3章「登場」
その後いつも通り学校から帰り、また就寝した。
布団に入り、考え事をしていた。
最近、孤独だと思う事が多々あるようになった。
その時、僕はいつも自分に問いかける。
『何を言っているんだ。お前は十分幸せなのだ。自分以外の人の事も考えろ』と。
僕には、佐藤と清水がいて、親友と言える存在がある。
なのに、何故孤独を感じるのか。
それは、家に居る時の一人の時間だと最近結論付けた。
僕には父が居ない。母は居るが、仕事が忙しく帰ってきてこない。それが僕の孤独感だと思った。
夢物語なのは分かっている。我儘なのも分かっている。
でも。
僕に、一人、いつも一緒の、『家族』をください。
・・・・・・
いつも通りの朝が来た。
さあ、起きよう。そう、目を覚ました。
1人の少年が目の前に立っていた。
「おはよう。コタロー君」
「は・・・?」
「お前は・・・だ──」
「さあ、早く!遅刻するよ」
少年が指を降ると、僕の体が勝手に動き、勝手に準備をさせられた。
朝食を意思なしで作られ、着替えも意思なしでさせられた。
そして、無理矢理動かされていた身体が止まった。
「な、なあ。お前は、本当に誰──」
「それは後だよ。さ、行ってらっしゃい」
後ろから手を押されたのだろうが、その腕は貫通し、胸まで手が見えた。全く痛くない。
しかし、本当に時間が無くなってきた。行かなければ。そうして、玄関から出た。