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アンドロイドの君へ  作者: 阿賀野基晴
第1章 アンドロイド
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第16話:君と夜

再起動が終わり、麗奈たちは帰っていった。

アンドロイドはと言うと、何事もなかったように起動している。

本当に何もなかったかのように。


結局シャットダウンの原因は分からず、やはりアンドロイドの回収が決まった。

明日中に引き取りに来るそうだ。


「…。」


俺は、何を言うわけでもなくリビングの椅子に座っている。

アンドロイドは俺の目の前で夕飯を作っているようだ。


「…手伝うよ。」


俺は立ち上がり、アンドロイドの下へ行く。


「あ、ありがとうございます。」


俺は鍋をかき混ぜる。

そう言えば妻が生きていたころはこんな時間に帰ってることはなかなかなかったな。

いつも帰るとご飯が用意されていた。

こんな風に手伝うことも、あまりなかったな。


「…なんだか嬉しいですね。一緒に料理するなんて。」


「ん?…そうか?」


俺はかき混ぜてるだけだよ、なんて言おうとしたけど、なんだかそんな気分になれなかった。


「すまんな、いつも一人でやらせて…。」


あ。

言って気付く。

アンドロイドはまだ1日だけしかいないのに。


「…ふふ。いいんですよ。いつもおいしそうに食べてくれるから。私はそれだけで満足です。」


「お…おぉ。そうか。」


「…。」


「…。」


「なぁ。」


「あの。」


ハッと顔を見合わせる。

気まずい雰囲気を変えようと出た言葉が裏目に出てしまった。


「あ、えぇと…。君からいいよ。」


「あ、ありがとうございます。…すみません。明日、回収になってしまって。」


そのことだろうとは思った。

再起動後、アンドロイドに対しての状況説明を麗奈がしていたから。


「君が謝ることはないよ。…すまない、俺も一緒にいればと後悔はしている。」


「そんな!修二さんのせいじゃ…。」


「だが。この後悔を君に押し付ける気はない。どうしようもないことだ。お互い受け入れるしかないよ。」


「はい…すみません。」


「…。」


だめだ。

こんな、どっちつかずの苦しい状況は。


実はこんなこと妻とよくあったことなのだ。

常に下手に出る妻と、それに負けじと下手にいってしまう俺。

懐かしい話だが、頻繁にあったことで、なんだか今の状況が重なる。

そのたびに苦しい思いをしては解決してきたのだ。

だからこの解決策は知っている。


「…外に出るか?」


「外に出ませんか?」


また、ハッと顔を見合わせる。

それから、クスリと小さく笑って俺達は外に出る支度を始めた。


君と過ごす最後の夜だろうこの日。

最後くらい、ルールを破ってもいいだろう。

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