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第131話 有耶無耶になりました

 とまぁ、そんな流れで模擬戦を受ける事になったわけだ。


 …冷静になって考えてみると自分自身の責任が大きい気がするが…もう今更だ。


 勝った方は何でも命令出来るとか条件を出されてしまったが、仮にも主従関係になろうと言うのだ。


 主に対してそう無茶な要求は――


「ちなみにアタシが勝ったらアタシとアタシの従者二人。三人を孕ませてもらおうかな」


 負けられない戦いが此処にある!てか、この世界の人間と来たら男でも女でも考える事はそればっかりか!


 それに主にしていいお願いか、それ!普通しないよな、そんなお願い!


『そうでもないんちゃうかなぁ。家臣の結婚相手見つけるんは主の役目ってのが貴族では普通の考えやし。ましてや夫を共有するんがこの世界では普通なんやで?マスターが都合出来る男がマスターだけやった場合…マスターとの結婚を要求されるんが自然な流れとちゃうか』


 …遅かれ早かれの話だって言うのか相棒。いや、しかしだ。それならソフィアさん達がシーダン男爵を家臣として受け入れる事に賛成するとは思えないんだが。


「シーダン男爵。貴女の結婚相手は私達の方で探します。ジュン君との結婚は認められません」


「結婚しろなんて言わないよ。子種だけもらえりゃそれでいいからさ」


「ダメです。ジュン君は――」


「ケチくさい事言うなよぉ、レーンベルク伯爵。アンタ達だってもうヤりまくりで楽しみまくりなんだろ?それにアタシらも混ぜて欲しいってだけで―――」


「だ、だ、誰がヤりまくりですか!私達はまだ清い関係です!」


 …下品だとは思うが、凄いなこの人。仮にも俺は侯爵、ソフィアさんはアインハルト王国の英雄であり伯爵。


 自分より遥かに格上の相手であるというのにこの物言い…怖いもの知らずというかなんというか。


 ミスリル鉱山の件があるから強気なのか?それとも何も考えていないのか?


「――え?アンタらまだヤってねえの?誰も?こんな極上の男と婚約してんのに?」


「そ、な…そんな事…だったらどうだと言うのですか!シーダン男爵!貴女には関係ないでしょう!」


「ハァ!?マジかよ!?何やってんだアンタら!それでも女なのかね!男が奥手だったら優しくリードする!男が求めて来たら何処までも受け入れる!それが女ってもんよね!」


 それはどうなのかなぁ…だってその言い様だと女性に拒否権無くない?そりゃ男にとって理想かもしんないけどさ。


「ん~…アタシはそれでもいいんスっけどね。どっちかと言うと強引に押し倒す方が好みなんスよね。でも白薔薇騎士団の鉄の掟。淑女協定がそれを許さないっス」


 ああ…そんな事誘拐された時に言ってたような。まだ活きてるんだ、それ。


 詳しい内容は知らないが。


 知ってもどうせガックリと来るような内容なんだろうけども。


「ハンッ!なぁ~にが淑女協定よ、アホらし!アタシだったら婚約したその日にヤっちまうね!」


「と、鼻息荒く仰ってるお嬢様ですが。その実、超が付く純愛嗜好です。普通に婚約した場合、なんだかんだと言い訳して何も出来ずに初夜までズルズルと引き延ばすに決まってます」


「酒を呑んで勢いに任せても模擬戦に勝ったらという条件を出す事でしか抱いてと言えない拗らせ処女です」


「うっさいわ!余計な事言うなぁ!あとお嬢様はもうやめろって言ってんでしょ!」


 ああ、うん。そういや酒飲んでたな。それも安酒を大量に。顔が赤いのは酒のせいばかりではないという事か。


 しかし仲いいね、執事さんとメイドさん。


「ああ、もう!もういいからサッサッとやるよ!準備は良い…って、アタシも準備まだだったわ」


 俺もシーダン男爵も礼服だもんな。流石にこの格好で模擬戦は出来ない。出来れば訓練着に着替えたい所だけど…上はシャツ一枚になるだけでいいか。


 折角仕立ててもらった高級服だし、ズボンは破かないように注意しないと…って、おいいい!


「よっし。ノワール侯爵は準備いい…って、何てスケベな格好してんの!ちゃんと服着なよ!それでも男かい!はしたない!」


「それはこっちのセリフですよ!そんな格好で模擬戦するつもりですか!」


 上下共に下着のみて!そんなんで模擬戦するつもりか?!そりゃ動きやすいだろうけども!


 まぁ下着の色が白なのはギャップがあってポイント高いが?


 でも男の眼があるのに平気で下着姿になるっていうのは感心しませんな。


「何言ってんの!アタシは普通!むしろ上下の下着をちゃんは着けてるだけマシ!兵士達の訓練所なんか上半身裸でうろついてる奴いくらでもいる!そこら辺は白薔薇騎士団だって変わらないんじゃないかい?」


「あ~…王城内の訓練場や他騎士団との合同訓練とかだとピシッとしてるっスよ。だらしない格好してると怒られるっスっからね」


「万が一ジーク殿下が眼にしたらどうするって陛下が怒るものね。でも、それ以外の場所だと…うん、シーダン男爵を否定出来ないわね」


 そういやそうだった!白薔薇騎士団の宿舎で何度も見た光景だった!


「くっ…そんなスケベな格好でアタシの気を逸らそうなんて…卑怯だぞ!おいレーンベルク伯爵!アンタの婚約者だろう!何とか言え!」


「ええ…でもジュン君って私達に対しても同じだしね」


「自分はスケベな格好するくせにあたしらにはピシっとした格好を要求するっスね。女として育てられた弊害が未だに残ってるっスね」


 …納得行かないなぁ。さっきからスケベな格好とか言ってるけど、シャツ着てるのに?タンクトップだからTシャツよりは露出が多いとは言えるけどさぁ。


「おい、大丈夫かベニータ。鼻血が凄いぞ」


「だ、大丈夫……じゃないかも」


「……お前には少しばかり刺激が強すぎたみたいだね」


 ……いや、うん。ベニータは、ほら、子供だから。思春期真っ盛りだから。


 今まで男と接触が殆ど無くて免疫が無いだけだから。


「ああもう!いいよ、わかったよ!アタシのま―――」


「おお~い!ジュンは来てるか~って、随分と刺激的な姿だな!」


 シーダン男爵が何か言いかけたタイミングでアニエスさんが来た。


 はて?ミスリル鉱山の視察に行っていて帰りは夜になるという話だった筈だが。


 で、アニエスさんまでそんな反応か…混浴までしたのに、この程度でそんな反応せんでも。


「それよりミスリル鉱山の視察に行ってたんでじゃ?」


「そうだよ、夜まで戻らないとか言ってたよね。何かあったかい?」


「あ、ああ、うん。大した問題じゃないんだが…ミスリル鉱山に無許可で入ろうとした奴が居てな。冒険者のようなんだが…」


 冒険者がミスリル鉱山に?何をしに…まさかミスリルドラゴンを倒そうとか?


 それか…盗掘か?

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