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第1章プロローグ
「本日は、お集まりいただきありがとうございます。」
梅雨
「妻は…、妻は49年、最後まで元気に生きてきました。」
しと、しと、と雨は降る中、葬儀は行われた。
口下手だが、とても強い心を持った最愛の妻。
結婚して24年。
天へと旅立ってしまった。
「…お母さん。」
一人娘も涙を流しなら隣に座っている。
「妻は口下手でしたが、とても強い心を持ち、正しいことを常に行ってきた人だと私は思います。そんな妻にどれだけ私は救われてきただろうか。どれだけ…。」
滅多に泣かない俺は、涙を食い止める。
泣くのは、後で帰ってからでいい。
見られるのはお前にだけでいい。
「…早すぎる。」
我慢しながら、ぽつりと言葉が漏れた。