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アンドロイドの君へ  作者: 阿賀野基晴
第1章 アンドロイド
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第11話:君のエネルギーと

麗奈の会議の後、俺は遅めの昼食を食べる。

アンドロイドはと言うと、もちろん物を食べることはできない。


「そういえば、君は充電とかするのか?」


「はい。主バッテリーは二つと予備バッテリーが一つあるそうです。」


「ん?そんなに詳しく聞いてたのか?」


「身の回りの事は初期に登録されています。」


ん?

じゃあ外に行かないようにできたのでは?

いや口で言うだけでは簡単だ。

このアンドロイドのプログラムがどうなっているか分からない以上勝手な憶測は無粋だろう。


「なので一つのバッテリー残量がなくなり次第、充電モードの入らせていただきます。あ、もちろん仕事がなかったらなんですけど。」


「今は充電しなくても大丈夫なのか?」


「バッテリー1つで大体1日は持ちそうなので大丈夫ですよ。一応何も仕事がなくなったら充電するつもりですが。あれが給電装置です。すみませんコンセント一つ所有してしまって。」


そう言ってアンドロイドがその装置を指さす。

据え置き型の装置がそこには置かれていた。


「ほう。これは。」


工学系にはかなりわくわくする装置だ。


「ワイヤレスの給電装置か。これはまたわざわざって感じだな。」


技術は進歩したが未だに有線での電源供給が主流なのだ。

それでも無線給電であるのは、アンドロイドが動き回れるようにとの配慮だろう。


「バッテリーが1つ尽きたらもう片方を使用しながら充電するという仕様になっています。充電開始と終了はシグナルを送信して…。」


「通信システムと同じだな。常に充電し続けるのはバッテリーに負荷を与え続けてしまうから、ワイヤレス給電の常套手段だ。」


「さすが修一さんです。ちなみに…。」


そう言ってアンドロイドは服のポケットからコードを取り出す。


「一応有線でもできるようにはなっているようです。接続部分は右足の踵あたりにあるので…。」


見せようと体を捻り足を上げるが、アンドロイドなのに動きがぎこちなく、片足立ちが上手くできない。


「…いや、いいよ見せなくて。大変だろう。」


「…ふふ。ごめんなさい。少し大変でした。」


そう言ってホッとしたように笑う。


「さて、ごちそうさまだ。ありがとう。おいしかったよ。」


「いえいえ。ありがとうございます。片づけと掃除の続きはするのでゆっくり休んでください。」


「…、あぁ、ありがとう。」


これが本当に妻だったら、この後どこかに出かけたりしていただろう。

そんなことはできないのに言ってしまいそうになるのは、アンドロイドの見た目も何もかもがアンドロイドに見えないからだろうか。

本当はさっき、ホッとしていたのは俺の方だったかもしれない。

君のことを見て、聞いて、人間でないことは分かっているのに、未だ妻であることを望んでいる。


それでも、今朝まであった暗い感情は、もうなくなっていた。


もう寂しくはないから。


***********************************


『すみません、僕の意見をもっと強く言っていれば…。』


「いいんですよ。気にしないでください。まだこちらにも策はありますので。」


『本当にすみません。』


「まぁ、次失敗したらあなたの立場は保証できないと思っていてください。」


『!?分かり―っ』


ガチャ


「…ふぅ。使えないなぁ。」


「どうするんです?」


「あそこにある以上もう外に出ることはないだろう。まぁ、時間はいっぱいある。ゆっくりやろうや。」


「了解です。」

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