4章「一致」
帰宅した。
学校で、これは一抹の夢物語だと自分で暗示をかけていたが、それは大きな間違いだった様だ。
彼の存在が、これが現実なのだと認識させる。
「おかえり」
彼は立っていた。
・・・・・・
「で、朝の質問をもう一度させてもらおう。お前は誰だ?」
「よくぞ聞いてくれました!では、名乗らせて頂こうじゃないか。
僕の名前は、バケ。ただのバケだよ」
その、バケの体を観察してみる。
バケの体は透けていて、身体を通して背景が見えている。
そしてその事には何も触れずにバケは微笑み立っている。
「お前・・・バケは人間ではないよな?」
「そうだよ。僕は怨霊。ある強い怨みを持った幽霊の事さ。でも、君や君の友達を呪ったりはしないよ。ある一人に強い怨みを持ってるだけ」
バケは僕の様子を見て、話を始めた。
「そこで、君にお願いがあるんだ。その・・・僕をこの家に居候させてもらえないかな?ご飯も必要ないし、本当に家に居させてもらうだけだよ。
・・・僕はずっと一人ぼっちだったんだ。いじめられてて。そのいじめっ子が僕の恨んでる相手だ。でも、君ならきっと僕を良くしてくれる。そう思って来たんだ。どうかな?」
僕は、気付いた。
バケは、僕と同じだ。
同じように、孤独で、いつも会える存在が必要だった。
そして、信頼出来るような相手候補。それが僕とバケだ。
「勿論。僕も、君と同じような感じだから」
そう言うと、バケは少しほっとしたような表情をした。