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第199話 メリットがありました

「ミネルヴァ、御願いだから起きて」


「起きてるよ~カサンドラ姉さんの背中じゃ眠れないもん~早く部屋に帰して~」


「その前に御挨拶をしろ!この方がノワール侯爵様!アタシらの旦那になる人だ!」


「勝手に決めないでくださいー」


「あとウチの存在を完全に忘れてるよね」


 この女の子がミネルヴァ様。ジェノバ様に匹敵する美女ねぇ。


 …顔、見えないけど。


「ほら、部屋に帰りたければ先ずは立て!そして御挨拶!」


「…も~めんどくさいなぁ」


 ようやくカサンドラ様の背中から降りてカーテシー…だったか。


 ドレスの端を持ち上げ…いや、アレはドレスじゃなくて寝間着…ネグリジェだな。


 そんな格好でこんな場所に連れて来ていいのか?なんならちょっとスケてますけど。


「初めまして。サーラ皇帝が皇妹、ミネルヴァ・ゲルトルーデ・ツヴァイドルフ。以後御見知りおきを」


 …一見、ちゃんとした挨拶に見えるけども。先ずネグリジェだし、眼が開いてないし。よく見りゃ裸足だし。


 評価として赤点になるのではなかろうか。


「ほ、ほら!どうですかノワール侯爵様!」


「ミネルヴァは美人でしょう?自分と結婚すればオマケで付いて来ます!」


 妹をオマケ扱い…必死なんだろうけど、それはちょっとどうかと思いますぜ。


 で、眼をつぶってはいるが…まぁ、確かに美人だ。


 ウェーブのかかったクセのある長い赤毛。十五、六歳の女の子にしては背も高いしスタイルも良い。


 しかし、覇気というかやる気というか。当人から活力というものが感じられない。


 本当に嫌々、無理やり連れて来られたみたいだ。


「えっと…ミネルヴァ!お前はどうだ?」


「ノワール侯爵様は美しいでしょう?結婚相手として不満は無いわよね?」


「え~?あ~…う~ん…いいんじゃな~い?ど~でも~あたし、結婚に興味無いし~ど~~~~~でもい~」


 凄く本心でどうでもいいと言ってるのがわかるな。


 さっきまでの少し緊張感のあるエスカロンとのやり取りとの落差よ…周りで俺に話しかけようとタイミングを伺ってる令嬢達も困惑顔だぞ。


「……よ、よし!これで全員がノワール侯爵様との結婚に納得しましたよ!」


「これで何も問題ありませんね!」


「……百歩譲って問題が無くなったと判断するとして。だからって結婚に承諾するわけじゃないと言いましたよね」


「で、でも!結婚する事に問題は無くなったのは確かですよね!」


「私にそのつもりが無いという問題が残ってますね」


「そ、それは……何とかします!」


「してみせます!」


「その前にあたしを部屋に帰して~……」


 姉二人に対する妹の熱意の無さよ。


「ですからノワール侯爵様!アタシらに出来る事なら何でもします!」


「何をしたら結婚してくれますか!」


 自分で考えなさいよ…そこは俺頼みにしちゃダメじゃね?俺の気を引くのに俺頼みって。


「…はぁ。先ずはメリットを示したらどう?」


「アイシャ殿下…メリット、ですか?」


「必死過ぎて空回りしてる姿がちょっと可哀想だから助け船出してあげるけどさ。あんた達は皇族でジュンは王国貴族。結婚には何らかのメリットがあって然るべきでしょ。ジュンにとって無視出来ない大きなメリットを提示出来れば…ジュンも無碍に出来ないんじゃない?」


「メリット…ノワール侯爵様にとっての大きなメリット…」


「ま、難しいと思うけどね」


 …何故、的確なアドバイスを送るんだ、アイよ。本当に無視できないメリットを持ち出して来たらどうするんだ。


「メリット~?…無くは無いんじゃない~?」


「ま、アインハルト王国の第一王女のウチ以外にも多くの出来る女がジュンに付いている以上は新たな婚約者を増やすメリットなんて………へ?あんの?」


 …どうやらこの場をしのぐ為の方便のつもりだったみたいだな。


 今更隣国の皇族に提示出来るメリットなんか無いと。高を括っていたのな。


「ミ、ミネルヴァ?何か案があるのか?」


「あるのなら教えて。どんなメリット?」


「ほら~アレよアレ。皇家に古くから伝わるアーティファクト。ツヴァイドルフ家の人間しか使用は許されない家宝だけど、あたし達と結婚すればノワール侯爵も使っていいんじゃない~?知らないけど~」


 …アーティファクト?かつて神族が作ったとされる高性能なアイテム、現代では再現不可能な性能を持った魔法道具のような物。


 昔、神子マイケルがエロース教本部の宝物庫から無断で持ち出したアレと同じ類の物か。


 それが此処、ツヴァイドルフ帝国にある……やべ、ちょっと興味あるな。


「ま、待て待て。そんな話、アタシは聞いた事ないよ。ツヴァイドルフ家に伝わるアーティファクト?そんな物の存在すら初耳…噂にすら聞いた事が無い。ジェノバは?」


「自分も同じ…ミネルヴァ、本当にそんなのある?」


「あるよ~なんで姉さん達は知らないの?」


「むしろ何でミネルヴァが知ってる…それってもしかしなくてもツヴァイドルフ家の秘匿事項だろ。サーラ姉さんでも知ってるかどうか怪しい…ミネルヴァは誰に聞いた?」


「おばあちゃん」


「おばあちゃん……先々代皇帝の?」


「他に居ないじゃん………ねぇ、もういい?部屋に帰らせて~あたしは引きこもっていたいの~」


「いやまだだ。そのアーティファクトはどんな物だ。どんな能力がある」


「さ~知らな~い。おばあちゃんは本当に困った時に使えって言ってた~」


 それだけか…それだけじゃどんなモノか全くわからんな。


 それじゃ俺のメリットになるかどうか全くわからんやん。


「…カサンドラ姉さん、サーラ姉さんに確認しよう」


「そ、そうだな…でも、それはパーティーが終わってからな」


「え~…終わる前に部屋に帰してよ~…」


 アーティファクト、ねぇ。メーティスに調べさせてみるか。

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