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第134話 寂れてました

「ハァ、ハァ、ハァ…ハァ~~酷い目にあった…」


 一人で街に入るのは問題無かった。検問をしてる兵士は俺の顔を覚えていたから愛想よくしてれば問題なかった。


 門番の仕事としては問題有かもしれんが…兎に角問題無くは入れた。


 しかし、街に入ってすぐに女性達に囲まれ。衛兵が俺に気付いて女性達を追い払うまでもみくちゃにされた。


 …その衛兵も俺に付き纏おうとしたのだが…今は何とか撒いて路地裏に隠れている所だ。


『結界を張ったから誰も近付いて来ることはないで。もう此処で着替えてもうたらええんとちゃうか?冒険に行くんやろ?』


 おう、そうだな…人目は無いし、大丈夫だろ。メーティス、ついでにお前もマテリアルボディのお披露目をしたらどうだ?


『え~…いやや。こんな情緒の欠片もないような場所やなんて…もっとこう、キラキラした想い出になりそうな場所がええなぁ』


 …さよけ。好きにしたらいいけど、一人になるチャンスなんて早々来ないぞ?


 屋敷でも自室で一人になれるのは夜以外にないけど、最近は夜這いをかけようとする奴も出て来てるし、選り好みは厳しいんじゃないか?


『う、うう…で、でも路地裏は嫌や!せめて自室がええ!』


 …はいはい。んじゃ、着替えも終わったし、冒険者ギルドへ行くか。


『それはええけど。通りに出たら結界張ってても見つかるし、屋根伝いに行ったらどうや?』


 そうだな…認識阻害の結界は外から見られる分には気付かれないが、結界内に入ったら気付かれるからな。そうするか。


 …なんか、こうやって屋根を走ってると忍者になった気分だな。にんにんっ、てか?


『…モノホンの忍者は「にんにん」なんて言わんやろけどな。あ~、あの茶色の屋根の建物がこの街の冒険者ギルドやで』


 あそこか。比較対象が王都の冒険者ギルドしか無いが、この街のは小さいな。


「…いらっは~い。冒険者ギルド、トラン支部へようこ、そぉぉぉ!?」


 やる気の無さそうな受付嬢が俺を見て慌てたと思ったら身だしなみを整えてる。


 その姿見は何処から取り出した?それに一瞬で化粧を終えるその技術…世界狙えるんじゃね?


「んんっ、あっあっ~…ようこそぉトラン支部へ!本日はどのような御用件でしょうか!御相手はわたくし、トラン支部ナンバー1受付嬢ウーシュがさせて頂きます!」


「はぁ、ナンバー1…」


 見る限り受付嬢はこの人だけだ…だよな。というか、ギルド内にいるのが俺とこの受付嬢だけだ。


 掲示板に張り出されてる依頼の数も少ない、はっきりいって寂れてる。


 だが…うん、この受付嬢がナンバー1なのは間違いないかもしれない。


 Hカップ…いや、Iカップはある?


「…今、寂れてるとか潰れそうとか思いました?」


「あ、いや…」


 それも考えてましたけど、貴女のバストサイズについて考えてました。はい、すみません。


「…仕方ないんですよぉ。鉱山が廃鉱になってからは人が減る一方。最近ミスリル鉱脈が発見されたとかで徐々に活気が戻りつつありますけど、戻って来てるのは鉱夫ばかりですし。元々、冒険者ギルドは活気が無い…いえ、あまり期待されていない支部ですから、此処は。皆、王都に行っちゃいますし…」


 ああ…此処は王都から近いもんな。一日で着く距離にあるなら此処に依頼も多くて活気もある王都に行くか。


「トラン支部で一番稼いでる冒険者が領主様のシーダン男爵様っていう有様ですからね…あ、しかし御安心を!お客様がどんな依頼を出そうとも大丈夫です!冒険者ギルドは横のつながりがあるので、他所の街の冒険者を回してもらう事も出来ますから!ささ、ドンと来てください!」


 自分で自分の胸叩いてるだけなのに…すげえ揺れてる。やはりIカップ…いや、もしかしてJカップはあります?


 一つ言えるのは確実にアムよりもデカい。しかしカウラよりも背は低い…ロリ爆乳!


「あの~?」


「はっ!…失礼。すみませんが俺は依頼を出しに来たわけじゃないです。依頼を受けに来たんです。これでも冒険者なので」


「えええ?冒険者?!男性がですか?!」


 武装してる時点で気付いて欲しいなぁ…いや、この人さっきから俺の顔しか見てないわ。


「だ、ダメです!」


「は?ダメ?」


「そーです!男性が冒険者になるなんて聞いた事ありませんもん!ダメ!登録なんて認めませんからね!」


 いや、何の権限があって…って、登録?


「あの、登録はもう済んでます。冒険者だって言ったでしょう。ほら、これ」


「えええ!本当だ…しかもEランクだし。ほ、本物ですか?ちょっと貸してください!」


 今度は本物か疑い出したか…中々失礼だな。俺じゃ無かったら怒られるぞ。


 此処で更に俺は侯爵だって言ったらどうなるやら。つか、俺が来てるって事はもう街中に広まってると思ったが。


「…ほ、本物です。ごめんなさい…」


「いいえ。それじゃ依頼を――」


「ま、任せてください!可能な限り安全な依頼を見繕いますので!」


 そう言って受付嬢は受付に戻り、依頼を探し始めた。


 …走ると胸の揺れが凄いな。服からこぼれそうだった。


 こぼれても気にしないんだろうなぁ…この世界の女性ならば。


 さて、俺も自分で依頼を探すとしますか。


 掲示板に張り出されてる依頼は少ない。Dランクの依頼が一件。あとはFかEの依頼ばかり。


 今回はソロだから受けれる依頼がEかFの依頼だが…ううん、微妙。


 低ランクなんだから簡単そうな依頼しかないのは当然なんだが…折角の俺Tueeeeeのチャンス。


 どうしたものか…何かアイディアは無いかね、相棒。


『ん~…そうやなぁ。なら、この薬草採取を受けたらどうや?』


 薬草採取ってお前…俺Tueeeee要素皆無じゃん?


『そうでもないで。この街の近くで薬草がありそうな場所はミスリル鉱山とは別の山やけど、山には魔獣や熊、猪なんかが棲んどるもんや。薬草採取に来てバッタリと遭遇、なんてよくある話やん?」


 おお!なるほど!それはいいな!


 薬草採取に行ったのに高ランクの魔獣を狩って帰って『え?こいつってそんな強い魔獣なの?』なんて事を言うわけだ!もしくは『俺、なんかやっちゃいました?』だな!


「む、むぅぅぅ…こ、これなんてどうですが!薬草採取!数さえこなせばそこそこ稼げますよ!」


「はいぃ!喜んで!」


「え、あ、そ、そうですか!よ、良かったです!」


 さぁってそれではぁ!俺Tueeeeeチャンスをゲットしに薬草採取へGO!

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