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見習い冒険者キャロと魔法銃のエヴァ  作者: ノア(断頭台)
7/22

スクロール

次の日。


「はぁ‥‥はぁ・・・・あと、すこし・・・・」


朝から走り込みをしています。

昨日は出来ませんでしたが、やっぱり、基礎体力は重要です。


私の体は、ほかの人より小柄。

だから、ほかの人よりも、体力が少ない。


冒険者になるんだったら、絶対に体力が必要になる。


とくに、お姉さんに追いつくなら、きっと、あの扉を一人で開けれるくらいの力が・・・。


「うん、それは正解だよ」


帰ってきて、トレーニングについて、お姉さんに相談すると、そういわれました。


曰く、あのギルドの扉は、一種の門前払いのためのもので、あのレベルを一人で開けれるのは、最低条件らしいのです。


要するに一人で来た実力のないものをたたき出すための試練。

ということでしょうか?


「まぁ、その認識で間違ってないよ。力と、知恵のあるものじゃないと、生きていけないからね。

最低限、あの扉くらいはあけれる知恵がないと」


「お姉さんも、ずっと昔に、開けたんですか?あの扉を」


「ん……いや、私は扉を開けてないんだ。私が冒険者を始めたのとギルドに入ったのは、時期がずれるからね」


?冒険者になる時期と、ギルドに入った時期がずれてる・・・・・?


「……あ、じゃあ」


「うん、私は前に話した、魔物を倒してから依頼が入るようになって、冒険者になったほうなんだ」


納得しました。


「開け方とか、教えてもらってなかったけど、まぁ、なんとなくどういうことか分かってたからね。そのころにはいろいろできたから、正面からとおれたよ。だいじょうぶ。全部、キャロちゃんくらいの年齢でできたんだ。すぐにできるようになるよ」


あの重そうな扉を・・・やっぱり、お姉さんはすごい人のようです。


「は、はい!」


そして、お姉さんは、少なくとも、私に期待をしてくれているのです。


なら、それにこたえなくてはいけない。


「・・・・・そんなにプレッシャーに感じないの。大丈夫。成長に合わせて、ゆっくりと、何年かかってでも君をちゃんと育てるよ」


優しく、ぽんぽんっと、頭を撫でてくれるお姉さん。

しかし、しっかりと、重圧は感じる。


「さて、それじゃあ、今日も読み書き」


そう、体を動かした後には、文字の読み書き。

まだ、この辺りの都市の子供ですら読める範囲といっていました。


そんなところで、終わるわけにはいきません。


ここは、まだきっと、通過点なのですから。


……そう、ゆえに、通り過ぎるのはあっという間の話です。


一月ほどでしょうか。


勉強が楽しかったのも、あります。

身体が、変わっていくのが、力ついていくのが楽しかったから、というのもあります。


ですが、一番は、すこしずつでも、お姉さんの背中に近づいているんだということをかんがえると、心の底から力が湧いてくる気がしました。


「お姉さん!できました!」


お姉さんに紙を渡す。

テストです。冒険者としてのテスト、ではありません。

ただの書き取りと、読文のテスト。


「うん。合格。初級の文字列に関してはほぼ完ぺき。日常的に使う文章は、もう大体読めるかな」


「はい!まだ、読みに関しては、時間がかかっちゃいますけれど」


「大丈夫。あとは繰り返しで、何とかなる範疇だからね。さて、じゃあ、明日は、一つ目の魔法を覚えに行こうか」


つ、ついに・・・。


「ほら、しっかり寝る。……ただ、読むだけじゃ。ないんだからね?」


「え・・・・・」


……覚えるためには、必要だったのは、文字だけではない・・・・・?


「ううん?やることは文字を読むだけ。まぁ、明日を楽しみにしないと」


「は、はい」


お姉さんに抱き着いて、ゆっくりと眠ります。

甘い香りは、私の心の不安を溶かしていきます。


ぎゅう・…っと、しがみついて寝る事しか。

今の私にはできないのですから。


あ……。おっぱい、柔らかいです……。



そして、朝。

トレーニングを終えると、お姉さんが迎えてくれます。


「おかえり。キャロ。もう、息がきれなくなったね」


「はい!もう一月ですから!これくらい!」


「あはは、頼もしい限りだね。ほら、図書館にいくよ」


「はい!」


胸がどくどくします。

ワクワクが止まりません。


どんな、魔法なんでしょうか・・・・・。


まだ、ギルドの扉は、お姉さんに開けてもらわないと、入ることはできません。

しかし、


「あ……」


・・・・・・今度は少し、その場で止めることができました。


「ほら、キャロ、行くよ?」


「は、はい!」


そんなことをして、ぼーっとしていたら、おいていかれそうになって、慌てて、お姉さんの後を追いかけます。


「エヴァさん、お疲れ様です。図書館のご利用ですか?」


「うん、うちの弟子の、適性をしっかり測りたいのもあるしね。いま、利用者はいるかい?」


図書館の司書さんに、お姉さんは、てきぱきと、色々話しながら、手続きをしています。

私は、ただ、呆然と見るしかできません。


少しは勉強したとは言っても、まだ、お姉さんたちに並ぶことはできません。


「はい、手続き終わったよ。キャロ。行くよ」


「は、はい」


図書館の扉は、ギルドの門の、数十倍は重そうです。

こんな扉、いったい、だれが……


「ほら、入るよ?」


ぎぃ。っと。

お姉さんは片手で扉を開きます。


……一体、お姉さんはどれだけ力があるんでしょうか。

筋肉、とか、そんなについていなさそうなのに。


「ん、とりあえず、これが、初級の棚」


目の前には、大きな本棚。


本棚にはぎっしりと詰められた本がいっぱいになっています。


「え、えっと、どれを読めば」


「んー?わかるはずだよ?」


わかる、はず・・・・・?

なんで、でしょうか?


もしかして、文字を読んで、ということでしょうか?


……。

いえ、違います。

よく見ると、背表紙が、光っているものと、そうでないものが。


その光も、一つ一つ、明かりの大きさが違います。


炎……。少し光っています。

風。これも、少しだけ光っています。

水。……これは、そのままです。

土と書かれているものも、光がありません。


指で、つらつらと、棚の端から端まで、ゆっくりと、なぞっていきます。


そして、70ほどの背表紙を指でこすり、ようやく、見つけました。


「えっと、お姉さん。これが、一番【光って】みえました」


「ん。そっか、キャロには光って見えるんだね」


……?もしかして、別な見え方をするのでしょうか。


「そんなに不思議な顔しなくて、ちゃんと教えるって。

できない人はいないけど、魔法には得意、不得意、出来不出来はあるっていったでしょ。

それを見分けるのが、この棚の役割の一つ。まぁ、正確には背表紙に意味があるんだけれど」


指先を添わしながら、お姉さんは本を一つ取り出す。


「例えば、私には、この本は、全く、暗いまま。だから、この魔法は使えない。私の場合は、適正にあった本は、歪んで見える。私の得意魔法の影響なんだろうねぇ。そして、キャロのは」


「…はい。私の魔法は」


雷光。


私の手に持っていた本には、そう書かれていました。

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