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見習い冒険者キャロと魔法銃のエヴァ  作者: ノア(断頭台)
18/22

過去

お姉ちゃんに抱きしめられながら、一頻り泣いて、一時間ほどたって、ゆっくり、お湯につかって、ようやくお風呂から出ました。


相談した結果、アリスちゃんには私の年齢をばらさない、ということにしました。

お姉ちゃんよりも、年上、というと、さすがに接しにくくなるだろうから。ということです。


私としても、・・・・・・ちょっとだけアリスちゃんさえ、お姉さんに見えていたので、今からすごい年上ぶる、なんてこともできないので、うなずきました。


お姉ちゃん、と、私が勇気を振り絞って行ったのも、お姉ちゃんからしたら、当然だったかのように、そういうたびに、優しく頭を撫でてくれました。


そのあとはアリスちゃんが、遅いと文句を言いながら後にお湯につかって。その間にお姉ちゃんが、いつものようにおいしい料理を作ってくれる。

・・・・・・ちがう、といえば、私が、がんばって、横でお手伝いをしようとしたことくらいです。


何時ものお皿洗いじゃなくて、料理のお手伝い。

私なんかじゃ、寧ろ遅くなるだけかもしれないと思いました。

迷惑になるんじゃないかとおもってました。でも、お姉ちゃんは、優しく、野菜の皮をむいてくれるかな?

と、仕事をくれました。


たぶん、下手でした。

お姉ちゃんがやったほうが早く、おいしくできたでしょう。


それでも、お姉ちゃんは喜んでくれました。


出来たのは、カレーです。

にんじんじゃがいもたまねぎおにく。

火を通して、ぐつぐつ煮て、お米にかけて、カレーライス。


私が切ったのもあるから、少し不揃いで、不格好なじゃがいも。

野菜を切るのは、お風呂に入ってる間にやってしまったので、わかっていないアリスちゃんは不思議そうな顔をしていましたが。

それでも、おいしそうに食べていました。


お姉ちゃんも、うまく切れたね。

と、笑ってくれていました。


そして、夜は深まり、アリスちゃんは、先に寝てしまいました。


お姉ちゃんも先にベッドに入り、手招きをして、私を招いています。


「……」


私の足は、その手招きにつられてふらふらと、ベッドの中に。

……いえ、お姉ちゃんの胸元に飛び込みました。


「ん、ちょっと、キャロ?」


「ん~」


すりすり、と、胸元にすり付きます。

柔らかいです。気持ちいいです。

お姉ちゃんの香りがします。


「もう・・・・・。さて、もう一度、うまれから、色々、教えてくれる?師匠として。なにより、お姉ちゃんとして聞いておかないと、ね?」


「・・・・・はい」


まだ、お姉ちゃんに詳しくは話していない。

ある程度、察することはできても、しっかりと、踏み込んだ話はこれまで、できていなかった。

修行のこともあるし、私が話したがらないのを察して、お姉ちゃんが、聞かなかった。


けれど、自分をお姉ちゃんと。

姉だと慕うのなら、別。

そういうことなのでしょう。


「私は、その、孤児でした。拾われた子でした。村長さんのお父さんからは、川から流れてきたのを拾って育てた、と聞いています」


孤児。というのは、正直に言えば、珍しくはありません。

冒険都市から離れた場所というのは冒険者が常駐しているとは限りません。


では、なぜそんなところに村を作るのかといえば、簡単な話。

土地がないから、です。


冒険都市のすぐ外には魔物がいます。

冒険都市の人間も守れる範囲が限られます。


だから、冒険都市。この大陸には三つ。

それと、その近くで、比較的魔物のいない地域を田舎。

といいます。


「恐らく、私は、少し身なりのいいところの、……商人か何かの娘だったんじゃないか、と、村長が言っていました。私が拾われてきたとき、着てたものが、少し値の張るものだったらしいです」


もっとも、赤子の時、ということで、私には記憶にありません。


村長さんはその時30歳。

もう、村長さんとしての仕事を引き継いでいたのでしょう。


「……それで。どういう暮らしをしてきたの?」


「……その、奴隷みたいなものとして、です。暮らしは分けられました」


暮らしとしてはひどいもの、でした。

田舎であったから、もとより、勉強も碌にありませんでしたし、することは、水汲み、農業の営み。

そのまま行けば、私と同じ立場の男性と婚姻させられて……。

その子供も同じ扱いを受けていたでしょう。


ですが、生きていけました。自由も、少しはありました。

勿論、村から出ることはできませんでしたが。


たまに、遠征で来る冒険者さんから、・・・・・少しだけ、お話を聞けました。


「……一番大きな転換点は、……。元村長さんの病死で、村長さんが変わったことです」


元村長さんは、私たちの扱いを、精々、馬や、牛と変わらない扱いをしていました。

財産。


ということです。

別段不思議なことではありません。


ですが、村長さんは、そういうことを嫌っていました。

おなじ人間を、人間として扱う。


勿論、批判自体はありましたが、それでも、奴隷自体を管理していたのは村長で、村の人たちが大きく損をするというものではありませんでした。


ただ。奴隷の子供たちが、孤児として扱われ、普通の村の人たちと同じように暮らせるように、と。

納税という面でも、管理して、よりも、自分で動いてもらってのほうが、未来を見据えればいい。という考えだったのでしょう。


「そして、……。15歳になった時、私に村長さんは選択肢をくれました」


君の夢をみるか。ここで平穏に暮らすか。


変化した村であれば、普通に暮らしていく分には、支障はきっと、ありませんでした。

恐らく、最初は、まだ、住みにくくても、しばらくすれば、村長さんが引退するくらいには、平穏無事な暮らしを送れると。おもいました。


けれど、私は、冒険者の話を聞いていました。


「……憧れの、話が合ったんです。一人の冒険者が、魔竜を倒した。12歳くらいの時に、街にきた、テラバースから、来た人たちでした。メガロの代表で、テラバースを守るために。町の人たちの避難をしていた人から聞いた話。私、そのあこがれがあったから、ここまでこれたんです」


「・・・・・。そっか。冒険者は。今日みたいに危険なことがあるよ?それでも?」


「はい……。お姉ちゃんと、一緒に、冒険ができるようになりたいんです」


今は、冒険者は手の届かない存在でした。

今も、お姉ちゃんとの差は、天と地です。

きっと、遠く遠く。背中何て見えないくらい遠い冒険者さんです。


けれど、それでも、隣に立ちたいから。


「……よろしく、お願いします。お姉ちゃん」


「うん、よろしく、キャロ。明後日から、頑張ろうね?」

魔物:この世界に存在する。動物とは違う生き物。

大きな違いは、魔物特有の気配、モンスターエフェクトを持っていることである。

魔法を覚えていない人間は察知できないが、覚えている人間には、なんとなく、何かが来ている、という反応を与える。

また、もう一つの違いとして、肉体の維持を魔力で行っているためか、冒険者が魔力を流さなければ一定時間がたつと死体が消滅してしまうという点がある。

なお、例外として、魔力以外に食事をとる魔物は、魔力以外でも肉体を構築しているからか、その肉体は消滅することなく、死体がその場に残る。このような魔物を動物種。あるいは幻獣種と呼び、種によっては、食料として食卓に並ぶ。

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