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第208話 捕まってました

「うう、うがぁああああ!」「うああああああ!」「ぐぅ……があああああ!」「ああああああ!」


 …帝国騎士の片側はどうも正気じゃないようだ。よだれをたらし、眼が血走り、動きもおかしい。


 それがわかっているから、味方である騎士を殺せずにいるのか。


 それに…


「ぐぅ!な、なんだ、この力は!」「受け止めるな!受け流せ!」


 どうやら強化もされているらしい。正気を失う事で本来の限界以上の力を無理やり引き出しているのか。正気を失っている騎士達は体中から出血しているようだ。


「…加勢します!」


「ウチがやるよ!無力化なら素手でやるのが一番!」


「俺もやるから半数は任せろ!」


 正気を失ってるという事は彼女達がこんな事をしてるのは本意ではないという事。ならば可能な限り救いたい。


 問答無用で殺すよりも救う方が俺Tueeeeeらしいしな!


「あ、ジェノバ!」「それにアイシャ殿下と…あの方は!」「来てはいけません、危険です!」


 何か言ってるが異常事態につき無視!鎧を着た人間を気絶させるとなると…首筋に手刀かな!全力でやると首を飛ばしちゃうから加減しつつ!


「というわけで、ストンっとな!」


「うっ!……うがあぁぁ!」


「アレェェェ!?」


 正気じゃないせいか強化されてるせいか、気絶しないでやんの!常人なら確実に気絶する一撃だったのに!


 …アイはどうだ!?


「ふう~ふっ!」


「うぐっ!」


 …アイは上手く気絶させとる!なんでや!俺と何が違うっちゅうねん!


「うがあああ!」


「ああ、もう!致し方なし!」


 魔法で眠らせるってのは地味で俺Tueeeeeっぽくないから避けたかったが!人命優先!


「う、うう……」「が、ぐ、ぐぅ……」「うが、う……」


 手刀と違って魔法で眠らせるなら全力で構わないからな。正気を失ってようがなんだろうが問答無用で眠らせる事が可能だ。


 さて、アイはどうだ?


「これで、おーわり!」


「うっ!」


 …なんでアイは鎧の上から殴って気絶させられるんだろう…発剄かな。それとも他の技術…スキルとかギフトとか?そう言えば神様から貰った力の事とか聞いてないな。


「さ、流石です、アイシャ殿下、ノワール侯爵様」「御助力、感謝いたします」


 …俺が誰だかわかってるって事はこの人達も近衛騎士か。近衛騎士と一部の上層部の人間にのみ俺が闘技大会に出場する事を伝えてる事になってる筈だからな。


「これは何事なの。皇帝陛下や招待客の皆様は御無事?」


「貴賓席の皆様は無事。中には団長を始め20名の近衛騎士が護っているし、襲撃の事は伝わっているから」


「中に入るにはこの扉からしか無理だし、何事も無い筈よ」


「パニックにならないように団長と皇帝陛下以外には伝えてないし」


「防音壁だから騒ぎも聞こえてない筈だしね」


 …ジェノバ様は皇女だが近衛騎士。つまりは彼女達と同僚。だからこんなに親し気なのか。意外とフレンドリーなのかな、ジェノバ様は。


「…それで彼女達は?」


「…アガーテ、バルバラ、コリンナ、ギーゼラ、ヘッダ、ヤスミーン。皆、下の階を警備してた筈よ」


「何故、こうなったのかはわからないけれど…」


 自然に人が正気を失う訳がない。それも六人同時に。何者かの仕業に違いないが…それが誰で手段は何かは全くの不明だという事か。


「まるで何もわからないという事?他に怪しい人物は見なかったの?」


「それは……見てないわよね?」


「ええ。怪しい人物も物も、何も見てないね」


 犯人の手掛かりは無し…という事か。しかし、こんな事をするからには何か目的がある筈。バレたら一発アウトな所業をして、何も理由が無いなんて事は通らない。愉快犯、単なる遊びって理由だとしても、それならそれで何処かで見ている筈だ。


 周辺に怪しい気配は……なし。探査魔法を使って広範囲を調べても…観客と犯人の見分けがつかない。


 あからさまに怪しい格好や、挙動をしてくれては……いないだろうしな。


「……兎に角、彼女達を拘束してください。その後に回復魔法をかけます」


「え?あ、は、はい!」


 彼女達が正気を失った原因がわからないが…毒の類なら解毒魔法で消せるか?呪いだったらマズいな…解呪の魔法とかあるのかな。


「…終わりました。肉体的な怪我は治しましたし、毒物の類なら解毒して正気に戻ってる筈です」


「感謝します、ノワール侯爵様。彼女達の事は――何?」


 また何か騒ぎ声が聞こえるな。今度は俺達が来た方向…階段下から。


「――やから!わいは怪しいもんやないねんって!」


「どっから見ても怪しいだろが!」


「言え!此処で何をしていた!」


「警備の騎士は!?お前が何かしたのか!」


 …ああ…凄まじく面倒な事になった気がする。


 この声、この関西弁は間違いなく…


「あの声は…聞き覚えがあります」


「うん。ウチもあるよ」


 でしょうねぇ…御二人が考える通りの人物が居ると思います。


「ああ!ちょ、マス…じゃなくてギーメイはん!助けてぇや!わいは怪しいもんやないって証言してぇ!」


「き、貴様!気安くあの方に話しかけるな!」


 …ああ、やっぱり。


 メーティスが近衛騎士達に捕まっている。


 何やってんの、お前…勘弁しろよ…

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