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第203話 間者でした

「いくら掛かったんだか」


「金の事は気にするな。どうせ国の金さ。決勝トーナメントまで行けばこの国の騎士になれるんだ。お前の仕事は騎士になってからだって事を忘れるな」


 …………これ、アレだ。アカンやつや。


「アカンやつやな」


「ふあっ!?」


「シー…気付かれるがな」


 メーティス!?だったら気配消して背後から話しかけてくんなや!俺の背後とれるくらいの技術もって…いや、それも武神のモーションデータか何かか。


「そんな事はどうでもいいとして。何でお前付いて来てんだ」


「前にも言うたやろ。このマテリアルボディを使用中はあまりマスターから離れられんのやって。マスターが移動したら追いかけるしかないやん」


 だったら黙って離れて行くなや…あと、お尋ね者と接触してるとこ見られると何かとマズい事になりそうだが?


「当然、それも対策済みや。認識阻害と隠匿の結界を二重に張っとる。並の人間には先ず破られへん」


 …さよか。並以上の人間に見つからない事を祈るとして。問題について話そうか。


「あの部屋の中に居る人間について、わかるか」


「帝国以外の国からの間者って事しか。何せわいもマスターとほぼ同じタイミングで来たんやし。流石に調べがついてるわけないやん」


 それもそうか……しかし帝国以外の間者、な。


「アインハルト王国の間者の可能性もあるって事か」


「そらあるやろ。その場合、女王は勿論知ってるやろうけど、女王以外の重鎮…アニエスらも知ってるやろから、アニエスらに確認すればええんちゃう?」


 …アインハルト王国の間者だった場合、彼女らの邪魔をしたら何らかのペナルティが俺やアニエスさんらに与えられるかもしれない、か。


 しかし不正が行われようとしてるのを見過ごすのも気分が悪い。


 となると、だ。もう少し情報を集めるか。


「メーティス、偵察機出せるよな」


「勿論や。貼り付けとくわ」


 そう言って、メーティスとは離れた。離れたと言っても互いに見える範囲だが。


 で、目立たない、一人になれる場所を探していたが…その必要が無い事に気が付いた。


 俺も隠匿結界に認識阻害の結界を張って…観客席の後ろ、壁際に立ってジっとしてる事にした。


「…な、なんかドキドキする」「何か変…」「なに、これ…」


 …それでもフェロモンは無効化出来ないが。


 近くに居る観客や傍を通っただけの女性が反応してしまうのは困るな。


 結界張ってても一ヵ所に留まるのは危険かな。


「ねぇ、あんた。白い仮面に白いマントかぶった全身真っ白な奴、見なかった?」「全身見えない癖に色気がヤバい奴見なかった?」「兎に角色気がヤバい奴見なかった?」


 …さっきフェロモンにあてられた奴ら…何で俺を探してるんだよ。


 これじゃ迂闊に動き回れないな…接触したら結界の効果は薄くなるし。


『一回戦第四試合決着!勝者は帝国西部のバルツアー伯爵の騎士デボラ!冒険者上がりの騎士の腕は鈍っていない!』


 …おう、本当に情報通だな宰相。出場者の細かい情報まで把握してるとか。


 んん?アレ?


「見つかったっスか?」「ダメ、完全に見失った…」「これってもしかして…誘拐?」


 …白薔薇騎士団が誰か探してる?もしかしてアイが居なくなったのか?それかメーティス…ブラックを探してるとか?


 …仕方ない、か。


「ナヴィさん、どうかしたんですか」


「ジュン君!?一体何処にいたんスか!?」「ずっと探していたんですよ!?」


「は?俺を?」


 詳しく聞くと。どうやら俺にこっそりと護衛をつけていたらしい。で、メーティスの結界で見失い、その後も俺自身が結界を張って隠れていたので見つける事が出来ず、慌てていた、と。


「それは…すみません。なんか周りが俺に注目し始めたので居心地悪くて、目立たないように隠れてました」


「そうスか…何にせよ、無事で良かったっス」


「しかし、その姿でもジュン君の魅力は隠せませんか…ならば私達とずっと一緒に居ましょう」


「それだと正体を隠してる意味が無いでしょう…」


 というわけで、俺は結界で隠れてるからと説明し、心配無用と伝えた。よく見れば帝国の騎士も慌ててるようだが…俺を探してるならナヴィさんらが伝えてくれるだろう。


『さぁ!続く第五試合!注目の選手は帝国の北隣フィーアレーン大公国からの来たAランク冒険者エルケ!他は帝国出身の者ばかりの中たった一人異国の出身!完全なるアウェイの中生き残る事が出来るのか!』


 フィーアレーン大公国…王国や帝国に比べると小さな国で大昔に帝国から独立して出来た国…って事しか知らんな。


 ん…メーティス?何を指差して…あの中に、さっきの怪しい会話の主が居るのか?


『強い!エルケ選手、圧倒的です!次々に他の選手を場外に叩き落していくー!』


 …そうか。あのエルケって人がそうなのか。


 で、フィーアレーン大公国出身て事は、だ。王国の間者でもないって事。


『決まったー!第五試合の勝者はエルケ選手!黄金の髪と勇猛な戦い方から『金色の獅子』の二つ名を持つ彼女!今後の試合も注目して行きましょう!』


 …そんな人物を間者に使うかね。彼女とは予選では当たらないが覚えておくとしようか。

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