表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
見習い冒険者キャロと魔法銃のエヴァ  作者: ノア(断頭台)
8/22

魔法の反動

この魔導書を手にもって、なんとなくわかります。

これは、私に合うものだと。


抱きしめるようにすると、胸の中で、バチバチと、光がはじけたような気がします。


「ほら、あそこの机で読んでおいで?」


「はい!」


机に駆け寄り、本を置いて、文字を読み始めます。

落ち着いていられない。


何故でしょうか。


そういう考えすら、頭に浮かばないほどに、文字に縋り付きます。


文面が面白いわけではありません。

小説ですらない、あくまで魔法の使い方が、書いてあるだけ。

それも、ページの中央に、文字が一行、2行。

長くても、4行というところでしょうか。


これが、50ページ。

初級魔法っていってたけど・・・・・。

そんなに手順があるのでしょうか。


「・・・・あ?!っぐうううううう!!」


そう思っていると、身体に雷が奔ります。

耳の奥に、バチ・・・・・バジィ!っと、音が響きます。


ただ、ページをめくっただけ。です。


しかし、おねえさんはとめません。


焦ってもいないようです、なら、この痛みは、正常。

私は、信じて、ページをめくります。


バチ、バチ、と、目の奥がチカチカして、喉元に熱いものが、こみ上げます。


喉元から、焦げ付いた匂いがします。

身体が、焼けて……。


目線を、上にあげます。

まだ、お姉さんは動きません。


ページをめくります……。


口元に、どろり、という感覚がします。


「……ストップ」


「はえ・・・・・?」


4ページ目をめくろうとしたとき、手を止められます。


よく見ると自分の体は、ところどころ出血して、口から血を吐いて、机を汚していました。

おなかも、痛くて、全身が焦げ臭い。


「えっと、これって」


「はい、まず、これ飲む」


渡されたのは桃色の液体。

ゴクリ、と、一気に飲み干します。


「ん……これは?」


「ポーション。しかし、躊躇せずに飲んだねぇ」


「お姉さんが無駄にやるとは思えませんから♪一緒に暮らし始めて一か月ですし」


身体の痛みが、たちどころに消えていきます。

体の内部も、多分治りました。


「……それで、さっき、どうなってたんですか?」


「ん、体中に魔力が奔る経路があるんだけど、そこで、君が生まれてから溜まってた魔力が暴発してたんだ。初めてその本を見る場合は、たまに見られるんだ。今まで使ってなかったところにいきなりくるから。まぁ、筋肉痛みたいなものだよ。あ、もう、魔法自体は覚えてるはずだよ」


「え、ぜ、全部読んでませんよ?」


まだ、たった8ページです。


「ん、そうだよ、でも、今8ページも見れたのは、すごいことだよ」


「そ、そんなことありません。本は全部見て初めて」


言い切る前に唇を、お姉さんが指先でとめる。

シーっと、話すのをやめるように。

そうされたら、私は、黙るしかありませんでした。


「たしかに、あの本に書かれてる魔法は、一つだけ。だけど、それはページを進めるごとに、読んだ人間の魔力と体力を吸い取って、代わりに魔法の習熟度をあげるんだ」


「習熟、ど?それに、体力や魔力を吸い取るって、危ないんじゃないですか……?」


「まぁ、危ないけど、たいていは、限界まで書く前に倒れちゃうしね」


・・・・・やっぱり、とっても危ないみたいです。


「ちなみに、呪いとかじゃないから、減った体力は簡単に回復する。時間を空ければ、だけれどね」


ハンカチで、口元をぬぐわれます。

……血だらけだったんでしょうね。


「あ、ありがとうございます」


「ん、気にしなくていいよ。じゃあ、装備を探しに行こうか」


「ぶ、武器ですか!?」


「うん、そろそろ、戦うための準備をしていくよ」


つ、ついに、です。

戦い‥‥‥。

武器は、どんなものになるんでしょうか……。


「はい、ナイフと革の鎧」


「……なんか、思ってたのとは違います」


「ははは、正直だね。まぁ、そういうのもわかるけれど。最初のうちはそのくらいじゃないと。そもそも、重たい武器を振り回せる力はないでしょ?」


それは、わかりますけれど。


「それに、まずは、魔法を武器に纏わせるのを覚えてもらわないとだからね。

多分最初のうちは買い替えがつづくから、わざわざ、買い替えが必要なのがわかってるのに、長物を買う必要はないよ」


「かい、かえ?」


「ん、魔法を通すのって、最初のうちは難しくてね、魔力を籠めすぎると、あっさり武器のほうが逝っちゃうのさ。だから、結構な回数の買い替えが必要になる。それこそ、10本前後はね。酷い人になると、3桁近く交換って人もいるよ。まぁ、師匠が悪いって場合もあるんだけれどね」


武器も消耗品なんですね……。

さっきの、ナイフの値段を見ると、銀貨30枚。

普段のご飯の時に、渡される値段が銅貨10枚、銅貨100枚で銀貨1枚ですから・・・・・。


「このナイフ、ほ、ほんとにつかっていいんですか?!」


「アハハ・・・・・。うん、まぁ、値段見たら、使い捨てに出来なくなるよね。

大丈夫。しっかり育つまでの資金は私がもつから」


うぅ・・・・・さっきはとても失礼なことを言ってしまいました。


「魔力をしっかり武器に流せるようになったら、武器のほうもランク上げて、種類もキャロが使いやすいものを探すから。今はそれで我慢してね?」


「は、はい!」


とにかく、私の修行はまだまだ続くのでした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ