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アンドロイドの君へ  作者: 阿賀野基晴
第1章 アンドロイド
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第10話:君のいたい場所


『あぁ、お父さん。とりあえず今からプロジェクトチームで会議があるから。私も頑張ってみるけど…。』


「待て!麗奈!!」


『ん?』


結局案は浮かばなかった。

というよりそんな時間はなかった。

だからと言ってこのまま何もできないのは辛い。


「俺もこのプロジェクトの試験をすると言うことは、ちゃんとその意見も組む方が良いだろう??」


『…どうだろう。私の親だし、ここでは名前が通ってるけど…。』


「じゃあ頃合いを見て俺を会議に出してくれ!俺が意見を言うだけでいいんだ!」


『あ、この画面をってこと?』


「そうだ!」


アンドロイドから俺の映像を流す。

会議に参加はできなくとも、対話でなくとも、俺の、試験者の意見くらいは聞いてくれるはずだ。


『分かった。行ってきます!』


アンドロイドの顔がまたフッと落ち、ゆっくりと目が開く。

目が開いてしばらくすると焦点が合ったかのようにこちらを向いた。


「修二さん。話は分かりました。」


「おお。そうか。」


説明する手間が省けた。


「大丈夫だ。俺に任せてくれ。」


「修二さん。」


「なんだ?」


「私の事は大丈夫です。すみません。私が外に出たばかりに…。」


「いいんだ。俺がちゃんと君に向き合い、話していればよかった。大丈夫。どうにか頑張ってみるよ。」


だから、そんな顔をしないでくれ。

必ず、何とかするから。


************************


「それではE-00の今後についての会議を始めます。」


「「お願いします。」」


会議が始まった。

ドキドキする胸を押さえながら参加する麗奈。


「まぁ今回の件ですが、E-00が外出したという件で、E-00を今後どうするかを決めようと思います。」


「…ふぅ~。」


麗奈は大きく深呼吸をして手を挙げる。


「はい、加藤さん。」


「私の家で試験を行っているということもあり、E-00のセットアップも我が家仕様になっています。そのため、再度セットアップをするコストを考えると、このまま試験を続行すべきだと思います。E-00も学習型であるので、外に出るなと言えば以後出ることはないはずです。」


「ふむ…。まぁ実際僕も試験は続けたいと思ってるんですけど、他の意見はありますか?」


よし、とこぶしを握る麗奈。

このままいけばなんとか…。


「確かにコストはかかりますが、それはあくまで内部情報だけですよね。また下手なことをして外部に漏れることを考えると、そっちの方がリスクがあるんじゃないですかね?別の会社に見られたりなんかしたら最悪ですよ。」


「…ッチ。」


小さく舌打ちをする麗奈。


「確かにそれは怖いところですよね。ですがセットアップも現実的にはなぁ…。大変なんですよ。とりあえず他にも意見は?」


「…。」


「なさそうですね。それじゃあどちらに賛成しますか?」


それぞれの意見に対し手を挙げてもらう。


「…ちょうど半分ですか…。う~~~んどうしよ。加藤さん。お父さんは何か言っていましたか?」


「あ!はい!父がオンラインで、意見を述べたいそうです!」


「おぉ!お願いしても??」


「ちょっと待ってくださいね…。」


麗奈はタブレットを取り出し、準備をする。


『…あ…あー。聞こえてますか?』


「加藤さん!お久しぶりです。」


『お、おお!風間(かざま)さん!お久しぶりです。』


プロジェクトの主任と俺は知り合いだった。


「娘さんから話は聞いていますか?」


『大体は聞いています。今そちらの映像も見れていますし、音も聞こえていますが、よろしいのですか?』


実はこの会議の直前、アンドロイドが提案してきたのだ。

自分の指に端子がついているからそこからディスプレイに出力してみてはどうかと。

だからさっき麗奈がアンドロイドを通して話していたみたいにはならず、アンドロイドもちゃんと自我(?)を持っている。


『私の事で、すみません。』


「いいんですよ。もとより試験に協力してもらうということで、信頼のある加藤さんにはある程度の情報は伝えるつもりでしたから。というか娘さんから聞いていませんでしたか?」


『え?いや…。』


麗奈はあらぬ方向を向いている。


「まぁ、それはいいでしょう。ですから加藤さんともきちんとお話をしないとと思っていたんです。」


『ありがとうございます。…それでですね、俺は、このまま試験期間を続けてほしいのですが、反対意見はどうなっていますか?』


「一応…。」


そう言って風間は反対意見を言った人に促す。


「今回たまたま外に漏れることなく済みましたが次はどうなるか分かりませんし、そのリスクを考えるとE-00は回収。後、こちらで試験期間を再開させることが妥当かと思います。」


『なるほど…。E-00の学習能力を見ると、外に出ることはもうないと思いますけど?』


「外には出ないかもしれませんが、次何が起こるか分かりません。」


『そう言ったリスクに対する対策は私の家にE-00がくる以前に解決されていると思ったのですが?』


「…確かにそうですが、その対策がしっかりしていなかったためにこのような結果になっているのです。一から試験プロジェクトを見直す必要があるはずです。」


『それは、そちらでたった今考えられないことなのですか?』


「それは…。」


『俺から1つ、提案ですがいいですか?』


「お、どうぞどうぞ。」


『E-00が何か新しいことを提案、行動する際は俺に必ず報告し、許可制にすると言うのはどうでしょうか。さらに、俺がいないときはなるべくシャットダウンしておく。』


何をするにも俺達に必ず報告させる。

少し扱いは酷いかもしれないが、そこがアンドロイドの利点であるともいえる。

さらに俺がいない時には一人で動けないようにしておく。


「ほう。そこまで協力的であるならこのままでもよいかもしれませんね。」


「なっ…ですが…。」


『何より…ほら。』


そう言って俺は、アンドロイドに促す。


『私も、ここで色々なことを学びたいです。皆さん、どうかよろしくお願いします!』


そう言って頭を下げる。


「…っ。」


「決まりですね。何より、本人がそう言ってるんです。私達の目的は、人と同等の者を作ること。その集大成がE-00です。もう少し様子を見てみるのはどうでしょうか。」


『!!ありがとうございます!』


「ただし、色々制約をつけたいので、また後日言います。より安全になるように、またみんなで考えていきましょう。それでは、お疲れ様です。」


そう言われ、映像は途切れた。


「…修二さん。ありがとうございます。」


「あぁ。…まぁ、なんだ、これからもよろしくな。」


こうして、アンドロイドの居場所は変わらずに済んだ。

俺はすっかり冷めてしまったつけ汁をレンジで温める。

普通のうどんだと伸びてしまうから、つけうどんでよかった。

うん。

本当に良かった。


俺は小さくガッツポーズをした。

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