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山ン本怪談百物語

裏拍手

作者: 山ン本

こちらは百物語三十三話になります。


山ン本怪談百物語↓


https://ncode.syosetu.com/s8993f/


感想やご意見もお待ちしております!

 皆さんは「裏拍手」というものをご存知ですか。


 普通の拍手ではなく、左右の手の甲を使って拍手をする。通称「死者の拍手」と呼ばれるものです。


 拍手が相手を「祝福」するものならば、この裏拍手は相手を「呪う」ものなんです。


 そんなもの迷信だ!って思いましたか?


 これからお話することは、私が友人の結婚式で本当に体験したことです…






 大学生の時から付き合っていた友人のカップルが結婚することになりました。


 私は懐かしい友人たちと一緒に結婚式へ出席することにしました。新郎も新婦も明るく社交的な人だったため、会場にはたくさんの人が集まっていました。


 「おめでとう、〇〇ちゃん!」


 主役である2人が会場に入ってくると、たくさんの人が拍手と歓声で会場を盛り上げた。私も拍手をしながら、友人の綺麗な姿を祝福した。


 その時…


 「…あれっ?」


 大勢の人々が新郎新婦を祝福する中、私は奇妙な拍手をする女性を見つけた。女性は中年くらいで、新郎新婦が入場してくる扉の近くに立っていた。


 女性は満面の笑みで拍手をしているのだが、その拍手がおかしいのだ。


 左右の手の甲を使って拍手をしている。あの「裏拍手」だった。


 新郎新婦の入場が終わると、女性は満足した様子で会場から出て行った。その後、特に問題が起こることもなく、結婚式は大成功で幕を閉じた。


 その帰り道…


 「ねぇねぇ、2人が入場する時に変な拍手してた女の人いたじゃん。あれなんだったのかなぁ~」


 私は帰りの電車内で、ほかの友人たちに奇妙な拍手をする女性がいたことを伝えてみた。しかし…


 「そんな人いたっけ?」


 「撮影するために扉の近くにいたけど、そんな人いなかったよ…?」


 どうやら、ほかの友人たちはあの奇妙な拍手をする女性を見ていないらしい。みんな新郎新婦に注目していたのだから、見ていないのは当然か。私は特に気にすることなく、すぐに話題を変えた。


 結婚式が終わってから2週間後、友人から衝撃的な連絡が入った。


 「○○ちゃんと旦那さん、車で焼身自殺しちゃったんだって…」


 本当に驚きました。2人は車の中で自分たちに火をつけ、惨い死体となって発見されたのです。幸せな新婚生活は、1ヶ月も続きませんでした。


 私は友人と一緒に2人の葬式に向かいました。私たちは2人の冥福を祈ると、涙を流しながら会場を出ました。


 そこで私は、再び「あの女性」に出会ったのです。


 女性は喪服を着ており、無表情で私たちを見つめていました。女性から「嫌なもの」を感じた私は、友人たちと一緒に急いで家へ帰宅しました。


 後になってからわかったことなのですが、新郎は浮気癖がある人で、学生時代から何度も浮気を繰り返していたらしいです。


 浮気相手の女性が捨てられたことをショックに自殺してしまったという噂もあったみたいで…






 裏拍手というものは、死者が相手を「こちらへ連れていく」ための呪術だという人もいます。もしかするとあの女性は…


 皆さんも裏拍手をする人を見かけたら、気をつけてくださいね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 手の甲同士で拍手をしようとすると、手首をクルッと反転させないといけないので、結構不自然な体勢になってしまうんですね。 この不自然さには、どことなく不吉感も連想してしまいます。 呪術としての…
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