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Imagine World  作者: サツマイモ
『幻想世界』
18/81

010 その後

何が起きたのか、何を起こしたのか、自分でも全く分からない。誰が何と言ったのか、それがどういう意図なのか、どういう意見で、どういう見識で、どういう意識で、どういう感覚なのか。


まったく、分からない。


「……こんにちは」


あの後。

僕は、隣の部屋の子村さんを訪ねた。


「ああ、すみません」


横になっているというのは、本当に横になっているという意味だった。


「いや、大丈夫ならいいんだけど」

柔らかそうな布団から上半身だけ起こし、「それでどうでしたか」と尋ねた。僕は、すかさず「多分、大丈夫」と答えた。

この反応に不思議がりながらも、彼女は「そうですか」と納得してくれた。


愛とはそもそも形が決まっているものではない。

だから、歪なものなどそもそも存在しない。

正確に言うなら、どれもが整っていて、どれもが歪なのだ。

だから、他人の愛にどうこう言える存在なんてどこにもいない。


実験という名目の弁当。

紛らしの入浴。

嫉妬の塊の先の幸福。

そのすべてが、愛だ。


愛で、恋で、芸術だ。


帰り道。

世界はオレンジ色に輝いていた。


「ねえ、瀬川君」

そう言えば、彼女に名前で呼ばれたのは初めてだった。


「どうかしました?」

「もう少しラフでいいよ」

「……分かった。で、どうしたの?」

「……それだけ」


茜色の空に照らされた彼女の頬は、なんとなく赤くなっているように見えた。


その姿に、僕の顔も紅潮した。



翌日。

地上波全ての番組で取り沙汰されている事件の中心には、あのアパートがあった。

『アパートで爆発 牛飼トオル 死亡』

芸術は、爆発らしい。



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