荷物整理
部屋にあがって、改めて、部屋を見渡します。
綺麗に整えられた部屋。
冒険者のイメージは、もっと。
「乱雑だとおもった?」
「い、いえ!そんなことは、そもそも、さっきみたとき、綺麗な部屋だってのはわかってましたもん!」
ちゃんと治療をしてくれたときに、見てた。
綺麗なお部屋。
「ただ、ものが、少ないです?」
あるのは、棚に、食器。
小さな机に、少しだけ、本がある。
ベッドの近くにおいてある熊のぬいぐるみが、唯一趣味に見えるものだけれど。
それ以外は本当に必要なもの以外置いてない様に見える。
「まぁ、物が少ないのは、勘弁してね。仕事柄、今迄は拠点でしかなかったし」
「拠点、ですか?」
「ん、そう。仕事の前によって、色々整理してーってことが多かったから。友達も少ないから、部屋自体使うこと少なくて、野宿のほうが、多いかも」
「そんなに、忙しいんですか?」
少し、首をかしげる。
「いやぁ、私が、仕事ばっかりに精をだしすぎただけだよ。私のメインは、討伐だったりしたから、何日も一つの獲物に集中。って依頼が多かったし」
そういいながら、エヴァお姉さんは、私の荷物を取り出して、てきぱきと仕分けを‥‥‥。
「って?!や、やめてください!?」
見られるのは少し恥ずかしい。
たいしたものが入ってないのが、特に。
「二人の話から予想はしてたけど、服もあんまりないかぁ。明日しっかり買い物しないとね……。って、武器もないじゃない。これまで大変だったでしょ?」
「…はい」
襲われたら、もしかしたら、ここまでたどり着けなかったかもしれない。
「さて、明日いろいろ買わないとだけど、その前に少しチェックするね?」
お姉さんはそういうと、私の体を、ぺたり、ぺたりと、触られる。
一瞬ビクリ、としてしまったけど、手つきは、やさしく、ではなく、本当に検査という感じ。
ぎゅっぎゅと。手で、体格を図られる。
「んー。これは、意外と前衛向きかも……」
「そ、そうなん、ですか?」
「うん。筋肉の付き方が、動くための筋肉の付き方。ただ、んー。しばらくは体作りだね。ご飯、あんまりたべれなかったんでしょ」
「そ、そんなことまでわかるんですか!?」
触られただけで、わかるなんて。
「いや、単純に、体の線が細いから、服の上からだと、正確には分からないけど、……。ちょっとケガとかもしてるよね?」
「うぅ・・・・は、はい」
検査は終わり、腕や足を、ムニムニと触られる。
触れてくる手は、鍛えられてるから、しっかりしているけれど、それでも、女の人らしく柔らかくて、長い指が、体全体をほぐしていく。
「身長、130後半ってところかな?んー、これだと、服はし立て直してもらわないといけないかなぁ」
さらり、と、私が気にしている身長についても触れられて。
「冒険に出るのは、とりあえず、服ができてからだね。さすがに冒険者用の服の既製品に、キャロのサイズの服はないし」
「うぅ……そうですよね」
当たり前だけれど、私サイズの服は、ないらしい。
「さすがに、裾をまくったりしたのを着るのは性能的にも問題があるからね。妥協は許さないよ。その間に身体づくり。
栄養をしっかりとって、魔法の勉強も並行して行って。まぁ時間はいくらあっても足りないね。文字は読める?」
「た、多少は」
「んー。じゃあ、其処の勉強もしないと、だね。魔法の勉強もちょっとはしておいたほうがいいし」
「そ、そんなに、あるんですか?」
なんだか、一杯勉強をしないといけないみたい。
私で・・・・・本当に、なれるんでしょうか。
「これでもかなり絞ってるよ。まぁ、結局、やれることは限られるし。少しずつ、だよ」
そういいながら、お姉さんは、焦る私の頭を優しく撫でてくれます。
「とりあえず、夕飯は宿のご飯にしようか。買い物は明日いっきにしちゃお」
「は、はい!」
気が付けば、もう空は赤らんでいました。
お店も、買い出しにするには、少し遅い時間です。
「さて。先にお風呂に入ろうか」
「お、おふろ、ですか?」
……水浴びは、ともかく、お風呂。
お湯には浸かった記憶がありません。
「気持ちいいよ。備え付けだから、ほかの人の目を気にしなくてもいいし。ほら、行こうか」
そういうと、お姉さんは、手を引っ張ってくれます。
私はそれに、ついていくしかできません。
でも、お姉さんが言うなら、……とっても気持ちいいのだと思います。
……
「えっと、そんなにみられると、着替えにくいなぁ」
えぇ、目の前には、エヴァお姉さんの、体があります。
ですが、私とは、全く違うのです。
服という束縛からエヴァお姉さんの体は、ものすごかったです。
押さえつけられていた胸は、さっきよりも、一回りおおきくみえて、白い肌は、本当に冒険者なのかと思うくらいに、傷も少なくて、整えられています。
私の目の前のおなかも、すらりとして、そのまま下に目をやると、大きなお尻が・・・・・。
まさに、大人、という感じです。
それに比べると、私の体は、……とても小さいです。
成人しても、一向に伸びなかった身長は、130の後半でとまっています。
体にも凹凸がなく。此方に来た時も、門の人に、子供と間違えられていましたし。
「ほら、おいで」
手招きをされて、私は、エヴァお姉さんの脚の間に座ります。
優しく、長い指が、私の髪にふれます。
指が髪を通るたびに、泡が絡み、綺麗になっていく感覚。
ソープが、スポンジにしみこみ、優しく、そのまま体を洗っていきます。
体の汚れが、優しくお姉さんに洗い落とされていきます。
「はい、終わり」
10分ほど、くまなく体を洗われ、急に頭からお湯をかけられます。
急にかけられた熱いお湯のせいで、目に泡が入ってしまいます。
「痛いです……」
初めての泡は、とっても、いたいです。
「あーごめんね、さきに、入ってて。目は、そのままお湯で洗えばいいから」
エヴァお姉さんはそういうと、手早く体を洗っていきます。
私が目を洗い終わり、少し一息を突こうとしたころには、もう、一緒に湯船につかるほどです。
ゆっくりと、大きな胸が頭に触れます。
「んー流石に二人は狭いかなぁ?」
「……いえ、あったかくて、いいです。とっても」
暖かさを求めて、ぎゅうっと、抱き着いてみると、お姉さんは、うけいれるように優しく抱きしめてくれます。
「……お姉さん、明日から、お願いしますね」
「えぇ、今日からよろしく、ね」
しっかりあったまると、お姉さんは、私の体を拭いて、お姉さんのパジャマをかぶせてくれて、一緒にお部屋に戻りました。
……。余談ですが、眠ったお姉さんに抱きしめられたとき、とっても、甘い香りがしました。