表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見習い冒険者キャロと魔法銃のエヴァ  作者: ノア(断頭台)
9/22

雷の力

武器と鎧を買ってもらって、実践。


……と、思いましたが、お姉さんに連れてこられたところは、魔物もいなさそうな山奥でした。

あるのは、精々木くらいです。小動物すら見つかりません。


「えっと、お姉さん。ここで、どんなことをすればいいんですか?」


「ん、キャロには、とにかく最初は、魔法を纏った武器の力を感じてもらおうと思ってね。

それに、最初から魔物と戦って、行き成りナイフの刀身がなくなるってこともあるしね」


そういうと、お姉さんは、銃をとりだすと、銃身を握ります。


「ソリッドストライク。……これが、私が最初に覚えた魔法。多分、キャロは、別の魔法を覚えてると思うけれど」


そうお姉さんがつぶやくと銃は白く光り、ミシミシと、硬くなる音が響きます。


「少し離れててね。……うん、それくらいでいいよ。いい?銃っていっても、射撃だけじゃなくって、こうやって、強化の魔術を使えば」


お姉さんが、力のままに振りまわすと、周囲にあった木が根こそぎ。

えぇ、文字通り、根こそぎ、なくなります。


文字通り、お姉さんの周囲5mほどのものが、ただ、力任せに振り回しただけで、銃身に巻き込まれる形で、粉砕されて、形をなくしていました。


「こんな風に、近接にも対応できる。私のこれは、もともと、武器の耐久性を上げる魔法。なんだけれど、私の特性と混ざって、こんな感じに」


「えっと、特性って。・・・・・スキルですよね?」


「うん。そうだよ。私はパッシブスキルもちでね。そのスキルのせいで、色々魔法に関しては限定的になってるのさ。」


スキル。生きているなら、誰だって持っているもの、だそうです。


「えっと、パッシブは、常に発動してて、アクティブが、任意で切り替えられる。でしたよね?」


「うん、アクティブの人は、自分で認識してることが多くて、パッシブは、認識している人は少ない。なんせ、パッシブを持ってる人にとっての常識そのものだからね。冒険者の中には、それを生かして活動する人も多くいるけれど。……スキル自体が、多種多様。それこそ、アクティブ・パッシブだけじゃなくて、例えば、炎を出すスキル。って、割と有名なんだけど、それも、それこそ、火花みたいな炎しか出せない子もいるし、其れこそ、ドラゴンの炎をも打ち消すほどの炎を吐き出すものもいる」


「消耗も、それぞれ、ですよね?」


村にも、色々なスキルを持った人が、いました。

それでも、あまり村の中でそれを使う人はいませんでした。


たしか、その人は、全力で数百メートル走った。

といってた。


「うん、冒険者でメインとしてアクティブスキルを使う人は大体、消耗の低いスキル持ちだったり、火力とのコスパがいい人だね。例えば、いくら強力な炎を出せる人でも、そのまま動けなくなるじゃ、だめだからね。それに、みんながみんな、メリット系のスキルってわけでもないし」


「え?デメリットのスキルもあるんですか?」


「うん、スキル自体、多種多様だからね、そういうスキルも結構多いよ。

デメリットっていっても、指先が動きにくい、とか、寒さに少し弱い、とかね。

これも、パッシブだから、あんまりひどい能力じゃなければ、気が付きにくいけど」


「……私のこの身長もスキルだったり・・・・・?」


「あはは……そんなに気にしなくていいよ。ちゃんと伸びるよそのうち」


うー・・・・・15歳過ぎたのに、まだ、伸びるのでしょうか……。


「さて、とりあえず、一度試してみようか?君の魔法を、剣に宿してごらん?魔法の言葉は、もう頭に浮かんでるでしょう?」


「はい!……ライトニング!」


頭に浮かんだ呪文を唱えると、稲光が、ナイフに宿ります。

バチ、バチと、手のひらが焼けるにおいがします。

腕が、震える。


「行ける?」


「……大丈夫です」


チカチカする視界の中で、ナイフが、青い雷を纏っています。


「やぁ!」


今できることは、目の前の木に、ナイフを突き立てます。


「あ、あれ?」


一瞬バチっという音がしたと思うと、ナイフには雷の力が宿っていませんでした。


「ん、集中を切らしたね?次」


「は、はい!ライトニング!」


次こそは、と、雷を、ナイフに注ぎます。


また、バチ……っと、はじける音と、溶ける匂いがします。


……溶ける・・・・・?


「大丈夫、そのまま突き立てて」


「は、はい!えい!」


今度は、ためらいなく、木に突き立てます。

……ですが、ナイフに、手ごたえがありません。


「え?えっと」


「うん、成功」


「え?うわ?!」


見ると、目の前にあった木が、一瞬で黒く焦げています。

そして、手元のナイフの刃は……完全に溶けていました。


「こ、これで、成功なんですか?」


「うん。火力としては、ね。最初のうちは、弱くなることが多いから、強く出せるほうが重要になることも多いんだよ。魔物と戦闘になった時にうっかり、力が入らなくて、死んじゃいましたー、なんて、笑いごとにもならないからね。それに、魔法の媒体としては、刃がなくても使えるから。じゃあ、もう一度、それに、魔力を通してみて?」


「は、はい!ライトニング」


イメージして、呪文を唱えますが、柄の部分にまでしか雷が纏えません。


「もっと。溶ける前のナイフをイメージして・・・・・?」


「は、はい!ライトニング!」


今度は、ドロリと溶けたナイフの刀身部分にも雷が奔ります……。

けれど、今度は柄の部分が、ドロドロと‥‥‥


「いっ?!」


びりり、と、手のひらに痛みが。


「上手にコントロールできないと、そうやって、自分の体も傷つけるよ。じゃあ、もう一回」


「は、はい!」


こうして、その日は、魔法のコントロールに一日を費やしました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ