン!フ…ぐはぁ!ちょ、ちょっとお嬢ちゃん!それは反則じゃないかい!?ぐほ!」


「何が?何で?」


「ちょっ、まっ、ぐあおう!?」


 相手がリーチの差を活かして攻撃してくるならウチも対応を考えるだけ。


 相手より更にリーチのある魔法で攻撃すればいいだけよね~。ウチはあんまり魔法は得意じゃないけど、並の魔法使いよりは使えるんだから。


 ファイアーボールの連射くらいわけないのよね。連射速度に重きを置いてるから、威力控え目だけど。


「ぐふぅ!?ちょ、ま、待てっての!正々堂々武人としてやり合う流れじゃなかったのかい!?」


「……普段ならそれでいいし、そうするんだけど。今のウチにそんな余裕はないの。最優先すべきはジュン。ジュンを護る事が最優先なの。だから今はなりふり構ってらんないの」


 ウチは今、内心かなり焦ってる。嫌な予感がしてたまらない。この場から離れるべきだとウチの第六感が警鐘を鳴らしてる。


 何なら第七感も働いてる気さえしてる!


「だから悪いわね。貴女に時間かけてらんないの。サッサとくたばってちょうだい!」


「チィ!舐めんじゃないよぉ!」


 ウチのファイアーボール連射を槍で迎撃、ね。そうすると思ってたよ。槍捌きに自信がありそうだったもんね。


「ゲホッゲホッ……やっと打ち止めかい……え!?」


「この距離は…ウチの距離だ!」


 ファイアーボールを打ち払った際に起きた煙幕を利用して接近。一度距離を詰めてしまえばこっちのもの!


「そぉうら!」


「うぐっ!」


 先ずは脚に一撃。脚に注意が行った一瞬にー!


「はぁ!」


「ごっ!」


 側頭部に回し蹴り!フラついた所で更に更に―!


「はい!」


「うっ!」


 足払い!そしてまた側頭部に蹴り!


「はい!はい!」


「ごっ!?はっ!?何が!ぐぅ!?起き、ぐ!」


 足払い!側頭部への蹴り!これを高速で繰り返す!


 やがてサキュバスはウチの片脚だけで回転しはじめる。まるでその場から動かず側転してるかのように。


 そして完全に無防備になった胴体に渾身の力を込めた双掌底で留めの一撃!


「奥義!月輪!」


「ごはぁ!!!」


 くの字になってサキュバス女は吹っ飛んで行く。その姿が三日月のようだから付いた名が月輪。


 久しぶりに使った奥義だけど、上手くいったわ。


「うっ…ごほっ」


 …普通の人間なら確実に死んでる一撃だったはず。まだ生きてるのは人間やめてるだけあるわね。


 もっとも再生能力は無いみたいだから、暫くは立ち上がれないでしょ。


 さ、早くジュンのところに――


「お見事です、アイシャ殿下。美しさすら感じる技でした」


「ブルーリンク団長…そっちも終わったんだ」


「ええ、アイシャ殿下より僅かに早く。他はまだ戦ってますな、もう間もなく決着しそうですが」


 チェ…ウチは二番か。まぁ、いいわ。そんな事よりもジュンよ、ジュン。


「ジュンは…無事みたいね」


「ええ。アレはノワール侯爵が張った結界のようです。少し距離がありますからよく見えませんが、戦っているのは間違いない」


 つまりまだ無事…よし早く行かなきゃ!


「御待ちをアイシャ殿下。ノワール侯爵が心配なのはわかりますがアイシャ殿下だけで救援に行くのは危険です。本当なら五大騎士団全軍で当たりたいほどの化け物。せめて団長五人が揃うまで御待ちを」


「嫌よ。ウチはジュンを救けに行く。あんた達は此処まででいいわ。今度こそ騎士団を率いて下がりなさい。此処にいたら巻き込まれるわよ」


 嫌な予感は増していく…早くジュンを救けに行かないと。


「そういうわけには参りません、アイシャ殿下。殿下を置いて逃げるなど、騎士のする事ではありませんから」


「……レーンベルク団長」


「おお、レーンベルク団長。片付いたようだな」


「ええ、少し手古摺りましたが」


「そうは見えないぞ。私と違って全くの無傷じゃないか」


「無傷ですが時間をかけてしまいました。余力を残して置きたくて」


「あの強さの敵を相手に余力、か。流石『輝く白剣(シャイニング)』だな」


「……やめてください、ブルーリンク団長。その二つ名は余り好きではないのです…」


 …話ながらウチの肩を掴むのはやめてくれる。不敬よ、不敬。


「……痛いから離してくれない」


「申し訳ありません、アイシャ殿下。あと三人の戦いが終わるまでは御容赦を」


「アイシャ殿下が走り出そうとする気配を消して頂ければ、加勢に行けるのですが」


 ……………ハァ。わかった、わかりました!


「なら早く加勢に行くわよ。そんでジュンを救けに――」


「とはいえ。もう決着が着きそうですな」


「いくら相手が化け物……Sランク魔獣並だとしても一対一なら負ける事は赦されませんからね、団長ならば」


 なら早く終わらせてよね、もう。


 ポラセク団長は………うわぁ、グロ。戦斧でサキュバスを縦に真っ二つ。


 いや、それ以上にポラセク団長の姿に驚愕ね。何、あの姿。あ、縮んだ……何、今の。ギフトなの?


「待たせたようだな、すまない。アイシャ殿下、お待たせしてしまい、申し訳ありません」


「あ、うん………今のギフト?今の、その姿が本当の姿でいいのよね?」


「……それについてはいずれ。この身体が本来の私の姿なのは間違いありません。それよりも……おい!レッドフィールド団長!いつまで遊んでいる!もう終わらせろ!」


「……………はぁ~い」


 遊んでたんだ………おおおう、速い速い。高速で動き剣戟と火魔法を組み合わせたヒット&アウェイ。


 ウチには見えてるけど、あのサキュバスの眼には見えてないわね。レッドフィールド団長の本気スピードの前になすすべ無し。


 散々切り刻まれて最後は心臓に一刺し。決着した。


「………お待たせぇ」


「悪い癖だぞ、レッドフィールド団長。戦いを楽しむな、とは言わないが時と場合を考えろ。今回はアイシャ殿下もジーク殿下も見られているんだぞ」


「…………堅いなぁ、レオナちゃんは」


「レオナちゃんと呼ぶな!ポラセク団長と呼べ!」


 この二人、仲良かったんだ…意外。


 で、残るはイエローレイダー団長ね。


「………良い勝負ね」


「…ですな。おい黄色の!加勢は必要か!」


「くっ!要らぬお世話です!あと黄色と呼ばないでください!」


 ……イエローレイダー団長は無傷、相手は幾つか傷を負っている所を見るに若干イエローレイダー団長が押してはいる、ように見えるわね。


 でも見る限り今は互角……最初は押してたけど相手がイエローレイダー団長の槍に慣れて来た、ってところかしら。


「……時間がかかりそうね。イエローレイダー団長には悪いけど、ここはウチが――」


「いえ、御待ちをアイシャ殿下」


「アレは…」


「イエローレイダー団長のギフトだな。初めて見た」


「……へぇ」


 アレは…雷?イエローレイダー団長が槍を振るう度に雷光が走ってる。ううん、槍だけじゃない。足首…足裏?


 地面を蹴る度にも雷光が走ってる。振るわれる槍、光る足…どれもとてつもなく速い。離れて見てるウチの眼にも辛うじて見える程度。


 アレがイエローレイダー団長のギフト?


「雷属性の魔法に非常に高い適性を持つ。それがイエローレイダー団長のギフトだった筈です」


「アレは雷魔法の身体強化だな。身体強化魔法と言えば本来無属性。そこに属性を加えるとそれぞれの属性耐性が付く……のみだったと記憶しているんだが。アレはそれだけじゃないな。レッドフィールド団長はわかるか」


「………雷魔法の特徴は速さ。その特性を身体強化魔法に乗せた……んだと思う」


「ほう、なるほど。雷魔法は扱いが難しいと聞く。いくらギフトがあるとはいえ身体強化魔法に乗せて制御するとは並大抵ではない。………どうやらギフトを完全にモノにしたようだな。今後は黄色呼びは止めなくてはならない、か」


 ……ギフトを使いこなせてないようでは五大騎士団の団長としては未熟だから団長と呼ばず黄色って呼んでたって事?厳しいわね、ブルーリンク団長。


 っと、決まったわね。


「フゥ、フゥ……フゥ~……待たせたようで、すみません。さ、早くノワール侯の援護に向かいましょう」


「ああ。あの結界を見るにまだ無事なようだな。あの化け物を相手に………男のくせにやるじゃないか。多少は認めてやろう」


「ジュン君なら大丈夫だとは思うけど………思いたいけど心配だわ。早く行きましょう」


 ならウチを止めないで欲しいわね、レーンベルク団長。


 ま、もういいわ。早く――何!?


「っ!!!!ヤバい!何かヤバいわ!全員全力で防御!早く!」


「え?アイシャ殿下、一体何が……」


「あ…何か飛んで来ます!」


「アイシャ殿下!私の後ろに!」


 世界が光に染まって―――

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