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第216話 何処かで見た気がしました

「ただいま~ウチの試合は見てくれた?」


 アルカ派残党が選手と入れ替わっているという疑惑について話合おうとした時、アイが戻って来た。


 この様子からしてアイが誰かと入れ替わっているという事は無いな。そもそもアイをどうにか出来るならとっくに俺やエスカロンに対して脅迫状が届いてそうなもんだし。


「おかえり。俺は見れなかったな。悪い」


「いいよいいよ。すぐに終わった試合だったし。応援する間も無かったしさ」


「わいは見とったで。綺麗な踵落としやったわ」


 アイの決め手は踵落としね。怪我もしてないし、楽勝だったみたいだな。


 ま、見た感じアイに勝てるのは俺とメーティスくらいだしな。


「ところでジェノバさん。ウチの試合が終わったって事はもうすぐ出番なんじゃないの?」


「…ハッ!そうでした!行ってきます!」


「は~い。行ってらっしゃい」


 今は各ブロックの二回戦が順に行われている。アイとジェノバ様は同じブロックだから試合が近い…って、もしかしなくともアイの次の相手ってグレーテか。


「…アイ、次の対戦相手だけど」


「ん?どったの?」


 グレーテは別人と入れ替わってる可能性が高い事。それもアルカ派残党の可能性がある事を説明。


 目的がわからないが十分に注意するよう話した。全て聞き終わったアイの表情は変わらず余裕だ。


「オッケー。つまり試合中に足腰立たないくらいフルボッコにしちゃえばいいのね」


「そんな事する――」


 …必要はある、か?ホンモノのグレーテがどうなったか、他にも誰かと入れ替わってるのか、その目的。それらを聞き出す必要があるな。医務室送りにしてくれればやりやすい。


「そうだな。頼めるか、アイ」


「うんうん。ウチにお任せオッケー!…本当に入れ替わってるなら、ホンモノは…手遅れかもしれないけど、ね。それならそれで仇はとってあげないと」


「…そうだな」


 無差別テロなんてやる連中だ。ホンモノのグレーテを生かして捕えてる…なんて可能性は低いと俺も思う。


 その時はせめて仇をとってやらないとな。


「そうだ、メーティス。お前が探知した爆弾の数はどのくらい――」


「な、なんかドキドキする…」「あの人…ギーメイだっけ…」「こ、声かけてみる?」


 先にフェロモンをどうにかしないとな。取り合えず、結界張っておこう。


「というわけでメーティス。フェロモンを抑える方法はないか?」


「無いな。今は結界張って凌ぐしかないわ。で、わいが見つけた爆弾の数は八。城の周辺とか下水道に仕掛けられとるみたいやな」


 城の周辺はわかるが…下水道?


 なんだってそんな所に…鼠駆除でも兼ねてるのか?


「下水道は当然地下やからな。崩落でも狙っとるんちゃうか。衛兵詰所の下やったし」


 …なるほど。地上にある施設が複数崩落するわけな。本命の衛兵詰所だけでなく…クズ共め。


「…まぁまぁ。心はホットに頭はクールに、やでマスター。わいの見解やと爆発まで時間はまだあるさかい。対処は十分に間に合う筈や」


「…わかってる」


 …ふぅ。全く…内戦の続きを他所の国でやるんじゃねぇよ。無関係の人間を巻き込んでまで。


「あ、ジェノバさんだ」


「相手は…知らんやっちゃな。でも普通の奴っぽいし、おかしな事にはならんやろ」


 俺も知らん奴だな。見たとこ変わった様子も無いし力量もジェノバ様より下…あ、おわた。


「いやぁ、中々やるねぇジェノバたん。名前的にウチのライバルとしてピッタリだし」


「何の話や?名前?」


「まぁ実力的にはウチが大きく勝るんだけどね。ウチのライバルを名乗るにはジェノバたんにはもう少し頑張って欲しいところ」


 …アイのコスプレの元ネタの話ね。わかる人にしかわからない御話し。


 それからの試合は特に波乱もなく。様子がおかしい人物も入れ替わってると思しき人物も見当たらなかった。


 俺は昨日の試合はなんだかんだであまり見れてないので入れ替わってる奴がいても気付けないんだが。


「そろそろ俺の出番だな。行って来る」


「いってら~」


「怪我はせぇへんやろけど、正体はバレへんようになぁ~」


「ご、ご武運を!ノワール侯爵様…あふぅ」


 今更だけど。俺の正体がバレないようにあまり接触しないでおこうって話は何処に行ったんだか。


 ま、今日で大会は終わりだし対戦相手に気付かれてなきゃ何も問題は起きないだろうが。


『さぁお次の試合は個人的に大注目です!白仮面に白ローブ!見た目は真っ白なのに偽名疑惑で真っ黒!ギーメイ選手の登場です!』


 …あの宰相と毎日顔会わせてるのか。皇帝陛下も苦労してるんだろうな。おもちゃを見つけたらイジらずにはいられない性格って感じだもんな。


『そしてギーメイ選手の対戦相手となるのは~!ワイアン王国からの刺客!将来Sランク冒険者になると有望視されるリヒャルダ選手!賭けの人気が高い二人!これは熱い戦いが期待出来るかぁ!?』


 リヒャルダ…ああ、予選一回戦の最後の試合で勝ち残った人だな。覚えてる。


 得物は斧槍…ハルバードだったな。でもハルバード、持ってないな?


 それにあの眼は…何処かでみたような気がする。つい最近、闘技場以外の場所で…


『準備はよろしいか~?試合開始です!』

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