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アンドロイドの君へ  作者: 阿賀野基晴
第1章 アンドロイド
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第18話:別れの君


「少しは落ち着いたかい?」


家に帰った俺達はひとまずリビングのテーブルについて座っていた。

道中は会話はなかったが、次第にアンドロイドも楽な表情にはなっていっていた。


「ありがとうございます。すみません…私もどういう気持ちか分からなくて。」


こんな時お茶でも出せばと思うが、アンドロイドはそんなもの飲まないだろう。

だからと言って充電器を渡すのも違うだろうと思う。


「…何かしてほしいことはあるか?」


一応聞いてみることにした。


「してほしいことはありません。ただ…もう少しだけ楽にさせてもらってもいいですか?」


「おぉ。もちろん。君は楽にしていてくれ。家の事は俺がやろう。」


「ありがとうございます。それじゃあ、少しの間メンテナンスしますね。」


そう言うとアンドロイドはシャットダウンしたような音を出しながら目を閉じた。


「…こう見るとやっぱり―」


機械なんだな、と思う。


「…よし、ご飯の続きを作るか。」


作りかけの夕飯の続きをし始めた。

なんだかんだで俺はかなり立ち直れている。

もちろんそれは麗奈のおかげでもあり、一番はアンドロイドのおかげだろう。

明日、アンドロイドはいなくなる。

それでもそれが俺に与えてくれたものはとても大きく、大切なものだ。

今更俺が、これ以上のものを求めるのは違うだろう。


今なら聞こえないよな。


「…ありがとう。」


俺は照れ臭くもそう、アンドロイドに言った。


**************************


次の日。

結局アンドロイドは俺が寝るまでの間に起動することはなかった。

そして今朝、アンドロイドは何事もなかったように起動して、朝ごはんを作っていた。


「メンテナンスはうまくいったか?」


「はい。でも結局異常はありませんでした。」


「そうか。」


そもそも異常は初めからなかったのだ。

そう言った面でも、もしかしたらアンドロイド自体にバグがある可能性がある。

今日それを直すための回収があるのだ。


「…今日、回収されるな。」


「…そうですね。…。」


分かりやすく落ち込む。


「…直ったらまた来なさい。」


「!?…はい!!」


そしてわかりやすく明るくなった。

そうだ、これでよいのだ。

俺達は、こんな感じでよい。


「学校に行ってくるよ。」


「行ってらっしゃいです。」


「午前中には麗奈が来ると言っていた。君も…がんばっておいで。」


「ありがとうございます。」


「…またな。」


「はい、またです!」


俺は、学校へと足を進める。

振り返ることなく。


*********************


ピンポーン


「…すみませーん。回収に来ました。」


「はい。お待ちしてました。」


アンドロイドは玄関を開ける。

そこには男が二人立っていた。


「お待たせしました。それではこちらにお願いします。」


「はい。…あれ?麗奈は来ていますか?家のカギを渡したいのですが。」


「あぁ、麗奈さんなら車の中で待っていますよ。私達が鍵を預かりましょう。」


「そうですか。ありがとうございます。」


「それじゃあこちらへ。」


アンドロイドは車へと乗り込む。


「ん?麗奈はどこで…。」


男たちはアンドロイドの接続端子に何かを差し込む。

それから、アンドロイドは動かなくなった。

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