表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

133/385

第133話 ビッグチャンスが来ました

いつも本作を読んで頂きありがとうございます。


評価や感想をくださった方々もありがとうございます。とても励みになります。

「男性恐怖症?ドミニーが?」


「それは初耳だな。少なくとも私は知らなかったぞ」


「私も初耳。でも…思えば現役時代に男性と関わった事は無かったかしらね」


 結局、すっかり怯えたドミニーさんから事情聴取は出来ず。


 ドミニーさんのかつての仲間である院長先生達が到着するのを待った。


「でも…エロース教の教会に行こうとしなかったわね、ドミニーは」


「ああ、そう言えば。神子に会うのが怖かったのか」


「それで私が居るのにノイス支部にも来なかったのね」


 高確率で男性が居る場所、それがエロース教教会。神子に会うのを怖れて教会に行かないのはわかるけど…男性に会う機会が少ないって事は男性恐怖症になる機会も少ないって事だと思うのだが。


 一体何があって……って、想像するに難くはないな。


 誘拐事件の時のおっさん達みたいなのに出会って何かされたんだろう、ってさ。


 ああいうのが多いらしいからなぁ。幼い頃に何かされたなら男性恐怖症になるのもわかる。


「で、ドミニーは此処か」


「入るわよ、ドミニー」


 ドミニーさんは集積所から離れようともしなかったので集積所で合流。


 詰所内にいるドミニーさんと感動の再会…になると思ったのだが。


「…ドミニー?私よ、マチルダよ。わからない?」


「私はジーニよ。どうしたの?」


「まさかジュンを警戒してるのか?あ、一応言っておくが、私はステラだぞ」


「……」


 俺は院長先生達の後ろに居るので姿は見えない筈なのだが。


 実際、俺からはドミニーさんの姿は見えないし。


 だが話から察するにまた盾を構えて警戒してるらしい。


「…なるほど、重症だな」


「Sランクの魔獣と相対した時のドミニーよね、これ」


「あのね、ドミニー。この子…ジュンは私の孤児院で育った子で、とても優しい子だから。怖がらなくて大丈夫よ」


「……」


 院長先生に続いて司祭様にギルドマスターも怯える必要はないと説得するが効果は無し。


 院長先生らが到着するまでアニエスさんとソフィアさんが事情聴取をしていたが何も聞き出せないまま交代。


 時間がかかるかと思ったが、意外にもすぐに終わった。


 ドミニーさんが此処に来た理由とは…


「ミスリルが欲しいそうよ」


「ただし、自分で採掘したいんだそうだ。自分で採掘して納得の行く質のミスリルが欲しい。そうだなドミニー」


「……」コクコク


 狙いがミスリルなのは有ってたが自分で採掘するまでがセットだったか。


 自分で採掘して納得の行く質のミスリルが欲しい、ねぇ。


 …鍛冶師としてのこだわりってやつか?


「何故、それだけの事を説明する事が出来なかったんだ…」


「私達に話さなかった理由がわかりませんね」


「それは私達にもわからん」


「だけどドミニーは昔からそうよね」


「私達以外には会話しないし、私達とも最低限しか会話しないし。その点は私達も苦労しました」


 口がきけないわけじゃないのにな。


 兎に角、ミスリルを自分で採掘して納得の行く良質な物が欲しい、という目的はわかった。


「無償という訳には行かないので、代金を払ってくれるなら許可しますよ。いいですよね、アニエスさん、ソフィアさん」


「そうだな…まだ採掘してないエリアがある。そこで他の鉱夫の邪魔にならないように採掘するなら問題無いだろう」


「それと監視は付けさせてもらいます。それと今回は特例なので他言無用てお願いします。…その心配はなさそうですけど」


 会話がほぼ成り立たないもんな。それでも口止めは必須だけども。


 ところでまだ俺は怖い?…ダメそうね。


「それにしても何年振りだ?二年振りくらいか?」


「何言ってるの。二十年近く会って無いわよ」


「時間感覚が違い過ぎるわよね。長命種のエルフとドワーフは」


「……」


 二十年…俺が拾われるよりも前か。その時から殆ど変わってないんだろうな、ステラさんとドミニーさんは。


 そんな事よりも、だ。ドミニーさんの目的がミスリルを自分で採掘する事ならば何も問題はない。


 ミスリルの採掘とか、一度見てみたい気がするが…この様子じゃ着いて行くのは無理っぽいな。


 ならどうするか……トランにも冒険者ギルドはあるし、冒険者活動するか。


「それじゃ俺は着いて行いけそうもないし、トランに帰りますね。ドミニーさんの事は院長先生達にお任せします」


「それは構わないけれど…」


「一人で戻る気か?」


 一人で?…おお!皆忙しそうだしソフィアさんもアニエスさんも此処で仕事があるみたいだしな!


 今戻れば一人で冒険が出来る!これはビッグチャンス!


『早々上手い事行けばええけど…それよりもマスター、ちょい話があんねんけど。時間があんねやったら一人になれる場所に行ってぇや』


「大丈夫大丈夫!一本道だし!運動がてら走って帰りまーす!」


「え?いや、ちょっと待って!ナヴィを護衛に付けるからってジュン君!?」


「速っ!前より速くなってないっスか!?」


『てかっ聞いてぇやマスター!おーい!』


 聞いてる聞いてる!走りながら聞くから!言ってみ!


『…一応、人居らんちゃおらんけどもやな。まぁ取り合えず話すけど、例のわて専用マテリアルボディが遂に完成したんや』


 …マテリアルボディ?ああ、メーティスの日常生活用ボディな。


 近々できるって言って何にも無かったから忘れてたわ。結構前の話だよな?


『こだわりにこだわり抜いたからなぁ。容姿は当然、手相や指紋にまで拘ったからなぁ。予定よりも時間かかってもうたわ』


 手相や指紋て…何でそんな事にまで拘ってんだか。そりゃ一から作るボディなんだから手相や指紋も自分で作るんだろうけどさ。


『そこはそれ。マスターと相性の良い手相や指紋にしたかったに決まってるやん。肌質も拘り抜いたから、か、身体の相性かて抜群やで?』


 ……あっ!トランが見えたぞー!さぁ~冒険者ギルドへ行こう!


『…誤魔化したな。まぁお披露目は後のお楽しみにするとして。取り合えずスピード落として服装の乱れを整えや。街に入れてもらえへんで』


 おっとそれはマズい!折角の俺Tueeeeeのチャンス!そんな事で台無しするわけにはいかん!


『まぁ、他にも問題があるけどな。頑張ってなんとかしぃや』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ